脳のエネルギー源であるブドウ糖が足りなくなると脳はケトン体(※1)を使って稼働することができます。MCTオイル(中鎖脂肪酸)は摂取するとすぐに肝臓に運ばれケトン体が作られるとされています。これがMCTオイルを摂ることのメリットです。
エネルギー不足でボーっとしている脳もMCTオイルを摂取すれば比較的すばやいエネルギー補給が可能なのだとか。
毎食ごとに定期的に摂っていれば不足することなく継続的に脳へエネルギーを供給することができます。





MCTオイルは効果が3時間でピークになり、10時間程度効果が持続するとされているため、1日3食のタイミングでこまめに摂れば1日を通してキープすることができます。
MCTオイルを摂ることによりケトン体が増加すると〝血流改善〟にも作用するとのこと。脳内の血流が良くなれば脳の活動に必要なエネルギーや栄養も行き渡りやすくなります。
これに加えて〝戦略的間食術〟を活用すれば血糖値も下がらず、脳にエネルギーが充填された良い状態を保つことができるというわけです。





この良い状態をキープするために避けるべきことは〝エネルギーを補うために糖質の高い食べ物を大量に摂ること〟です。
摂取した当初は良くてもしばらく経つと〝血糖値スパイク(※2)〟が起こり低血糖状態になり、結果としてエネルギー不足になって本末転倒になりかねません。
睡眠不足でないにもかかわらず食後に強烈な眠気に襲われる場合にはこの状況に陥っている可能性が高いとのこと。昼食の糖質量を減らしたり、MCTオイルを活用して血糖値を安定させるよう意識する必要があるでしょう。

※1 ケトン体
アセト酢酸、β-ヒドロキシ酢酸、アセトンの総称。体内で脂肪分から生成される物質で糖分が不足した際に代わりとなってエネルギー源の働きをする。

※2 血糖値スパイク
通常緩やかな血糖値の変化が、食後の血糖値が急上昇・急降下を起こす状態。





《MCTオイルの摂取効果》

◎ダイエット効果
すばやくエネルギーに変換され体脂肪として蓄積されにくく体脂肪を燃やして作るケトン体の生成を促してくれる。
接種することで空腹を感じにくくなり、つまみ食いや無駄な間食を予防する効果もあるとのこと。但し、過度の摂取はコレステロールや中性脂肪の値が上昇する可能性があるため要注意。
含有するβ−ヒドロキシ酢酸には老化の原因である活性酸素を無効化する働きがあるため、肌のシミ・シワ・くすみの予防にも働くとされる。
効果が出るのは1〜3か月後程度とされる。


◎持久力を向上させる
MCTオイルを継続的に摂取することで脂質をエネルギーとして利用しやすい身体づくりに繋がるとされている。
エネルギー源として脂質が多く利用されるようになると、糖質によるエネルギーが温存されるため運動時の持久力を向上させる効果が期待できる。
エネルギー源を糖質のみで賄おうとすると燃料切れが早くなる恐れが。実際MCTオイルを用いた食事法を実践しているアスリートもいるという。
効果が出るのは2週間程度とされる。
※但し、体内のエネルギー生成回路をケトン体回路に切り替えるため、2週間以上の糖質制限を実施してケトン体を生成しやすい状態にする必要があるとのこと。


◎脳のエネルギー補給効果
ケトン体には脳の血液脳関門(※)を通ることができるという特徴があり、ブドウ糖以外で脳の神経細胞のエネルギー源として唯一使える物質だといわれている。
ケトン体の生成を促すMCTオイルを摂取することで脳のエネルギー不足を補うことができる。近年、アルツハイマー型認知症において脳がブドウ糖を利用しにくい状態に陥ってしまうことがわかってきているのだそう。このことからもう1つのエネルギー源であるケトン体の生成を促すMCTオイルが注目されている。
効果の実感は人それぞれ。すぐに改善効果が実感できるケースもあれば1年ほどかかるというケースもある。

※血液脳関門
脳の神経細胞にとって必要のない血液中の物質を容易に通さない障壁のような仕組み。脳の神経細胞が必要とする酸素や養分のみ通すようにできている。





《MCTオイルを摂取するタイミング》
基本的にいつ摂取してよいものの、1日1〜3回に分けてとり入れるのがオススメとのこと。
先述したように摂取後3時間をピークに10時間程度持続する特徴があることから、朝摂ることで活発に活動する日中のエネルギーを確保することができる。
ちなみに夜摂ることでも効果は期待できるとされる。但し、就寝の2〜3時間前までに摂取すること、過度に摂らないようにすること、たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維も併せて摂るように意識しましょう。





《MCTオイルの効果的な摂り方と摂取量》
①1食あたり小さじ1(5ml)〜大さじ1(15ml)が目安

MCTオイルのカロリーは1gあたり9kcal。カロリーはあるもののすばやくエネルギーに変換できることから体脂肪として蓄積されにくいのがメリット

②低糖質の食事を心掛ける

糖質の摂取量を減らすことによって体内のエネルギーが不足すると蓄積した脂肪を燃やしてケトン体というエネルギー源が作り出される。
消化吸収が早いMCTオイルを一緒に取り入れることでさらに脂肪燃焼効果の促進が期待できる。
特に夜はエネルギー消費が少なくなるため〝低糖質〟〝高たんぱく〟〝高脂質〟なものを摂るのが効果的とのこと。

③加熱はせず生のまま摂取する

消化吸収しやすく短時間でエネルギーとして使えたり、体脂肪として蓄積しにくいという特徴はMCTオイルに含有する中鎖脂肪酸による効果。但し、中鎖脂肪酸は熱に弱いためその健康効果を有効利用するためには生のまま取るのが良いとのこと。
例えば、ドレッシングに加える、調味料として使う、スープや味噌汁に後から加えるなどがオススメ。

④良質なオイルをチョイスする

見分けるPOINTとして
・中鎖脂肪酸100%であるか
・原材料は1つかどうか
・無味無臭であるかどうか
・無添加、化学溶剤不使用であるかどうか
・国内充填されているかどうか
などの点を確認すると良いのだそう。
但し、MCTオイルの摂取により胃もたれや腹痛が起こるケースがあるといわれていて、これは一度に多く摂取したことによる身体の反応の可能性も。
小分けに摂取しても不調が現れる場合にはMCTオイルと比較して中鎖脂肪酸の含有量が少ないココナッツオイルを試してみるのも良いとのこと。





今回はダイエットメソッドの1つとして用いられる【MCTオイル】についてご紹介しました。
この数年でよく耳にするようになったMCTオイですが、生のまま摂ることができとても手軽です。
ただ飲むだけではやはり効果的ではないので、身体のエネルギー効率を上げてうまく代謝するように運動や糖質の調整も併せて行うようにしましょう。