【まずはそもそものはじまりだな】

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私だ。こん平と呼ばれているものだ。

このささやかな館、シェルターと言うらしいが、
今、私は猫達の中で一番長く滞在しているようだ。
そしてそれはあまり歓迎するべき事項ではないらしい。
 
おばさんに言われて、私自身の事を語る事にする。
本来謙虚で思慮深い性格の私がそんな事をするのは本意ではないが、
家族を見つけるためには致し方ない。
そもそも、なぜ私が今ここにいるのかを、改めて語った方がよかろう。
そのため、当時の日記を出してきた。
鮮やかによみがえる当時の記憶と共に、しばしお付き合い願いたい。
 


2015年 1月29日

どうやら自分はさらわれてしまったらしい。
事の起こりはこうだ。
最近だるくて隠れ家にこもっていたが、
さすがに腹もへったので、いつも巡回してくる食堂に顔を出した所、
自分が弱っているとみるや、
給餌の女がいきなり襲いかかって来て、かごにつめこまれた。
気のいいババアだと侮っていたが、敵のスパイだったとは、一生涯の不覚だ。
それから敵のアジトヘ連れてこられ、牢に入れられ、
白装束の輩に針を刺されるという拷問を受けたが、
そんなことで屈する私ではない。
それが昨日の事だ。

一晩明けて、私が投降する様子がないのをみて、やつらは私を別のアジトヘ
移すことにしたらしい。

私をまた移送したのはババア二人、
昨日よりずっと弱そうだ。
すぐに倒して逃げ出してもよかったのだが、
まだだるかったし、目も鼻もふさがっていて、
匂いがわからない。
警戒しつつ、体力を温存することにした。
 

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今ならわかるのだが、敵のアジトだと思ったのはシェルターで、

白装束はイシャ、という人間らしい。

なぜ針を刺すのかはいまだに不明だが。

 

そして、私はほすとふぁみりー、という場所で暮らし始めたのだ。