学校との事前打ち合わせの連投も、これでラストになります。
親と離れたところでの、けんたんたんの最大の心配事とは、
迷走神経反射
です。
迷走神経反射とは、一般的に、何かをきっかけに副交感神経である迷走神経が優位になり、脈拍が下がり、血圧も低下、脳に十分に血液が供給されず、失神に至ることがある、というもの。
けんたんたんの疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)は神経難病で、自律神経にもトラブルを抱えやすいとされています。
(ドクターから聞いた話では、体の向きを仰向けから側臥位に変えただけでも迷走神経反射が起きるSMA患者さんもいるそうです)
けんたんたんの場合、迷走神経反射が起きると、脈拍がグッと下がり、SPO2が70台に落ち込んだり、顔面蒼白、体も冷たくなり、反応が鈍くなります。
(おそらくこのタイミングで血圧も相当落ち込んでいるはず)
アンビューバッグでバギングし、けんたんたんの名前を呼んで意識をしっかりさせたり、iPadで好きな番組を見せるなどして、20分ほどかけてゆっくりゆっくり、バイタルが通常に戻ってくるのですが、そのあと何となく元気が出なくてSPO2も95、96と低めがしばらく続きます。
これまで、けんたんたんに迷走神経反射が起きた場所は、全て「外出先」なんです。
特に「外泊先」の「夜間」に起こりやすい。
夜中にけんたんたんがふと目覚めた時、周りの光景が自宅とは違っていて、親の姿が彼のポジションからは見えない、という条件が揃うと、迷走神経反射が何度か起きていました。
直近では、小4の夏の旅行で泊まったペンションでも起きたのです。
つまり、親がいない宿泊先で2晩とは、迷走神経反射が起きる可能性は十分にあるわけです。
迷走神経反射が起きた時、パルスオキシメーターのアラームが鳴り、看護師さんがパッと気づいてアンビューバッグを押してくれるとしても、、、
いつもなら親がハラハラしながらケアして復活させてるのに、けんたんたんが「うわーん、ママじゃないよ!(ドキドキ不安MAX→さらに悪化)」となるんじゃないか???
そんな不安は看護師さんと事前にしっかり話し合いました。
いろいろシミュレーションをして、もし夜に問題が起きたら、旅館にいる親へすぐに電話してもらう、という対応策にすることで落ち着きました。
そうなんです、結局、学校側で車椅子対応バスを手配できなかったので、最終的にパターン<2>になりました。
移動は親担当、それ以外は全て学校側が手配する(お泊まりも親の付き添いなし)、というやつです。
親と離れて泊まることに、けんたんたん自身、色々と逡巡していたフシはありました。
当初は「夜は親と一緒に旅館に泊まって、昼間はみんなと過ごす方がいい」と希望したこともあったのです。
「でもねぇ、皆も親と泊まりたいのをグッと我慢してたりするんだよ」と話したところ、眉間に皺を寄せながら「じゃあ自分もみんなと一緒に泊まる」と、彼も勇気を出して一大決心したわけです。
それでも急に「やっぱり親と泊まる」となっても良い、というのを学校側とも確認し、けんたんたんにも、そういう変更になっても大丈夫だ、という説明もしました。
※親の泊まる旅館は3名予約のままにしたので、宿泊費は3人分x2泊分が発生。
そして、ついに、2泊3日の移動教室へ出発することになりました!!!
けんたんたんにとっても、親にとっても、学校にとっても、これは本当に大きな一歩です。
『この二泊三日を成し遂げた時、きっと大きな自信になり、成長につながりますよ』
と校長先生がかけてくださった声が、私たちの背中を押してくれました。
次の記事で、移動教室の様子をお伝えしまーす!