【痰飲(たんいん)】
水毒の1つ。
食べ過ぎ・飲み過ぎにより消化しきれなかった栄養物が体内で滞り、ヘドロ化した状態になり気血の巡りが妨げられた状態。
継続的な暴飲暴食・生冷食で東洋医学における脾(消化系)が機能低下を起こして水をさばけなくなっている。
体内の水分代謝が乱れることで異常な水液となった病理的産物が滞留して生じる。
粘稠なものを〝痰〟、サラサラしたものを〝飲〟と呼ぶ。
《痰飲 チェックリスト》
□中性脂肪値・コレステロール値が高い(脂質代謝異常)
□血圧・血糖値が高い(糖尿病)
□脂っこい食事を好む
□手や足が常に湿っている
□むくみやすい
□肩凝りや頭痛がする
□便の匂いが強く、粘り気がある
□めまいがする
□舌の色が暗い
痰飲は精神障害を招く場合もあり、胸苦しさ・不眠多夢・憂鬱感・朦朧とするなどの症状が現れることも。これらの症状は雨の日や湿気の多い日に悪化する傾向があるとのこと。
水分代謝が停滞する原因は冷え・疲労・過食・甘いものや脂っこいものの食べ過ぎ・内臓機能(特に肺、胃腸、腎)の低下など多岐にわたります。
水分代謝の低下による水液の停滞が起こると、胃腸に溜まれば胃がチャプチャプとする・腹脹・吐き気・腸がグルグルと鳴るといった症状が起こり得ます。
また、舌診(ぜっしん:舌の状態を診て身体の状態を把握する東洋医学における診断方法)して、腫れぼったく大きかったり、舌苔(ぜったい:舌に膜のように張っているコケのようなもの)が厚かったりする場合、余分な体液が停滞しているサインと捉えられます。
こういった場合、身体の水はけを良くすることが先決。水分代謝を上げるためにカフェインの入っていない飲み物などをこまめに摂取することも大切とのこと。
痰飲には性質により種類があるのだそう。
湿痰、熱痰、燥痰、寒痰、風痰 など。。。
このうちよくみられるのが、痰が白色で多い・喀出しやすい・咳が出る・胸苦しい・吐き気がする・嘔吐・めまい・動悸・手足がだるい・白い舌苔(舌に膜のように張っているこけのようなもの)に粘り気がある、といった特徴の痰飲で〝湿痰〟と呼びます。
治療には、湿熱の治療薬である〝竜胆瀉肝湯〟〝防風通聖散〟〝黄連解毒湯〟などが有効とのこと。前回ご紹介した瘀血と痰飲はしばしば同時に存在するため、駆瘀血薬を併用すると治療効果が向上する場合が多いのだそう。
《痰飲を改善するために》
・主食は出来る限り雑穀入りの米飯にする。夕食は少なめに。
・海藻類、きのこ類、根菜類を積極的に摂る。
・肉類、卵の黄身、魚卵、脂っぽいもの、味の濃いものは出来る限り避ける。
・水分、糖分は摂り過ぎないようにする。
・食後に温かい①ウーロン茶、②はと麦茶、③プーアール茶を飲む。
①ウーロン茶
・抗酸化作用(茶カテキン)
・ダイエット効果(ウーロン茶重合ポリフェノール)
・リラクゼーション効果
・デトックス効果(ミネラル)
・むくみ改善(カフェイン)
・虫歯予防
・アトピー性皮膚炎の改善効果
②はと麦茶
・生活習慣病の予防、改善
・美肌効果
・デトックス効果
・抗炎症効果
・ダイエットサポート
・むくみ解消
・脂肪瘤や嚢腫のできやすい体質を改善
③プーアール茶
・免疫力UP
・抗がん効果
・デトックス効果
・美肌効果
・ダイエット効果
・冷え性改善
・便秘解消
・胃もたれ改善
・血糖値の上昇を抑える
・歯を強くする(フッ素)
・消化促進(※没食子酸=もっしょくしさん)
※没食子酸
茶葉の発酵の過程で生成されるポリフェノールの一種であり、リパーゼを生成する。
《痰飲に対するオススメ食材》
[オススメの食性・食味]
平性、温性、涼性、甘味、辛味、鹹味(かんみ=塩辛さ)
・アブラナ科の野菜
キャベツ、大根、ブロッコリー etc
・イヌリン(※)が豊富な食材
ゴボウ、菊芋、ニラ、玉ねぎ、チコリ etc
※イヌリン
水溶性食物繊維。デンプンの一種。
・ユリ科の野菜
玉ねぎ、ネギ etc
・きのこ類
椎茸、しめじ、きくらげ etc
・果物
いちじく、バナナ、りんご etc
・穀類、豆類
玄米、黒豆、小豆、大豆(特に皮の部分) etc
・海藻類
昆布、ワカメ、海苔、めかぶ、もずく、ひじき etc
・香辛料、ハーブ類
カレー粉、パクチー、紫蘇、三つ葉 etc
今回は水毒の1つである【痰飲(たんいん)】についてご紹介しました。
冒頭でお伝えしたよう痰=粘稠なものは実は目に見えない痰であるため少々やっかいなものです。
これは食材や食事の摂り方、調理方法によって対処できる部分もあります。
日頃の食生活をいま一度振り返ってみてはいかがでしょうか?