ユーロ優勝、チャンピオンズリーグ優勝、ワールドカップ優勝。

輝かしいタイトルをとりまくり、
最強と謳われたスペイン代表の中心にいた男、
フェルナンドトーレスがついに引退。


今日行われたJ1第24節、駅前不動産スタジアムで行われたサガン鳥栖vsヴィッセル神戸の一戦が現役最後のプレーとなった。


残念ながらチームは1-6で敗れ、残留争いの厳しい流れからは抜け出せなかったが、最後の試合でフル出場を果たし、最後までゴールを狙い続けた。



試合は、神戸が圧倒。前半からボールを回し相手に対して優位に試合を進める。

山口蛍のゴールで早いうちに先制すると、味方が倒されて得たPKをイニエスタが冷静に決めて2点目。

さらにイニエスタの圧倒的な技術が炸裂する。
田中へパスを出してダイレクトで戻ってきた浮き玉のパスをそのままダイレクトで超ロングフィード。裏へ抜けた古橋へ通り、最後はその古橋のパスから田中の弾丸ミドル。試合はもうここで決まっていたようなものだった。



...かたい。文字がかたい。緩めます。



そう!あのロングフィード、そうそうできるもんじゃない。

古橋があそこを狙ってるってのがわかってないと出せない、、というよりは、「俺のパスに合わせろ」的な勢い。それが的確に通るんだから。

イニエスタは前半の途中で負傷交代になったけど、流れは完全に作ってた。

得点にはならなかったけど左サイドの酒井高徳と二人で崩したシーンもあった。

見てて、一つ一つが落ち着いてる。というか、落ち着けるポジションにいるから、ボール持っても全く焦らない。プレッシャーかけられても身体の使い方が上手いから取られない。

プレッシャーがきてないと思ったらドリブルでボール運ぶし、スペースが空いたと思ったら的確なパス。

いやぁ。すごい。技術がやはり何段階もあの中でずば抜けてる。


山口蛍が試合後のインタビューで「得点は取れたけど、アンドレス(イニエスタ)がいなくなって、後半あまりボールを回せくなってしまった。」
と話してたけどまさにそんな感じで、
試合終わった後のスタッツを見てみるとびっくり。

6-1のスコアながらシュート数は神戸16に対し鳥栖はなんと19。

神戸の後半の得点やチャンスはほぼカウンターで、たしかに前半みたいにじっくり迫っていくという感じにはなってなかった。

鳥栖もある程度の推進力はあったけど、やはりJ1で残留争いをしているレベルだなと感じてしまった。

が、それ以上に神戸が強すぎた方が圧倒的な印象。

これじゃあ首位争いをしているチームじゃん。ってぐらいの内容。

カウンターの得点はどれも絶妙。

バルセロナから加入したフェルマーレンの絶妙なサイドチェンジから西のヒール..からのクロスからのシュートゴールっていうシーンもあったし、

途中出場で藤本とビジャが出てきてこの2人もチャンス作ったし、最後の山口蛍の6点目なんかこのあたりが絡んだゴール。

完璧なカウンターでDF打つ手なし。

4点目の古橋のゴールはDF大崎が身体を張ってボール奪って酒井高徳へパス。ゴリゴリのドリブル突破で一気に縦を駆け上がって最後は古橋へのクロスでアシスト。


これまでは左は来年の東京オリンピック候補の初瀬がつとめることが多かったけど、酒井高徳を獲得してえらい変わった模様。

フェルマーレンと酒井高徳がめちゃくちゃ大きいようです。

日本代表はよく見るけど..って人にとっては、酒井高徳は「二人いる酒井のもう片方」みたいなイメージかもしれないし、結局日本代表で右も左もできるいいバックアッパーではあったけど、レギュラーはとれなくて代表引退宣言しちゃったし、中途半端なイメージの人も多いかもしれない。

けど、シュツットガルトとハンブルガーで積んだ経験はめちゃくちゃ大きくて、加入してからまだほんの少ししか経ってないのにその存在の大きさを証明してる。

最後はハンブルガーを追い出されるみたいな感じになっちゃったけど(実際はそうではないとの報道もある)、キャプテンもやったわけだし、能力は十分あって、日本にきて還元されてる。


実際、まだ28歳だし。若いのよ。代表引退は正直もったいない。

長友はまだまだ元気でやってるけど、長友の後誰がやるのって感じになってる。

大迫のサブみたいな「レベルが違いすぎる」パターンではなくて、「マジで誰もいない」パターンに左SBはなってる。

※右は酒井宏樹がまだバリバリで、ヨーロッパで昨年一番活躍したのは長谷部だったけど、ここ数年の枠で広げてみたときに、ずーっと安定したプレーを続けているトップはおそらく酒井宏樹。
バックアッパーはリオ五輪代表の室屋(FC東京)が有力で、彼もいずれは海外に行くかな。
左はいないどころか、東京五輪候補の杉岡の名前が挙がるぐらいには誰もいない。

だからこそ、酒井高徳は左SBはチャンスなのではと思うけど、それはもう彼の判断だから仕方ない。

まぁ本当に酒井高徳の影響って大きいんだろうなって、見てて感じた。


そして、取って代わられた初瀬。ベンチにも入ってなかった。理由はわからないけど。

ガンバからヴィッセルに今年移籍してきてある程度はプレーできていたのに..。

今日Twitterで検索してみたら、「初瀬って結局なんだったんだ..」みたいなツイートが結構あった。

東京五輪に向けて暗雲だろうか。

多分一番手は杉岡なんだと思う。
オーバーエイジ枠(OA)は、真ん中のラインに主に使うとの報道が出てる(CBの昌子や植田、CMFの柴崎、それからCFの大迫。例外でWGの中島)。

OAは3人までだからサイドは若い世代で行くはず。だからチャンスなはずなんだけどな。


まぁ..神戸は今日見てたしかに強いと思ったけど、その代償として外にはじき出された選手は何人もいるけど..。

補強で手に入れた選手の強さでいったら神戸はトップクラスだろうけど、失った選手の数とレベルとを見てもまた神戸はトップクラス。


ずっとポジションとかメンバーとか、安定できずに試行錯誤を重ねた結果が今の順位なんだと思う。

ポドルスキ、ビジャとか言ってる場合じゃない。
一番の得点源は多分古橋なんじゃないかな。


あと今日は外国人枠の関係でベンチに入ってなかったけどウェリントンもね。


これで鳥栖は降格争いから抜け出せなかった代わりに神戸が少しリード。

ただ、入れ替え戦枠の16位鳥栖とはまだ勝点5差。油断はできない。


さらに。後半途中から2画面視聴で軽く眺めてたけど、松本が浦和にアウェーで逆転勝ち。

埼スタを大ブーイングの渦に陥れた。

浦和の次の試合は上海上港とのACL準々決勝。アウェーでの決戦を前にこんな試合を見せられたらそりゃ大ブーイングになるでしょうね。

相手は17位に沈んでる松本山雅。松本も決して弱いとは言わないけど、苦しんでるチーム。

11試合ぶりの白星を献上するという、相手の状況を考えてもACLを前にこの負け方は最悪。

ACLで準々決勝に残っているチームながら、勝点30の10位。16位の鳥栖が勝点24、今日勝った神戸が真下の11位で勝点29になった。ってことを考えると、"強い浦和"でないことは明らか。

これまで8勝6分10敗、得失点差-11と散々な状況。
どう打開する?

一方勝った松本は11試合ぶりの勝利で鳥栖に勝ち点差1に接近。15位の仙台は試合がまだなうえに勝点27だけど、その上は勝点28に清水、ガンバ大阪、勝点29に湘南、神戸がいることを考えれば、
残りの試合は10(9)試合だけど、ふっと3連勝ぐらいしてしまえば一気に降格争いから抜け出せる可能性は大きい。

勝点18に沈んでいる磐田はかなり厳しい状況で、降格がかなり現実味を帯びているが、同じような立ち位置で厳しく見られていた松本が一段階上がって、残留を争える段階に。

明日の試合も注目。




そして、トーレスの内容から始めたはずが、気づいたら神戸の内容、Jリーグの内容に。


普通だったらあんな試合をしてしまったら鳥栖サポーターは大ブーイングするはず。


ただ、トーレスの引退試合、そして試合後にセレモニーがあるってことでそういうわけにはいかない。


かなり前におそらく売り切れていたチケット。
会場の駅前不動産スタジアム。入場者数は歴代2位の記録だったそう。

それだけ、トーレスの引退に加えてスペイン代表で苦楽を共にして栄光を勝ち取った仲間であるイニエスタ、ビジャとの共演は大きなイベントだった。


DAZNで放送されていて、地上波でたぶん放送されてなかった(地方テレビはわからん)。

いや放送しろよって思ったんだけど、DAZNに加入してここ数ヶ月恩恵を利用する方向に完全に気持ちを傾けた僕にとっては、DAZNで良かった〜とか思った。


だって、たぶん地上波なら試合だけ放送してセレモニーはやらない。

DAZNは全部やった。セレモニー全部見れた。よかった。

下田さんの実況に福田正博さんの解説。セレモニー中もトーレスのこれまでの話をたくさんしてくれた。


中でも、エルニーニョの話は印象に残った。

輝かしい笑顔と得点力で人々を魅了してきたトーレスは、あだ名がエルニーニョ。

スペイン語はよく知らないけど、たぶんエルは冠詞みたいなものだと思う。

それでニーニョがあだ名。

日本語ではそれを"神の子"と呼ぶ。

実際、今日の試合が行われたあとのいろんな記事でも"神の子"のフレーズは目にした。


けれど下田さんの話によると、実はこの言葉、ちょっときつい言い方をするなら「おい小僧」みたいな、どちらかというとネガティブワードであるらしい。

かなり若い時から活躍したおかげで、ポジションをとられる恐れがあったチームメイトなどからは中々名前を呼んでもらえない。そんな中でついたあだ名がニーニョだったわけ。

つまりは"神の子"というのは誤訳であると。

マジか!と思った。


トーレスは結構長い間あんまり好きじゃなかったらしいし。


でも、これだけ愛されて。

世界中の人に愛されて #ありがトーレス ってのができたり、日本もスペインもいろいろ含めて世界中の人がトーレスのことについてツイートしてた。

今日もセルヒオラモスがトーレスのことを書いてるのは見ました。


セレモニーの映像では、最初になんとジェラードのコメントから始まってた。

顔出た瞬間に、わ!ジェラードじゃん!って心が踊ったほど。


トーレスの挨拶、家族からの花束の授与、スタジアム一周、記念撮影などやってた。

スタジアムまわってるときにイニエスタ、ビジャと3人揃ったのはすごかったなぁ。スペイン最強時代だもんね。

あの頃のスペイン代表とバルセロナは今でも好きです。あんなパスサッカー中々見れない。


息子が途中で泣いちゃったり、息子と娘とトーレスで3人ボール蹴ってゴールに入れたり、背番号と同じ9回胴上げされたり、すごかった。


なんか途中からこっちまで泣けてきちゃって。現場にいるわけでもないし、鳥栖サポでもないし、自分はFWじゃなかったからトーレスファンでもなかったけど、
でも見てると何回か泣けてきて。

いやぁ本当に演出もすごかった。スタジアム全体のコレオもすごかったし。綺麗だった。

盛大に送り出したサガン鳥栖、ありがとうございます。


それからそんな偉大なトーレスがわざわざ日本を選んできてくれたことに本当に感謝。


これからもまだ日本にいるってのがまたいいよね。スペインに帰るって方が納得してしまいそうだけど、愛の深さに惚れるわ。



本当にお疲れ様でした。

#ありがトーレス











アン・チャン