口腔機能低下症は2018年に厚生労働省により指定された比較的新しい病気。この病気の怖いところは全身の機能低下の徴候になること。ちなみに口腔機能とは食べる(咀嚼)、飲み込み(嚥下)、話す(会話)などが挙げられます。
口腔機能は全身の衰えの前に低下するといわれていて全身機能のバロメーターとして見逃せない項目のうちの1つとのこと。口腔機能が低下すると低下していない場合と比較して2年後に全身が衰える〝フレイル〟や〝要介護状態〟になるリスクが約2.4倍になるという報告もあるようです。
口腔機能低下は40〜50歳代からはじまっているとされ、40歳代で約4割・50歳代では2人に1人がすでに要介護や死亡リスクが迫っている可能性があるといわれているのだそう。





病名としては口腔機能低下症と呼ばれますが、一般的には〝オーラルフレイル〟と呼ばれます。
《人間の活動状態の変化》 衰えの進み方
①健康状態
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②オーラルフレイル
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③フレイル(全身)
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④介護状態
①・③・④は状態を表す一方で②は病気を指します。治療せずに放置すると悪化して命を危険に晒す可能性が。オーラルフレイルが発症した場合、4年後に死亡するリスクは2.1倍にのぼるのだそう。





口腔機能の中でも嚥下機能は特に大切で、嚥下機能が低下すると誤嚥性肺炎のリスクが非常に高まるといいます。
嚥下機能が低下すると最初に出てくるのが〝むせ〟であることから〝むせ〟が続く場合には歯科で機能検査を受けた方が良いとのこと。
但し、最近では小児でも口腔機能の発達や機能獲得が不十分であることも多く(口腔機能発達不全症:口が半開きになっているのが特徴的な症状だそう)、20歳代でも機能低下によりむせる傾向にあり、加齢だけが機能低下の原因でないこともあるようです。





《口腔機能の低下を防ぐには。。。》
歯科医が推奨する以下のケアをご紹介します。

#1 舌回し
#2 あいうべ体操
#3 全力5秒うがい


#1 舌回し

舌を唇の裏側に差し込み、ゆっくり大きく時計回り5回、反時計回り5回行う。
舌で唇や頬を押すように回すのがポイント。そうすることで舌の根の方まで動かすことになり効果的。


#2 あいうべ体操

〚あ〛→喉の奥が見えるくらい大きく口を開ける
〚い〛→奥歯の外側が見えるぐらい口を横に広げる
〚う〛→唇を尖らせ鼻先より唇が前に突き出るところまで唇を出す
〚べ〛→〝あっかんべー〟の要領で舌を下顎に沿って出す


#3 全力5秒うがい

少量の水(大さじ2杯=約30ml)を口に含み〝ブクブクうがい〟〝ガラガラうがい〟をそれぞれ5秒ずつ×3セット行う。
ブクブクうがいでは全力で舌を前後に動かしながら、ガラガラうがいでは喉の動きを意識すると効果的とのこと。
このうがいは97%の除菌効果が証明されているそうで口腔内の衛生を保つ上でも有効だそう。





今回は【オーラルフレイル・口腔機能低下症】についてご紹介しました。
冒頭でお伝えしたように口腔機能低下症は40〜50歳代から始まるという驚きの事実があります。
ただ、対策としてはそれほど難しくなく短期間で効果が得られるものがほとんどです。起床後や食事後に口をゆすいだり、歯を磨く習慣があると思いますが、その続きとしてオーラルフレイル対策を加えてみてはいかがでしょうか?