決して…。
行方不明になっていた張成嶺を心配して飛び出してきたわけではない曹蔚寧。
ミーハー根性をむき出しに、周子舒を野次馬に誘った彼の運命やいかに――
なんて、そんな大げさなもんじゃない…
前回の『天涯客』はこちら
空気を読めない曹蔚寧
周子舒には興味がなく、どんな大騒ぎも関係なかった。彼が今やりたい唯一のことは、酒楼で空になった彼の酒壺を満たし、それから暗くなるまで眠りにつく居場所を探すことだった。自分の頭の中にある、紅孩儿がどのようにして山を割り、白蛇を救ったのかという物語を振り払うために。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
道中…。
阿絮は何気に老温の話を聞いていたようだ(笑)
しかも頭から離れないくらいにしっかりと。
大騒ぎよりも先に、張成嶺を趙敬のところに送り届けるべきことを告げる周子舒に、頭を叩く曹蔚寧。
「そうそう。そのことを忘れていました」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
忘れるなよ
忘れてたというより、端から頭の中になかったかもしれないがな。
それが曹蔚寧という子である。
画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.
実はこの時点で張成嶺はまだ、曹蔚寧のことを良く知らない。
形ばかりのいたわりを受け、戸惑うばかりである。
一体、何が大騒ぎなのか――
曹蔚寧に説明してもらおう。
「こんな時にあなたたちはまだあちこち歩き回っていたんですか。昨日はとても賑やかでしたよ。あの封暁峰が『琉璃甲』という言葉を口にした途端、その場は大混乱に陥ってしまいました。高大侠と慈睦大師のお二人が、なんとかその場を収めはしましたが、多くの人が別のことを考えたのです。華山掌門の于丘烽がまず最初に立ち上がり、問いただしました。趙敬、趙大侠が張家の琉璃甲を奪ったのではないか、そのために彼の息子を惨殺したのではないかと」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
なんと! 殺されてしまった張成嶺
ここで登場する華山掌門、于丘烽。
曹蔚寧が本を暗記したような口調で淡々と説明するには…
- 于丘烽は鼻水と涙を流しながら、まるで洞庭に弔問にきたかのように取り乱しかけていた
- 華山派と友好関係にある峨眉、崆峒、蒼山などの門派は、于丘烽の側に立ち、趙家荘の外での出来事の説明を求めた
- そこで封暁峰の一団が扇動して騒ぎ立て、ついには殴り合いの大乱闘になった
- そして「琉璃甲」とは一体何なのかの説明を高崇に求めた
これらのことを淀みなく流暢(←でも多分、棒読み)に話す曹蔚寧に、興味を覚える温客行と周子舒。
暗記したような口調だったのは…
師叔の受け売りだったからだ
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
ところで…
どこかで言おう言おうと思っていたのだけれども…
私は今まで「琉璃甲」を「瑠璃甲」と間違えて記していた
(。-人-。) ゴメンネ
成毅の『琉璃』で間違いを指摘され、やっとこちらも間違えていたことに気づいたのだ
今、少しずつ直している(笑)
直したはずなのに、今度は「流璃」になっていたりして、自分に疲れている
_| ̄|○
周子舒は突然顔をそむけ、張成嶺に尋ねた。
「小僧、お前は何か知っているのではないのか。さもなければ、何故家を焼かれ、誰かが毒蠍を雇って、お前を暗殺しようとするんだ?」
張成嶺は茫然として彼を見、ぼんやりと首を振った。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
『山河令』では、張成嶺はその答えを知っていたと思ったが…。
(琉璃甲を体内に入れてたくらいだからな)
『天涯客』ではどうだったろうか。
…記憶にない
Ω\ζ°)チーン
知ったかぶりはしない主義(笑)
そんな張成嶺の姿を見るに耐えず、周子舒は張成嶺を曹蔚寧に預け、立ち去ってしまう。
そこで温客行パパの出番だ
あまりに優しすぎる姿に感動する。
自分が「愚かすぎる」ゆえに、師父に冷たくされるのだと思っている張成嶺に…
「君は普通に愚かなだけで、『すごく』愚かではない。彼は上品ぶって、君とくだらない話をしようとしない。つまり彼は君に近づきたいと思っているけど、うまく言い出せないんだ。私が思うに、彼は恥ずかしがり屋なんだろう」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
どういうことなのか、この言葉だけでは理解しづらいかもしれないので…。
『山河令』の台詞で説明してみる。
画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.
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近しい者には冷たい態度をとりがちらしい(笑)
温客行は目を細めて笑いながら周子舒の背中を眺め、ぼんやりと言った。
「彼を生んだのは両親だが、彼を知る者は本人だけだ。世の中で彼の知己になれるのは、おそらく私しかいないだろう。だから君に嘘をつくはずがない」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
ああ、ちょっと待って…。
何気に暴言が入っている(笑)
せっかく良い事を言っていると思ったのに。
だがしかし。
画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.
張成嶺の心が慰められれば、それでいいだろう
(ΦωΦ)フフフ…
いや、実際は…
張成嶺が温客行の言葉に唖然としている間に、曹蔚寧がアホっぷりをぶちかまして、話は逸れていくんだけどな。
でもその前に――
周子舒の正体に見当をつけた温客行
確か『山河令』では、毒蠍に攫われた成嶺を救出した後の野宿していた山の中で、阿絮は自分から身元をばらしていたかと思った。
←そして成嶺を正式に弟子にしていた
でも『天涯客』ではまだ、推測のみだ。
内傷や変装、自然に自分の痕跡を隠す習慣、あの腕前、そして、江湖を知り尽くしているような様子――
「天窗」以外に説明できない
それを知っているあなたもすごい(笑)
さすが、鬼谷谷主
しかし本当に「天窗」なら、彼はどうやって、あの鬼も恐れるという七竅三秋釘の制裁を逃れたのだろうか?
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
考えてもわからなかったことが、数日前に突然理解できたという温客行。
どこで理解できたのかは書いてないのでわからないけれども…。
重要なのは、あの人がどうやって七竅三秋釘から逃れたかではなく、彼がいかにして七竅三秋釘を逃れる方法を知っていたかということだ――
彼は、自分がおそらく本当に大物についてきたのだろうと思った。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
温客行が心の中でこんなに真面目なことを考えているというのに――
愛すべきおバカキャラ曹蔚寧は、そんなことお構いなしである。
「私はずっと、二人とも同じ男性なのに、このようなことは変だと感じていました。でも今になってみれば、人生において、一言半句でお互いを理解しあえるような知己が傍にいるなら、神仙のような夫婦よりも喜ばしいことではないのでしょうか。男でも女でも何か関係あるとでも?」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
いきなりどうしたんだろうね。
ふと、ここで――
今、『吉祥紋蓮花楼』を読んでいる私は、「ほう…」と思った。
曹蔚寧が言う、師父の言葉がまるで、雲彼丘に対する李相夷のようだと。
(私は莫懐陽が大嫌いなので、比べたくはないのだがな)
「私たち武林の者は、本を読んでも役に立たない。誰も状元を受験することを期待していないし、いくつかの字を知っていれば目が見えなくてもいいのではないか。武術を修練するのが正しい道筋だ。私も二日ほど文章を読んだだけで、深く理解することは求めていないのです」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
…言うだけ言って恐縮なのだが…
『吉祥紋蓮花楼』の方の文章が探し出せん(笑)
本に囲まれている雲彼丘に、李相夷が申し渡したことと似てると思ったんだけど…
ま、いいや
『蓮花楼』の方でつぶやくことにする
その言葉の通り――
曹蔚寧が「不求甚解(上っ面だけで深く理解しようとしない)」なヤツだと老温が思ったことは言うまでもない。
張成嶺を送り返した温客行と曹蔚寧…
発狂しそうなほど張成嶺を心配してみせる趙敬を冷ややかに傍観する温客行。
静かに立ち去ろうとした瞬間、誰かの視線を感じる。
曹蔚寧の師叔――清風剣派の有名な、ろくでもない老いぼれ、莫懐空。
(『山河令』ではとてつもなく理解の深い、いい師叔だったけど、『天涯客』ではそうでもないようだ)
曹蔚寧の筋がなく、要点が見えない話を聞きながら、温客行を眺めている。
何を考えているのか曹蔚寧…。
何故かわざわざ、この師叔に温客行と周子舒の情愛物語を語っている。
意味が分からない
やはりアホなのか
←こらっ!
案の定、莫懐空に叱られる。
「まだ終わらないのか?」
曹蔚寧は話を途中で飲み込んだ。黙るように命じられたのだ。唇の両端を縫い付けたくなるほどだった。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
一方、周子舒は――
一人、酒楼で食事と酒を楽しんでいた。
多分この時老温は、いなくなった阿絮を捜していると思われる(笑)
のんきに(あくまで私の感想だが)過ごしていたその時――
いつの間にか、酒楼にいた客が半減していることに気づく。
「高家荘が鬼谷の悪鬼を捕まえたので、見せしめにする」
皆、野次馬しに行ったのだ
眉をひそめる周子舒。
- 高崇が青竹嶺の悪鬼を捕まえた?
- 悪鬼たちは大悪人だったため、庇護を求めて鬼谷に入っている、なのに何故、明るいこちらの世界に戻って来たのか?
- 「琉璃甲」にはそれほどの大きな秘密が隠されているのか?
- だから高崇は人々の注意をそらすため、下手な小細工をしているのか?
そう考えながら階下に降りようとした時、不注意で人にぶつかってしまう。
いよいよ彼の登場だ。
まるで世俗を超越した仙人のような古僧の末裔…。
心の中に突然、とりとめもない考えが浮かんだ。彼はまさか食事を必要とするのか?
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
必要以上に食べるんですから
「清風派の弟子から聞いたが、貴公が張家の後裔を太湖に送り届けたそうだな。お前は私に会ったことがある。私の名は葉白衣だ」
彼は高崇のように人と大げさに話すのが好きではないようだった。基本的に己に関係しないことは口を開かない状態だ。存在感が全くなく、何故かはわからぬが、全身から怪しい違和感を漂わせていた。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
『天涯客』の葉白衣は、『山河令』以上に変な人だ。
もはや『琉璃』と『蓮花楼』のせいで、葉白衣を敵視し始めている自分がいるのだが
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
私情を挟むなってか
いや、そもそも
このブログは
私情だらけだ
何故、葉白衣が話しかけてくるのかがわからず、適当な世間話でごまかそうとする周子舒。
曹蔚寧以上に空気を読まない(ような気がする)葉白衣は気にも留めず、言い放つ。
「お前の息は滞り、動きは重く、まるですでに末期のように見えるが、何故死にかけているお前が、このように元気でいられるのだ? 実に奇妙だ」
周子舒は押し黙り、この人物は長明山で長い時間を過ごし、師父について仙気を修めたので、人間の言葉が上手く話せないのだろうと思った。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
いや…。
葉白衣も葉白衣だが、周子舒も周子舒だな。
若く見えても、中身がお年を召しているせいか…。
自分で質問しておきながら、周子舒の答えや返しは軽くスルーするとか。
ぶつぶつとつぶやきながら、歩き出す葉白衣だったが…。
遠くまで歩いて行ってから、やっと何かを思い出したように、振り返って彼に言った。
「もし暇なら、私に酒をおごってくれないか」
――まるで彼に酒を奢るのは、相手に大きな面目を与えるようなものだと言うようで、周子舒は黙って呆れた。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
なんでだよ…。
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いきなり人にたかるなよ
ってか
Ω\ζ°)チーン
暇だとしても嫌だとか
結局戻る高家荘かな
葉白衣の突然の乱入により、温客行の存在を一瞬忘れてしまった…。
大勢の野次馬に混じり、高家荘に行き、伝説の「悪鬼」を見物した周子舒。
- 凶悪な顔をした中年の男が五花大綁に縛り上げられ、市中引き回しされている
【五花大綁】
縄を輪にして首にかけ、その縄を背中に回して後ろ手にした両腕を縛る
←鬼谷の者は腰に鬼面の刺青がある。老温にもあるのかどうかは謎である。
周子舒はこの人を見て考えこんでいたが、突然肩に静かに手が置かれ、どこからともなく温客行が現れた。白い歯を見せてにやにやと笑っている。
「一日中君を捜していたんだぞ。どこに行ってたんだ?」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
そんな温客行に構わず、縛られた人を指差して、「本物かどうか」を尋ねる周子舒。
画像引用元:©Youku Information Technology (Beijing) Co.,Ltd.
あまり興味がなさそうな温客行だったが、軽い口調で答える。
「腰に悪鬼の刺青を彫るのは、これからは陽の光の下に姿を現すことができなくなるということだ。誰がわざわざ偽物を作って出てくるだろうか? でも、もしかしたらこの不運な誰かさんは、誰かに恨まれ、罠にはめられて、ここに晒されたのかもしれないな」
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
周子舒の鬼谷的マメ知識――
- 鬼面の刺青に使われている顔料は、「陰司草」の葉をすりつぶして作られている
- その葉は、鬼谷にしかない
- 鬼谷に入った者は皆、悪鬼になって生き残れるわけではない
- その場所は、人が人を喰らい、鬼が鬼を噛む極悪の地
- 弱肉強食が唯一の法則
- 強くなって初めて、この刺青を入れる資格を得られる
…あまり嬉しくない資格だな
そう言っては、ミもフタもない。
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周子舒は刺青のある男に思いを馳せ、見つめていたが、この時群衆は興奮を極め、華山派の誰かが、この男を生きたまま焼き殺すと言い出した。
彼は突然身を翻し、群衆を押し分け、大股で歩き出した。
priest『天涯客』第24章「鬼面」より翻訳引用
多分…。
『山河令』では第一次英雄大会が開催される寸前に、大混乱に陥った場面辺りだと思われるのだけれども…。
私の愛する龍孝が出てきたりとかはしないのだ(笑)
ここで『天涯客』の阿絮が大股で歩き出した後、どうなったのかの記憶は全くない。