風邪に関して【ひく】という言い回しをしますが、風邪に【かかる(罹る)】という言い方は一般的ではように思います。
言語学的に考えると、
◎風邪を【ひく】
自分で引き起こしたものであり、責任は自分にある。
◎病気に【かかる(罹る)】
どこかから災いがふりかかってくる状態。努力だけで回避できない。
というように捉えられるようです。
《風邪をひくという言い回しの由来》
東洋医学において風邪は〝風が運んでくる邪気を身体に引き込む〟という考え方からこの言い回しが生まれたのだそう。
古代中国で風は大気の動きであるとともに、人の肉体に何らかの影響を与える原因としても考えられていました。
平安時代より〝風〟が病としての意味で表され始め、風邪を風病(ふびょう、ふうびょう)と発音するようになったのもこの頃から。
鎌倉時代になると身体に悪影響を及ぼすことから邪の文字をつけて〝風邪〟と名付け、明治時代には風邪を〝かぜ〟と読むようになったのだとか。
一般的に外気が10℃を下回ると免疫力が低下するといわれています。皮膚や粘膜には邪気から身体を守るバリア機能があるものの、冬季はこのバリア機能が低下。
加えて、乾燥の強さから呼吸器にダメージを受けやすく風邪をひく傾向が強まります。
そこでオススメなのが魚際(※1)というツボへのお灸、そして風門(※2)というツボを温めること。
※1 魚際(ぎょさい)
親指を軽く曲げて、親指の腹のシワの中で一番凹んでいるところ。親指のつけ根の中央で親指の骨の際。
※2 風門(ふうもん)
顔を下に向けた際に最も出っ張る骨のすぐ下の凹みから背骨2つ分下で指2本分外側。
《風や風邪に関する余談ですが。。。な話》
・実は日本には破傷風・痛風・風疹・中風など〝風〟の文字がつくケガや病名が多い。この中で中風(ちゅうふう)は脳卒中の俗語であり、〝風邪に中(あた)る〟と表現される。これは昔風邪が麻痺の原因になると考えられていた名残なのだそう。
・建築用語で〝風邪をひく〟とは、セメントや石膏などが風化して硬化不良になった状態のことを指すのだそう。
このほか、〝馬鹿になる〟という言い回しもあるのだそう。
・『夏風邪は馬鹿がひく』
①馬鹿は自分が風邪をひいたことにすら気がつかないほど鈍感であるという説
②江戸時代、あまりの暑さに何も掛けずにお腹を出したり、冷たいものを飲んだり食べたりし過ぎたりすることで風邪をひいてしまうところから、その時の気分だけで考えなしに行動した結果風邪をひく様子を皮肉ったもの。