欧州委員会は10日、EUレベルで文化的資源のデジタル化を促すための提言を
まとめた報告書を公表した。欧州委の諮問機関である賢人委員会(Comite des
Sages)がまとめた「新ルネサンス」と題する報告書は、EU加盟国に各国の図書館
や美術館・博物館などの所蔵品をオンラインで公開する取り組みの強化を求める
と共に、歴史的・文化的資料のデジタル化事業で官民パートナーシップ(PPP)を
推進するよう提言している。

欧州委は2020年に向けた情報通信技術(ICT)分野の新戦略「デジタルアジェンダ」
に賢人委員会の提言を反映させる方針で、文化資産のデジタル化を推進するための
ビジネスモデルを確立すると共に、著作物の権利者に正当な報酬が支払われる仕組み
の整備を進める。


 賢人委員会は仏大手広告会社ピュブリシスのモーリス・レビ会長兼最高経営
責任者(CEO)、ドイツ国立図書館のエリザベート・ニッゲマン館長、作家で
ベルギー王立フランス語・フランス文学アカデミーのジャック・ドゥ・デカー事務
局長の3人で構成される。同委は欧州委情報社会・メディア総局の要請を受け、
欧州各国の多様な文化資産のデジタル化推進に向けた具体策を検討していた。
 
報告書はまず、EUが運営するデジタル図書館「ユーロピアーナ(Europeana)」が
欧州におけるオンライン文化資産の中心的窓口になるべきだと指摘。加盟国に
対し、公的資金でデジタル化されたすべての資料をユーロピアーナのポータル上で
確実に利用できるようにすると共に、ユーロピアーナを通じて2016年までに
パブリックドメインの全資料を公開するよう求めている。

 また、道路100キロメートルの建設費用でEU各国の図書館が所蔵する全作品の
16%をデジタル化することができるとの試算を示し、各国政府に文化資産の
デジタル化事業に投じる予算を大幅に拡大するよう勧告。そのうえで、加盟国は
PPPの枠組みを積極的に活用してデジタル化事業を推進すべきだとし、事業者の
選定などに際して透明性と公正性を確保することや、プロジェクトに参加した民間
企業に与えるデジタル資料の優先的利用権を最大7年に制限することなどを提言
している。
(European Commission Press Release, January 10, 2011)