【山芋】
生薬名:山薬(さんやく)
旬は10〜3月頃
[東洋医学的特徴]
①甘味 ②平性 ③気虚タイプに効果的
[効能・効果]
①胃腸を整える働きがあるため、食欲不振や止瀉(下痢を止める)などに効果がある。
②滋養強壮、強精、鎮静、解熱などの効果がある。痩せて元気がない状態や暑さ・寒さからくる疾患、様々な疲労消耗に有効。
③体力低下や治りづらい咳、頻尿や髪の劣化が見られる老化の症状に有効。
④東洋医学における脾、肺、腎の気(エネルギー)や陰気(冷やす力)を補うとともに、収斂作用(※しゅうれんさよう)を持つ。
※ 収斂作用
大小便、帯下(おりもの)、精液、胎児など有形のものが出るべきでない時に漏れ出てしまうのを防ぐ働き。漏れ出てしまうと気や陰気が不足してしまう。
⑤東洋医学における心気を益すことから健忘や遺精(精液が漏れ出てしまう)に作用する。
⑥東洋医学における腎を補い、虚損(※1)や労傷(※2)を回復させる。
※1 虚損
虚労ともいう。慢性疲労に陥り自力では回復できないもの。
※2 労傷
労倦ともいう。東洋医学における〝疲労〟を指す。
⑦糖尿病の予防や体質改善にも利用される。夜尿症、頻尿などにも。
免疫賦活作用、抗炎症作用、血糖降下作用を持つ。デンプン・糖たんぱく質・アミノ酸・ステロールなどのほか、デンプン分解酵素であるアミラーゼや活性酸素を除去するカラターゼを豊富に含んでいる。
中国の薬草の代表的な古書〝神農本草経〟にも記載があり、〝虚弱体質を補い胃腸の調子を良くし、暑さ寒さに耐え、耳や目の状態を保ち長寿につなげる助けになる〟と書かれているのだそう。
山薬は山芋の皮を除いたものをそのまま乾燥させたり、もしくは蒸してから乾燥させて漢方で用いられます。
代表的なものとして、八味地黄丸(はちみじおうがん)・六味丸(ろくみがん)・参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)などの漢方に配合されています。
漢方を取り入れたいという場合には専門医にご相談されることをオススメします。
イモ類は通常生で食べることは少ないですが、その中で特に生食用として好まれるのが山芋や長芋。山かけ、和え物、とろろ汁などで家庭でも食べられることが多いかもしれません。
栄養豊富で消化酵素であるジアスターゼを多く含むことから消化吸収も良く、古くから〝山のうなぎ〟と称されるほど精力がつくとされています。
和名のヤマノイモ(山の芋)は古い時代に渡来した里芋に対して付けられたものなのだそう。また、自然に生えることから自然薯(じねんじょ)・自然生(じねんじょう)とも呼ばれます。
今回は今が旬の生薬名を山薬とよぶ【山芋】についてご紹介しました。
生薬というとすこしハードルが高いように感じられますが、食材としての山芋であればスーパーでも手に入れることのできる身近なものだと思います。
まずは食養生として山芋を取り入れてみてはいかがでしょうか?