【小雪(しょうせつ)】
わずかに雪が降る時季という意味。
11/22当日、もしくは11/22〜12/6(大雪の前日)までの期間を指す。 
木々の葉が落ち、北国や山間部では初雪が舞い始める頃。日を追うごとに冷え込みが増し、冬の気配を感じ始めるものの寒さも雪も本格的ではないため〝小〟の字を用いて〝小雪(しょうせつ)〟と呼ばれるようになったのだそう。
江戸時代に発行された暦便覧には『冷ゆるがこ故に雨も雪となりてくだるがゆへ也』と書かれている。
これは『日が短くなり空気が冷え雨が降ってくる間に雪になっている』という意味なのだそう。





[七十二候] 二十四節気をさらに三分する

◉初侯 11/22〜11/26頃
『虹蔵不見(にじかくれてみえず)』

虹は通常空気中の水滴に太陽光が当たって反射してできるものであるため、陽射しが弱まり空気が乾燥するこの時季には虹の出る条件が整わないことの方が多くなる。
ただまったく現れないわけではなく、夏のようなくっきりとした虹ではなくぼんやりとした輪郭の虹が多く、すぐに消失してしまうのだそう。


◉次侯 11/27〜12/1頃
『朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)』

朔風は北風のことで〝木枯らし〟を指す。
日本海を渡る際に水分を含んだ北風は山地にぶつかり、日本海側で多くの雪を降らせる。そして、山を越えた太平洋側では乾燥した風に移行して〝空っ風〟と呼ばれる。
元々〝朔〟という字は〝はじめ〟や〝元へ帰る〟という意味で使われるが十二支を方角にあてはめると子(ね)の方角が〝北〟になり、子(ね)は干支の一番初めに位置することから後に〝朔〟は〝北〟を指すようになったのだそう。
この時季に土に落ちた木の葉は〝望み葉(のぞみば)〟と呼ばれ、土の中で肥料になり春の植物の栄養になる。


◉末侯 12/2〜12/6頃
『橘始黄(たちばなはじめてきばむ)』

現代で橘は〝ヤマトタチバナ(日本に自生する固有の柑橘類)〟を指すが、古くは柑橘類を総称して〝橘〟と呼んでいたのだそう。
また、古事記や日本書紀といった古典には〝非時香菓(※1 ときじくのかくのこのみ)〟という記載があり、これが橘であるとも伝えられている。不老不死の力を持つ橘の果実は田道間守(※2 たじまもり)が常世国(とこよのくに=不老不死の理想郷)から持ち帰ったと伝えられているのだそう。

※1 非時香菓(ときじくのかくのこのみ)
時を定めずいつも香りを放つ実という意味がある。
〝菓〟の文字は古くは果実を示すものだった。〝ときじ〟は〝時〟に否定的な意味をもたせる接尾語〝じ〟が付いてできた形容詞。

※2 田道間守(たじまもり)
日本神話に登場する伝承上の人物。但馬(たじ)国の国守(くにもり)の意。
垂仁(すいにん)天皇の命で常世国(とこよのくに)へ行き、非時香菓(橘の実)を10年かけて持ち帰ったとされる。





《小雪の時季にまつわる あれこれ》

□11/23[勤労感謝の日]の前身は、五穀の収穫に感謝して祝う〝新嘗祭(にいなめさい)〟で新穀(新米)を神様に供えて感謝し、人がその年に初めて口にする行事。


□小雪の期間は寒くなる時季である一方で移動性高気圧に覆われると平野部で暖かくなることもあり、このような晩秋〜冬にかけての春のように穏やかな陽気を【小春日和】と呼ぶ。

ちなみに〝小春〟とは旧暦の10月のことで現代では11月〜12月初旬を指す。
小春日和が続くと春と勘違いして桜やたんぽぽといった春の花が咲くことがあり、〝帰り花〟〝忘れ花〟〝狂い花〟と呼ばれるのだそう。


□酉の市
毎年11月の酉の日に開催される〝開運招福〟〝商売繁盛〟を願う祭。日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が浅草の鷲神社にて東夷征討の戦勝を祝い、松の木に熊手をかけてお礼の祭りを行ったことに由来する。
2024年は一の酉(11/5㈫)、二の酉(11/17㈰)、三の酉(11/29㈮)と催される。特に一の酉が一般的に重んじられていたとのこと。
酉の日の祭日は12日おきに巡ってくるサイクルで2回の年と3回の年があり、三の酉まである年は火事が多いとされ火の用心につとめる風習もあるのだそう。
酉の市といえば熊手が有名で、これは熊手で〝福をかき集める〟というところから。最初の年には小さいものを購入して、次の年には前年よりも大きいものを購入するというように熊手を大きくしていくのが縁起が良いとされている。
酉の市の熊手は商売人が買い求めるイメージだが、家内安全・開運招福の願いを込めて家庭に飾る方も多いのだとか。





今回は二十四節気【小雪(しょうせつ)】についてご紹介しました。
小雪の時季は日中は比較的過ごしやすいですが朝晩は冷え込むことも。寒暖の差で体調を崩しやすい時季でもあります。
冬支度を整えつつ、体調管理を行って行きましょう。