私には時間がない | 7月7日、A型、晴れ。

7月7日、A型、晴れ。

青山で働きながら世界の絶景を旅する7Aの旅メモ帳

ちょうど1年前の今日、手術が終わった私は大学病院のベッドで管に繋がれていた。

もうこれで最後だと思っていた日から1年が過ぎた。

 

 

 

あれは9月18日のことだった。

 

順番待ちの間、私のiPodの何千曲の中からSiriが作動して不吉な音楽が流れてきたところで部屋に入る前から結果が悪いことはわかっていた
悪いとわかっていながら病院に結果を聞きに行き案の定の回答を言われるのと、ダメだとわかっていながら告白してフラれるのって似ているような気がする。
共通して言えることは全ての活字が読めなくなり、全ての音が雑音になる。

そしてモニターを眺めると夏からさらに進行しており、数値は手術前と同じに戻っていた。

自覚症状と他院での検査結果もあったので驚くことはなかった。

年内に手術だね、と言われ年内までにはやることがたくさんあったので

これが吉と出るのか凶と出るのかは自己責任だけど年度内すなわち3月中までにはやりますと答えた。

 

前々回は体内を焼き、前回は切除してから焼き、今回は前回の2倍の範囲を切除します、そしてもう切除できる部分がなくなるのでこれが最後ですと。

 

3年前の一番初めから私が意を決してザクっと取ってくださいと言えばよかったのか。

3年前に90%焼ききれますと言われて

1年前に99%取りきれますと言われて

今ここにいる私はもう一度あれ以上の苦痛を味わうのかと思うとそのまま個室に泣き崩れた。

 

何もやる気がおきなくなり、予約していた全ての航空券をキャンセルした。

どこにも行く気がなく、両親と上司には事実のみを淡々と伝えた。

 

3年前は全ての世界が白黒になってひたすら毎日ベッドの中で泣いた。

1年前は全てに苛立ち会社で目の前のものをフロアに投げつけまくっていた。

そして今は悲しいけど諦めというかどこか客観的な自分がいた。

 

その日に予定していた人とのDinnerは何を話したか記憶がない。

その週の3連休は何もする気も誰とも話す気もおきなかった。

 

全てのフライトをキャンセルした後、私は全く別の無数の航空券を予約した。

東京にいるのが嫌でしょうがなかった。

何かしていないと気が済まなくなった。

人生のタイムリミットがまた一つ差し迫ってきたから。

 

 

立ち止まっているヒマなんてない

私には時間がない

(SIGNAL/浜崎あゆみ より)