【水毒(すいどく)】
体内の水分代謝が正常に行われず余分な水分(湿邪)が体内に滞り、様々な不調を引き起こす状態。特に女性に多いとされる。

【症状】
むくみ、身体が重い、倦怠感、関節の痛みやこわばり、冷え、胃腸障害(消化不良、下痢、便秘、胃もたれ、吐き気)、お腹を触ると冷たい、お腹周りでポチャポチャと音がする、耳鳴り、めまい、頭痛、不眠、乗り物酔いしやすい、天気が悪いと調子が悪い、尿量が少ない、また尿量が多い、喉が渇きやすい、舌に歯の跡がつく、アレルギー症状(喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎) など





《水毒のオススメ予防・解消法》

〚1〛陽性食材を摂る、甘いもの・油分の多いもの・ナッツ類は控える(※)
※甘いもの・油分の多いもの・ナッツ類は身体を潤す食材であるため、水毒体質では余分な水分が溜まりやすい

◎陽性食材
主に寒い土地が原産で冬が旬。色が濃い野菜。水分が少なく硬めの食材。

Ex)
にんじん、ごぼう、生姜、りんご、鶏肉、牛肉、そば、玄米、紅茶、海藻、味噌、しょう油、塩、黒砂糖、シナモン        etc


ちなみに、
陰性食材は主に暑い土地が原産で夏が旬。色が白っぽく、水分が多くやわらかめの食材。

Ex)
きゅうり、トマト、レタス、すいか、バナナ、豚肉、白米、うどん、牛乳、コーヒー、豆腐、お酢、マヨネーズ、白砂糖 etc

陰性食材を摂る場合は陽性食材と合わせて摂るようにすると陰性に偏り過ぎずにバランスがとりやすい。

Ex)
・コーヒー(陰性)+シナモン(陽性)
・レタス(陰性)+にんじん(陽性)+海藻(陽性)のサラダ


〚2〛水の巡りを良くする食材

・豆類
豆類の水溶性成分には有効成分が含まれる。茹で汁も有効活用。小豆や黒豆のほか、とうもろこし茶・ウーロン茶・プーアール茶なども。

・瓜類
きゅうり・シロウリ・ニガウリ・マクワウリは寒性、冬瓜・ハヤトウリは涼性で身体を冷やす性質があるため、冷え性や寒い時季に食べる際は加熱したり、熱性の食材と組み合わせたり、香辛料(生姜・唐辛子・胡椒など)を使うなどして工夫すること。

・海藻類
あおさ、昆布、わかめ、海苔は瓜類と同様に寒性や涼性の食材のため調理法などを工夫する。  

そのほかの利水作用のある食材:
大麦、玄米、ハト麦、春雨、緑豆、落花生 、カカオ、アスパラガス、エンドウマメ、グリーンピース、黒鯛、白魚、ハマグリ、あさり、牛タン、鴨肉、豚レバー、ハイビスカス茶、ココア       etc


〚3〛身体を温める(ストレッチや運動)
筋肉(特に下半身)が少なかったり、強いこわばりがあるとポンプ作用がうまく働かず体内の水分や血流が循環せず水毒の原因に。
激しい運動は必要ないので、階段を使う・ひと駅分歩く・その場足踏み・踵の上げ下げなど気軽にできることを取り入れてみる。夏こそ湯船に浸かって温める意識が必要。


〚4〛水の飲み方を見直す
・〝1日〇〇リットル〟など量を決めるのではなく喉が渇いた時に飲む

・1度にたくさんではなく、こまめに摂る

・冷たい水ではなく、常温のものや白湯を選ぶ





《オススメの漢方薬》

■五苓散(ゴレイサン)
体内の水分代謝を整え余分な水分を排出する。頓服としてそれなりに効果が期待できる。比較的即効性あり。

■真武湯(シンブトウ) 
乾姜(カンキョウ=生姜を蒸して乾燥させたもの)、附子(ブシ=トリカブトの塊根を干したもの)を含む。
冷えによって腸の働きが低下している水毒に対して有効。冷えによるめまいにも用いられる。

■苓桂朮甘湯(リョウケイジュッカントウ)
良性頭位めまい症の急性期に用いられる。

■猪苓湯(チョレイトウ)
水毒の症状のうち、主に排尿障害や尿路系の炎症に用いられる。

■半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
水毒に伴う頭痛やむくみ・めまい・排尿トラブルに用いる。

■六君子湯(リックンシトウ)
水毒に伴う胃腸症状が対して用いる。

■二朮湯(ニジュツトウ)
薏苡仁(ヨクイニン)・桂枝(ケイシ)・麻黄(マオウ)などを含む。
水毒に伴う関節の痛みやこわばりに。





今回は水分代謝の低下により起こる【水毒(すいどく)】についてご紹介しました。
日本は元より高温多湿の気候なので、梅雨時季だけでなくその後の夏の時季にも湿邪は悪さをしかねません。
ご紹介した水毒対策を参考に少しでも快適に不快な時季を乗り切りましょう。