最近はすっかり日も短くなり、夜の訪れが早くなってまいりました。
非常に過ごしやすい気温なんで、この秋の夜長にじっくりと長編小説に取り組むのには最適ですねぇ。
が・・・・・・・・・・・・
最近あんましいい小説無いんですよねぇ(>_<)
もちろん最大の原因は105円で探してるからなのですが(^_^;)
掘り出し物もなかなか見つからなく、寝る前に読む本に困ってる今日この頃です。
困ったときは、基本的に角川ホラー文庫を探します。
これはこないだ読みました。
明治期の日本をモチーフにした世界で展開される、製糸工場で働くことになった少女の、悲哀、郷愁に満ちた物語です。
当時の目を背けたくなるような現実、大人たちの思惑、そんななか生きる少女の胸中が丁寧に描写されており、なかなか興味深く読ませていただきました。
実は最初は別に買う気なかったのですが、巻末の解説が私の敬愛する作家・飴村行さんだったんで、彼が面白いと評価するものであればまあ間違いなかろう、と購入してみた次第です(笑)
飴村行さんといえば、「粘膜シリーズ」で、私も過去に感想を記事にしてみたこともありますが、ホラー小説としては個人的には最高の部類に入る、衝撃的な作品でした。
以前にも似たような事を書きましたが、私はホラーというのは単に幽霊とか超能力とか呪いとか、そういうモノを扱えば無条件でホラー、というワケでは無いと思っていて、人間の持つ本能とか、欲望とか、愛憎とか・・・・・・とりわけ負の感情に満ちていて、その本質がきっちり捉えられていて初めて「ホラー」と言えるんじゃないか、と思っているんですね。
人間の本性は全て「悪」が支配していて、私たちは普段理性によって、それを抑え込んでいるに過ぎないのだ・・・・・・・・・という言葉をある作家は残してますが、では、そんな私たちの本性とは・・・・・・・人間として生まれた自分たちが、薄汚れた本性から目を背けたまま社会で生きてる私が、自分の心の暗黒面と真っ向から対峙する、ある意味非常に正直な、真摯に自分と向き合っている時間。
それをくれるのが、極上のホラー小説なんじゃないか?と、私はそんなふうに思っていたりします。
やや暴論ですが、自分の、いや人間の内面を探れないような小説だったら、小説としての価値なんて全く無い、とすら思ってたりもします。
そんな価値観の私に、粘膜シリーズは実に心地好く入り込んできてくれたんですよねぇ・・・・・・・・・・・
角川書店のホラー文庫は・・・・・・・・イマイチな作品も多いけど、たまに物凄いクオリティを誇るモノが埋もれていて、定期的にチェックして損はないと思っているんですよ。
角川ホラーの名作といえば、他には遠藤徹の「姉飼」とか、大石圭「殺人勤務医」が(特に後者)思い起こされますね。
あ、あと最近購入してまだ読んでないのはこちら。
これも角川ホラー文庫で、短編集なんですが、方向性的には吉田戦車とかの不条理マンガのような・・・・・・・・世にも奇妙な物語みたいなモノというか・・・・・・・・まあ常識では計れないユーモア的なものがあったりするのもホラーというジャンルの特徴のひとつですかね。
面白ければ後日ネタにします。
オマケ
最近、読書ビギナーである舎弟まっぺ君に無理矢理読ませている本です(笑)
新堂冬樹の描く暗黒モノも個人的に大変好きで、欠かさず読んでいるんですが、いかんせんブログではコメントしづらいタイトル、内容なのがネックですね(笑)