【以類補類(いるいほるい)】
身体の弱っている部分と見た目が似ている食材を食すことで強化したいところを補うという考え方。
また、弱っている部分を他の動物の同じ臓器を食すことで補うという考え方。
そのほか、似類補類・同物同治・象形薬理といった言葉もある。
・弱っている臓器の形に似たものを食べるとその臓器の働きを助けることができる
・弱っている臓器を他の動物の同じ臓器を食すことで補うことができる。
・そら豆の形は腎臓に似ていることから腎臓を活性化させてむくみを解消したり、気力を養ったり老化防止にも役立つとされる。
・クルミは脳の形に似ていることから脳の働きを活性化が期待できるとされる。
クルミは中国で〝健脳の木の実〟と呼ばれる。実際に脳の活性化に効果的なオメガ3脂肪酸がナッツ類の中でも多く含まれていて、血液をサラサラにして脳の老化を予防し集中力や記憶力を高めてくれる。薄皮にはポリフェノールが豊富。
・調子の悪い部分と豚の同じ部分を食すことで不調を治すことができる(沖縄における食養生、島の宝であるアグー豚)
・沖縄では足が痛む時にはコラーゲンたっぷりの豚足煮込み(アシティビチ)、疲れが溜まっていると感じたらビタミン豊富な豚の肝臓(シンジムン)を煎じたもの、血を補う貧血予防として豚の血の中に豚肉・にんじん・かまぼこ・きくらげなど様々な具材を入れて炒め煮したもの(血イリチー)を食べることで不調を治すという考え方がある。
[ひとくちメモ]
沖縄では肉のことを〝しし〟と呼び、〝しし〟といえば豚肉を指すのだそう。
豚は『鳴き声以外はすべて食べる』といわれ皮から内臓まで丸ごと大切に食べ尽くされるという。(肉の部分のほかに豚の耳、面皮、肋骨、胃腸、肺、肝臓、膵臓、腎臓なども)
沖縄には中国薬膳の以類補類の考え方が根付いていて、類をもって類を補うという捉え方のもと、調子が悪い部分と豚の同じ部位を食べることで不調を治す習わしがある。
そのほか、下記のような捉え方で養生をする場合もあるようです。
・赤い花や赤い食材は婦人科系疾患(東洋医学における血のトラブル)に効果的とされる。
Ex)紅花、サフラン、牡丹、芍薬、いちご、トマト、にんじん、レバー etc
・香りが良いものは直接目に見えない気を巡らせる働きがあるとされる。
Ex)桂皮、薄荷、厚朴、紫蘇 etc
・水辺に育ったもの、吸湿性のあるものは利水作用があるとされる。
Ex) 沢瀉、猪苓、半夏 etc
・中が空洞のものは水の巡りを良くするとされる。
Ex) 麻黄、木通 etc
・木に寄生する霊芝(れいし)や虫に寄生する冬虫夏草(とうちゅうかそう)は身体にできた(寄生した)ガンなどの異物に効果がある。
今回は【以類補類(いるいほるい)】についてご紹介しました。
以類補類で用いられる食材には私たちの生活に身近な食材も見受けられます。
日頃の献立に以類補類の考え方や旬の食材を取り入れて心と身体に栄養補給をしてみてはいかがでしょうか?