長い残暑が落ち着き、やっと秋らしい気候を感じられるようになってきました。過ごしやすい気候になり登山やハイキングなどに出かける方もいらっしゃるかもしれません。
東洋医学が根強い中国でもこの時季秋に山登りをする習慣があり、山登りといえば秋というイメージが強く【秋登(しゅうと)】という言葉があるほどなのだそう。





《東洋医学における肺の働き》
・呼吸器系の機能
・免疫機能
・水分などの代謝機能
・体温調節機能
・水を全身に行き渡らせ回収する(通調水道を司る)

①宣発作用
発散・拡散を意味し、肺が気(身体を温め動かすエネルギー)・水・栄養を全身に拡散させる作用。
宣発作用は〝息を吐く時〟に起こり二酸化炭素などの濁気を放出。

①が失調すると。。。
・風邪をひきやすい
・汗の異常(暑くないのに汗をかく or 暑くても汗をかかない)
・鼻づまり
・喘息 
・胸苦しさ





②粛降作用
呼吸器官に酸素など清気を吸い込んだり、気や水を上から下に降ろしたりする作用。粛降作用は息を吸う時に起こる。

②が失調すると。。。
・咳
・息切れ





身体の特徴や変調を表す〝五行色体表〟を参考にすると、五季の秋と五臓の肺が関係が深いことがわかります。

[五季] 春  夏  長夏  秋  冬
[五臓] 肝  心  脾   肺  腎

秋に山登りすることで足腰の筋肉が、そして高度の高いところに行くことで心肺機能が鍛えられ、五臓の〝肺〟の強化が期待できるといいます。
秋冬は乾燥や寒冷の影響が出やすい時季なので秋の登山で東洋医学における肺を鍛えて備えたいところです。





《秋の養生》
生活における養生として、秋はあくまでも物事を整理したり、仕上げたりする時期と認識し、無理に新しいことを始めてエネルギーを過度に消費しないようにするのが吉だとされています。
乾燥による体調不良を感じている時は香辛料などの辛味の熱性が乾燥を悪化させる可能性があるため摂り過ぎには要注意。
また、秋は気分の落ち込みが強くなる傾向が。これは日照時間の減少や気温の低下などにより起こるとされています。
この対策として、東洋医学では〝秋には早く寝て早く起きること、そして出来る限り心を穏やかにして悔やんだり妬んだりしないことを心掛ける〟という教えがなされています。
加えて、夏場に冷たいものを摂り過ぎたり、冷房で身体を冷やし過ぎたりすることで身体の不調、特に身体のだるさや胃腸の不調を訴える方が多い傾向にあります。
消化の良い温かいものを腹八分目程度にとどめて胃腸を労るように心掛けましょう。





季節ごとの過ごし方の影響は〝夏の過ごし方は秋の初めに〟〝秋の過ごし方は冬の初めに〟といわれるように数ヶ月前の生活の仕方が季節の変わり目に出ることが多くあります。
ご自身の体質や季節に合った養生を取り入れつつ、気持ち良く健やかに過ごしていただければ幸いです。