これは日本国内に限った事では無く、世界的にそうなのですが

 

舌痛症を診断するにあたって下記2つの大きな問題があります。

 

1.診断の問題

2.診断基準の問題

 

1.診断名の問題


以前の記事
舌痛症(ベロのヒリヒリ、ピリピリ)」でも触れましたが、


舌が痛い症状=「舌痛症」と、症状がそのまま診断名になってしまっています。

 

それの何が問題かというと、「様々な要因が、同一の症状を引き起こす可能性がある」という点です。

 

 

そう、診断に重要なのは「症状の把握」だけではなく、

 

「何がその症状を引き起こしているか」

 

という点を明らかにしなくてはなりません。

 

もちろん、診断が正しくできなければ、正しい治療する事もできません。

 

 

例えば、膝を転んで擦りむいても、関節リウマチによっても「膝の痛み」が生じます。

 

しかし、転んで膝を擦りむいた時と、関節リウマチの対処の仕方は異なりますよね。

 

 

現在、私の所属するAmerican Academy of Orofacial Pain (米国口腔顔面痛学会) では、

 

舌痛症は舌神経および鼓索神経に由来する知覚神経由来の異常であるという考えが主体となってきています。

 

それはつまり、舌痛症の痛みは「神経障害性疼痛」のような「神経因性」の痛みであるという事です。

 

舌痛症あるいはBurning Mouth Syndrome (口腔灼熱症候群) という名称よりも、

 

舌の神経因性疼痛、舌の神経障害性疼痛などと表現されたほうが

 

症状ではなくて病態(原因)を表しているので、適しているという声が上がるようになっています。

 

 

 

2.診断基準の問題

 

現在、舌痛症は1次性と2次性の二つに大別されています。

 

1次性=原因がわからない

 

2次性=感染症や糖尿病など、痛みの原因となる疾患が存在する

 

 

このような大まかな診断基準があるだけで、「これが舌痛症!」という診断基準は存在しません。

 

実際、舌痛症の本当の特徴を理解している医師・歯科医師は少なく

 

我々、専門医がいう「いわゆる舌痛症」とは異なる場合でも

 

舌痛症と診断されている事が少なくありません。

 

 

この診断基準の問題は、後にブログで書きますが、

 

「歯科医師の舌痛症の知識に関する問題」

 

に直結していると言えます。