【小寒(しょうかん)】
1/5当日、もしくは1/5〜19(大寒の前日)までの期間を指す。寒さが加わる頃という意味でいわゆる〝寒の入り〟のことを指す。小寒から節分までの30日間を〝寒の内〟といい、寒風と降雪で寒さが厳しくなる頃でありこれからが冬本番となる。
江戸時代の暦の解説書〝暦便覧〟には
『冬至より一陽起るが故に陰気に逆らう故益々冷る也』という記載がある。
これは冬至が過ぎ陽の気が起こるとそれに対抗して陰の気が強くなりますます冷えることを表している。





《七十二侯》
二十四節気をさらに3つに分ける

◎初侯(第六十七侯)
芹乃栄(せりすなわちさかう) 1/5〜9頃
冷たい水辺で育つ芹は空気が澄み、冷えるこの頃に競り合うように育ち1〜4月の間に旬を迎える。小寒の冷たい水辺で育った芹は葉の先まで瑞々しく美味しいことから〝寒芹〟と呼ばれ珍重された。

◎次侯(第六十八侯)
水泉動(しみずあたたかをふくむ) 1/10〜14頃
地中で凍っていた泉が融け動き始める頃。
水泉は湧き出る泉のことを指す。まだ空気は冷たく厳しい寒さは続くものの目には見えなくても地中では陽気が生じて春に向けて少しずつ動き出している。

◎末侯(第六十九侯)
雉始雊(きじはじめてなく) 1/15〜19頃
雉の雄が雌への求愛のため鳴き始める頃。
雉は地震を予知して鳴くといわれ、古くからその挙動が注目されてきたのだそう。
これは足の裏で敏感に察知できるからなのだとか。地震・雷などの際に雉が鳴くことを〝音合わせ〟という。





《小寒にまつわる あれこれ》

☑寒の内、寒中
1年で最も寒い時季でこの寒さを利用して氷餅・凍み(しみ)豆腐、寒天作りなど寒の仕事が始まる。寒中水泳や寒稽古なども行われる。


☑寒四郎(かんしろう)
小寒から4日目。この日の天候が麦の収穫を左右すると信じられている。


☑寒九(かんく)
小寒から9日目。この日に降る雨は〝寒九の雨〟と呼ばれ豊穣の兆しであるとされている。また、この日に汲んだ水を〝寒九の水〟といい薬になるとまでいわれていたのだそう。


☑寒仕込みの酒、醤油、味噌などは寒の水を用いるため雑菌が抑えられ腐りにくい上、発酵もゆっくり進むため味に深みが出ると珍重されていたのだそう。
そのほか、寒蜆(かんしじみ)・寒海苔・寒ブリ・寒卵・寒餅などがあり、寒の時季の食材は上質で栄養価が高いとされ喜ばれる代物だった。


☑小寒の期間の1/7には〝七草粥〟を食べて無病息災を願う風習がある。春の七草〝セリ、ナズナ(ペンペン草)、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)〟は小寒の時季に育っていく。年末からお正月にかけて忙しく働いた身体や胃腸を労って食す。


☑1/11 鏡開き
正月に年神様にお供えしていた鏡餅を下げていただく。鏡餅は神様の宿るところと考えられていて、鏡餅を開くことで年神様をお送りしてお正月に一区切りをつける。また鏡餅を食すことでその力を授けてもらい一家の無病息災を願う。


☑1/15は小正月と呼ばれ〝小豆粥(十五日粥)〟を食べ無病息災を願う。
かつて日本では月の満ち欠けを1ヶ月の基準として暮らしていて、満月になる旧暦の1/15にあたる日を1年の始まりである正月として祝っていたのだそう。日本人の〝満月はめだたいものである〟という考え方に由来するという。
また、小豆の赤い色は邪気を払うとされている。小豆粥の代わりにぜんざいを食べる地域や団子・餅を食べる地域もあるとのこと。





《小寒の頃に旬を迎える食材》

□野菜・果物
小松菜、ブロッコリー、ネギ、ゴボウ、春菊、芹、芽キャベツ、ケール、ほうれん草、大根、にんじん、三つ葉、あさつき、みかん、いちご、金柑、ポンカン、ダイダイ etc

□魚介類
鮟鱇、金目鯛、鰆、鰤(ブリ)、イカ、鰈(カレイ)、鱈、カワハギ、ワカサギ、鮃(ヒラメ)、ナマコ etc





今回は二十四節気【小寒(しょうかん)】についてご紹介しました。
風が冷たく、凍てつく寒さが堪えるようになる小寒の時季には心身ともに温めることが大切です。温かい飲みものや旬の食材を摂り、寒の時季の風物詩や昔から受け継がれる風習に触れつつ厳しい寒さに備えましょう。