【立春(りっしゅん)】
2/3当日、もしくは2/3〜2/17(雨水の前日)までの期間を指す。
旧暦の正月の節。旧暦ではこの日が1年の始めとされているため決まり事や季節の節目はこの日が起点となっている。
まだまだ寒い時季ではあるものの、旧冬と新春の境目にあたり暦の上では春になる。江戸時代の暦の解説書である〝暦便覧〟には『春の気たつを以て也』とあり、これは冬至と春分の中間点である立春は春らしさを感じる最初の日であるということを表している。
立春の前日が節分にあたり、立春(新しい年)が来る前に厄を払っておこうという想いを込めてする風習の1つが豆まきである。
《立春の七十二候》
◎第一侯 東風解凍(こちこおりをとく)
2/4〜8頃
東風(こち、はるかぜ)が吹き、氷を解かし始める頃。東風(こち、はるかぜ)とは春から夏にかけて吹く東寄りの風のこと。
東風は菅原道真が詠んだ『東風吹かば匂いおこせよ梅の花 主なしとて春な忘るな』という歌で有名な春の季語となる言葉。
◎第ニ侯 黄鶯睍睆
(うぐいすなく/こうおんけんかんす)
2/9〜13頃
うぐいすがきれいな声で鳴き始める頃。うぐいすの初音(はつね)が春の到来を告げる頃。うぐいすが〝春告鳥〟〝報春鳥〟と呼ばれる所以。睍睆(けんかん)とは鳴き声が良いという意味。
◎第三侯 魚上氷(うおこおりをいずる)
2/14〜18頃
暖かくなり湖の氷が割れて魚が跳ねる姿をみられるようになる時季。
この時季によくみられる春先の薄く張った氷や解け残った氷は〝薄氷〟〝春の氷〟〝残る氷〟と呼ばれ、まだまだ寒い日が続く雪国にも春の訪れを実感させてくれる。
《立春にまつわる言葉》
☑立春大吉
立春の早朝、禅寺では入口に〝立春大吉〟と書いた厄除けの紙札を貼る習慣がある。家の鬼門にこの紙札を貼る家庭もあるのだそう。
左右対称の文字で縁起が良く、1年間災難に遭わないとされている。
☑春一番
立春から春分(3/20)までの間にその年に初めて吹く強い南向きの風(東南東から西南西の風向で8m/秒以上)のことで、前日より気温が上がった際に春一番が吹いたと発表される。
☑寒明けの雨
1月の寒の入りから約1ヶ月経ち、寒が明ける頃(立春の時季)に降る雨のことを指す。寒明けは春の季語であり、立春の期間中である2月の初旬は寒い時季だけれどもこれから訪れる春に対して希望を込めて呼んでいたのだそう。
☑寒の戻り
立春を過ぎて暖かくなった頃に一時的に寒さがぶり返す現象のことを指す。
一般的には3月頃の暖かくなり始めた後に起こる寒さのぶり返しを指すことが多いとのこと。
《立春に食べると縁起が良いとされるもの》
□立春生菓子
立春の朝に作る和菓子を〝立春和菓子〟と呼び、その日のうちにすべて食べきると縁起が良いとされる。例えば、うぐいす餅・さくら餅・お団子などが挙げられる。
手作りが大変だという場合には和菓子屋やスーパーなどでもその時季に並ぶので立春のタイミングで是非。
□立春大吉豆腐
白色には邪気を払い身を清める力があるとされている。その縁起を担ぐのに最適なのが白色の豆腐で〝立春大吉豆腐〟と呼ばれている。
立春に立春大吉豆腐を食べることで罪や穢れ(けがれ)を追い払うことができるといわれている。食べる際の調味料は白い豆腐をそのままの状態でいただくことができる藻塩がオススメとのこと。
□立春大福
元々大福は〝大きな福を呼ぶ〟とされる縁起の良い和菓子。それに加えて立春大吉の厄除けが合わさることでより縁起の良いものとして昔から伝えられてきたのだそう。
《立春の頃に旬を迎える食材》
白菜、大根、蓮根、ほうれん草、小松菜、水菜、菜の花、三つ葉、ふきのとう、ニラ、セリ、さやえんどう、ブロッコリー、葉ごぼう、わさび菜、枝豆、柚子、キウイ、とらふぐ、白魚、鰆、ハマグリ etc
今回は二十四節気【立春(りっしゅん)】についてご紹介しました。
2月に入ったばかりで立春という文字をながめても冬の最中で春を想像するには気持ちが追いつきませんが、暦の上では春になります。
厳しい寒さが続く中でも春を迎える心身の準備を行っていけると良いですね。