この間、Williamsonアンプについて調べていたら、オーストラリアの方が、

当時の色々な記事について、まとめていてくれていたのですが、その中に、

HerbertKeroes(Acrosound)とDavidHafler(ご存じ、Dynacoの親分)の

Williamsonアンプについてのアプローチと元記事が載っていたのですが、

読んでみると、面白いこと、面白いこと!!・・・で、原文を集めてみました。

 

 

 

幼馴染のHerbertKeroesとDavidHaflerは、1954年のNewYorkAudioFair辺りまでは、

一緒にAcrosoundのブースに出て、AcrosoundのトランスやUltraLinearの

説明をしていたのですが、DavidHaflerは、よく、

 

トランスや部品は、どうやったら揃えられるんだい?

 

と、いう質問を受けていて、また、トランス単品ではあまり売れないので、

HerbertKeroesに、

 

部品を揃えて、組み立てキットで販売しようよ

 

と、提案をしていたのですが、HerbertKeroesは、"Heathkit"の"W-3M"で、

Acrosoundのトランスを使ってもらっているし、"Heathkit"の広告に、

 

”Acrosoundのトランス使用”

 

と、謳ってもらっていたので、自社でキットを販売することに難色を示していました。

 

それで、痺れを切らしたDavidHaflerはAcrosoundを辞め、DynaCompanyを創立するのですが、

1955年の暮れの、DynacoのMkⅡが販売される寸前に、二人の雑誌記事による喧嘩?が

始まります。

 

まず、1955年11月号の”Radio&TelevisionNews"に、HerbertKeroesが、

 

Adapting the "Ultra-Linear"Williamson to 6550 Operation ,by Keroes P.52~

 

と、いう自社(Acrosound)のTO-330トランスを使った記事を書き、DynacoのMkⅡ(EL34)に

対抗するような口火を切りました。私が知る限り、Dynacoの最初の広告は、1955年11月号の

”AudioEnjineering"に掲載されたので、見事な先制攻撃です。

 

当然、DavidHaflerも、負けてはいられませんから、1955年12月号の”Radio-Electronics"に

 

Higi-power Williamson amplifier for Hi-Fi,by David Hafler P42~

 

という、DynacoのMkⅡに使われているA-430を使った、よく似たアンプの記事を書き、

使用パーツのトランスのところに、

 

DynacoのA-430か、AcrosoundのTO-330みたいな同等の製品

 

みたいなことを書くのですが、実は、

 

TO-330 $39.75

A-430  $29.95

 

で、10ドル近くA-430の方が安いことを、暗にアピールしています!!

 

更に、1956年1月号の"audiocraft"に

 

Modernnize Your Williamson Amplifier,by David Hafler P16~

 

という、

 

あなたのWilliamsonアンプをEL34のUltraLinearアンプに改造しよう!

 

みたいな記事を書くのですが、この対象のWilliamsonアンプというのが、

 

 

Acrosoundの、TO-300($24.75)を使っているHeathkitのW-3Mで、

DynacoのA-430($29.95)に載せ替えて”Modernnize”したアンプの

写真を掲載しています、左のアンプ部の後方のトランスがそれで、

元のTO-300より一回り大きいことが分かります。

 

ここまで喧嘩したら、

 

Dynacoのアンプ用に、トランスを作ってよ!?

 

と、Acrosoundに頼むはずがないよねぇ・・・

 

ちなみに、この"audiocraft"1956年1月号の新製品紹介(What's new?)に、

WesternElectricのライセンスを用いた、東京通信工業のポータブルトランジスタラジオ

が紹介されていますし、$750のHeathkitのアナログコンピュータキットも

紹介されています。

 

 

その後、DynacoのMkⅡは、毎月、2000台を売る、大ヒットになり、Acrosoundも

キットを販売するのですが、こちらは、ぱっとしなかったと思います。