【長夏(ちょうか)】
東洋医学における五行色体表(※)の五季の1つ。(春・夏・長夏・秋・冬)
この時季は夏の盛りで特に梅雨から夏の終わりにかけてを指し、高温多湿で体内の水分バランスが崩れやすく、脾(消化器系)の機能が低下しやすいとされている。
そのため、養生としては〝脾〟を労り体内の余分な湿気を排出することが重要。

※五行色体表
東洋医学において五行説に基づいて自然界や人体を構成する要素を〝木火土金水〟の5つのグループに分類した表。
季節・臓腑・色・味・感情など様々な事象と関連付けられている。病気や不調の原因や治療法を考える上で重要な指針になるもの。

Ex)        
[五季] 春  夏   長夏      秋  冬
[五臓] 肝  心  脾  肺  腎
[五味] 酸  苦  甘  辛  鹹
[五思] 怒  喜  思  憂  恐
[五色] 青  赤  黄  白  黒
[五官] 目  舌  口  鼻  耳
★長夏の縦のラインが関連すると捉える





《長夏の養生》

◆脾を労る
消化の良いものを食べ、体内に湿を溜めやすい冷たいものや生もの・脂っこいものを控えめにする。
薬膳的観点からうるち米、椎茸、鶏肉などを使ってスープにするのがオススメとのこと。

◆体内の余分な湿気を排出する
利水作用のある食材(ハトムギ、とうもろこしのヒゲ、冬瓜など)を摂り、適度な運動で発汗。

◆香味野菜を摂る
食欲増進、消化促進、気を巡らせる、解毒作用などが期待できる。

◆甘いものを控える

◆お酒の飲み過ぎに注意

◆冷房で冷やし過ぎないようにする





《オススメ食材》

☑熱を冷ます食材
すいか、ゴーヤ、きゅうり、トマト、なす、冬瓜、豆腐          など


☑体内の湿気を取り除く食材
すいか、とうもろこし、とうもろこしのひげ、キャベツ、冬瓜、山芋、枝豆、緑豆、大豆、そら豆、さやいんげん、梅、海藻類、ハトムギ、そば、鶏肉、鯵、鯖、鰯、香味野菜(生姜、みょうが、ネギ、ニンニク、ニラ、紫蘇、セロリ、パセリ、春菊、三つ葉 )             など

・梅
胃腸を整え、体内の水分バランスを保つ働きがある。

・夏野菜
水分が豊富で喉の渇きを癒す働きがあるものが多い。

・温熱性の食材
冷房による冷え対策。但し、内臓を温める程度に留めて摂り過ぎないようにする。

・海藻類
特にもずくがオススメとのこと。独特のネバネバが体内の湿を排出してくれ、清熱効果もある。
もずく酢は手軽に取り入れられるが、酸味が苦手な場合めかぶを加えてマイルドになる。温熱性の生姜を加えれば冷え体質でも摂りやすい。

・ハトムギ茶、黒豆茶、小豆茶、とうもろこしのひげ茶などもオススメ


☑赤色の食材
先述した五行色体表を参考にすると〝夏〟の時季に〝心(しん)〟を養うのに適している。
トマト、梅干し、すいか、小豆、りんご、山査子(さんざし)、クコの実、赤ピーマン、赤かぶ、にんじん、鰹、マグロ、鮭、エビ、カニ、いちご、ざくろ、クランベリー、ハイビスカス、ローズヒップ、紅茶、赤ワイン             など


☑黄色の食材
さつまいも、かぼちゃ、じゃがいも、とうもろこし、ヤングコーン、大豆、黄ピーマン、生姜、卵黄、栗、銀杏、粟、柚子、レモン、バナナ、マンゴー、枇杷、ハトムギ、菊花             など





今回は東洋医学における〝夏〟〝長夏〟の養生についてご紹介しました。
身近なことで養生するだけでなく、先人の知恵ともいえる五行色体表を基にした養生を取り入れてみるのも興味深いかもしれません。