東洋医学の古典〝黄帝内経(こうていだいけい)〟には『陽気者、若天与日(陽気は人にとって天や太陽のようにとても重要なもの)』であると記されるほど、健康や美容にとって重要な役割を果たしていることが伺い知れます。
陽気は冷風・冷気、冷飲・冷食よって損なわれることから冬の冷気の影響で陽気を損傷して秋冬に不調を招きやすくなります。
それを回避するには夏の暑い時季の間にも陽気を損なわない生活を心掛けたいところです。





《冷えにより起こりやすい症状》

◎冷え性 
・人より冷えを感じやすい
・秋冬にしもやけになりやすい

これは実は暑い時季の過ごし方が大きく影響しているといいます。
長時間冷える環境にいるなどして身体の深部が冷えている状態が続いていると冷え性体質を招いて秋冬に不調を抱えやすいとされています。


◎お腹の冷えや胃腸のトラブル
・軟便、下痢を引き起こす
・食欲不振
・胃のむかつき、吐き気 
・お腹が冷えてシクシク痛む
・体重減少

冷たいものを摂り過ぎる、長時間冷える環境に身を置くなどすることにより、東洋医学における〝脾(消化系、胃腸)〟の陽気を損なっている状態に陥ります。


◎関節痛
冷えによる腰痛、肩痛、膝痛、五十肩 etc

関節の経絡(気や血の通り道)に寒邪が入り込み、気血の流れが滞り痛みを引き起こす〝不通即痛(ふつうそくつう)〟の状態が起こりやすくなります。





《冷え対策》

①冷房の設定温度を上げる、風向を調整する

一般的に26〜28℃ほどが身体に負担がかからないということで推奨されていますが、その場所の環境により効き方が異なったり、外気温や湿度などによっても変化します。また、風向によっても体感は変化します。
外気温と室温との差が著しいと身体への負担は大きくなります。冷房の調節が難しい場合にはひざ掛けや羽織るものなどを活用して体感温度に合わせて着脱しやすいようにし対策しましょう。


②冷たいものを摂り過ぎに注意し、温性の食材を積極的に摂る

冷たいものの摂り過ぎは東洋医学における〝脾(消化系、胃腸)〟の陽気(温めるエネルギー)を傷めるため、胃腸の不調を自覚する際には意識して温かいものを摂るようにしましょう。
食欲がない時には冷たい素麺やそばなどで手早く済ませがちですが、お粥や茶碗蒸しなど温かく消化の良いものを摂るようにして消化機能を損なわないようにするのが良いでしょう。

[オススメ食材・飲料]

生姜、胡椒、唐辛子、シナモン、カルダモン、グローブ、にんにく、パクチー、ネギ、玉ねぎ、長芋、羊肉、牛肉、鶏肉、エビ、蓮の実、松の実、黒砂糖、生姜湯、カフェイン飲料、ハーブティー(カルダモンシード入り) etc
※元々胃弱であったり、ストレス性の胃痛を抱えている場合、生姜・唐辛子・カフェイン飲料は刺激が強いため避ける、または量を調整すること。


③身体の外側から温める

冷風・冷気による痛みには外側から温めるのが効果的。

・冷えを感じたら深部まで到達する前に早めに湯船に浸かりましょう。発汗することで体内に入り込んだ冷えの元を外へ追い出す。

・薄手の腹巻きで身体の中心を温め、全身の温活に繋げましょう。

・足首周りには太い血管が通っているため、冷やしてしまうと全身に冷えが巡り不調の元に。靴下は履かなくても構いませんが薄手のレッグウォーマーや長ズボンで足首周りの冷えを予防しましょう。

・足三里にお灸を施すのもオススメ。
〝春夏養陽〟という言葉があり春夏は陽気が盛んな時季とされるため、すでに冷えを自覚している場合には暑い時季から足三里へのお灸をすることで秋冬の不調を予防して健康をキープしましょう。

足三里:膝蓋骨(膝のお皿)の外側下部にできる凹みから指4本分下にあるツボ。強壮補気、健脾和胃(胃腸の働きを良くする)、温通経絡(温めて巡りを良くする)、延命長寿の効能が期待できる。





今回は暑い時季の冷え対策についてご紹介しました。
〝暑い時季に冷え?〟と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。猛暑に見舞われる昨今、冷房は欠かせないものです。但し、使い方を誤ると身体にダメージを与えてしまうものなので厳しい暑さを乗り切るために上手に利用したいものですね。