【いか(烏賊) 生薬名:なし】
《東洋医学的特徴》
①五味 鹹味(塩辛い) ②五性 平性
・オススメの時季は夏(梅雨)
・効能は〝補血・滋陰〟
血虚・陰虚タイプに向いている。
顔面蒼白、唇・爪の色が白い、貧血、めまい、心悸、肢体の痺れ、微熱、ほてり、精神不安、月経不順、不正出血、帯下(おりもの)、動脈硬化、高血圧などの症状に効果的。
但し、消化の良い食材ではないため胃腸虚弱の場合には炭酸水やお酒などで煮てやわらかく摂るようにする。
・代謝を高め内臓の働きを助けるため疲労回復や老化防止に有効。
・イカ墨は〝活血〟の働きを持つ。
イカ墨はコウイカ類が敵から身を守るために吐き出す黒褐色の粘液。中世のベネチアではペストに効くとされ盛んに食べられた歴史があるのだそう。
血を促進させる〝活血〟の働きがあることから月経時の血の塊がある場合に効果的。また、不正出血には〝収渋〟の効果で止血に作用する。
【イカ墨】
《東洋医学的特徴》
①五味 苦味 ②五性 平性
・いかは〝烏賊〟と表記されることがあるが、これはカラスがいかを食べようとして逆に捕らえられたという故事が元になっている。
《調理法》
・炒め物
野菜と一緒に炒める。いかは短時間で日が通り歯ごたえのある食感と旨味を味わえる。
・煮物
大根や里芋と一緒に煮ることでいかの旨味が染み込む。
・干物
スルメイカを干した〝するめ〟は保存食として便利。炙って食べることで香ばしさが引き立つ。
・お刺身
新鮮ないかは甘味と食感を味わえる。
【たこ(蛸・章魚) 生薬名:なし】
《東洋医学的特徴》
①五味 甘味・鹹味(塩辛い)
②五性 寒性(血を増やす食材の中でたことほうれん草は身体を冷やすとされる)
・血を補うことにより気を補う【益気養血】
気虚・血虚タイプに向いている。
顔面蒼白・めまい・心悸・不眠・疲労・声が小さく低い・暑さに関係なく汗が出る・脈が弱い・舌が淡くぶよぶよしている・萎黄(※)などの症状に効果的。
※萎黄(いおう)
肌や爪・下などが黄色く見え、体調不良を伴う症状。気血(エネルギーと栄養素)の生成が不足している状態を表しており、脾の機能低下や血虚などが考えられる。
・収斂作用(しゅうれんさよう=収縮させ引き締める作用)を持つことから、慢性下痢・遺精・多汗・慢性咳・出血などの症状に効果が期待できる。
・津液(しんえき)を生じさせる。
・生肌作用を持つ(傷跡や皮膚のただれを収斂して治す)
・強筋骨の食材(筋肉や骨を強くする、質の良い筋肉をつけること食材)
Ex)たこのほか、骨付き肉、黒米、栗、カリフラワー、芽キャベツ、うずらの卵、鰯、スズキ、ハゼ、ハタ、カツオ など
・旨味のあるたこはタウリンが豊富。コレステロールを分解して体外に排出し、肝臓の働きを助けて疲労回復や視力低下の予防(網膜細胞の機能を正常に保つ)などの働きをする。
《調理法》
・酢の物
薄く切ったきゅうりを塩揉みしたこも薄く切っておく。お酢・砂糖・しょう油を加え混ぜる。
・煮物
・たこ飯
・たこ焼き
・お刺身
・カルパッチョ
※たこは寒性の食材なので温性の生姜・お酢などを加えて胃腸を冷やさず食べるのがオススメ。
今回は今が旬の【いか・たこ】についてご紹介しました。
様々な調理法が可能な身近な魚介類のいかやたこですが、薬膳的な視点で食事を取り入れるのもこれまでと違った観点で興味深いかもしれません。
是非食養生の1つとして取り入れて、いかやたこの栄養の恩恵を受けていただければと思います。