論文答練の答案が悪い点で返ってきて落ち込んでいる方、そもそも論文答練にどう取り組んだらよいかを悩まれている方に向けて思うところを述べます。

 

 ただ、このやり方は通信で受講する場合にのみ当てはまります。通信受講してサボらないくらいに意欲がある人なら、自制心をもってできるやり方なのかもしれません。

 

 

1 解説冊子を見ながら解いてよい

 

問題文を一読したら答案構成に取り掛かるのが通常でしょうが、答案構成は絶対に自力でやりましょう。答案構成段階で適切に問題点や書くべき内容を拾い出せるかが出来不出来に直結しますし、その訓練をする貴重な機会を活かさない手はないからです。

ただ、例えば70分の試験で20分以内に答案構成をすることを目標としているのに、15分経ってもどうにもならない場合は、解説冊子をチラ見しても構いません。

その場合、解説冊子記載の論点等をさも自分で気付いたかのように答案を書いてしまうことになりますが、手元の解説冊子を利用できる以上は、これを使って書いてみましょう。

 

 

2 何故解説冊子を見ながらでよいのか

 

これではカンニングではないかと抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。しかし、答練は答案作成の練習であって、目的は、自分の学習状況に応じた答案作成上の課題をクリアしていき、最終的に合格答案を自力で時間内に書けるようになることです。

 

いくつかの論点は書けたが、何を書いてよいか分からない箇所があるという場合に、答案作成終了後に解説冊子を読んで納得するのでは勿体ないのです。寧ろ、その解説冊子にある参考答案の内容を自分の言葉も使いつつ書いてみるべきです。

要は手を動かせということです。ただし、ここで大事なのは、説冊子を見たら、当然それを丸写しするのではなく、制限時間内に適切な省略をして自分の言葉で書くということです。書くべき内容を思い浮かべつつ、書くスピードに応じた適量を答案に表現することは、本番での咄嗟の思考力を鍛えることにつながるからです。

 逆に、全然書けなかった事項を書かずに答案提出すると、採点者に項目落ちを指摘されるだけで、折角の答練の受講料が無駄になります。見方を変えれば、採点者に楽をさせるだけです。

 答練は、「答え」を見ながらだろうが何だろうが、自分が考えて書いたものが、他人にどう評価されるかを知る機会ですから、とにかく自分の頭も使って、何かを見ながらでもいいから書いてみた正解と思うものを書くしかないのです

 

また、規範や理由付けを正確に書く自信がない場合も、解説冊子を見ながら書いてよいです間違っているかもしれないと思う内容をわざわざ書いて、結果的にそこそこ間違っている場合、手が無駄に疲れるだけです。どうせ手を動かさないといけないなら、正しい内容を書いて記憶定着につなげるべきなのです。

 対照的に、「この定義や規範は完璧に書ける!」と思って自信満々で行政法の「処分」(行訴法32)定義を書いたのに「直接」を抜かしてしまうというミスをやらかしたような場合、きっと、凄く印象に残って、二度とミスらなくなるでしょう。自信をもって書ける部分は、解説冊子など見向きもせずに書きましょう。

 

学生で答練の書き直しをする時間があるくらい暇なら別ですが、仕事しながら受験するとなると、そんな時間もあまりありません。書き直しをできるならすればよいのですが、やる気と集中力を充実させて解く機会である初見の答練を無駄にすべきではないのです。

 

 

3 模試は完全自力で

 

ただし、模試を解く場合は、仮に通信受講の場合であっても、解説冊子を一切見いで解くべきです。模試は全科目を本番の時間帯に解くものであって、本番のシミュレーションだからです。

 

 入門講座に答練と模試がパックでくっ付いてくる場合、初学者にとっては、模試を受ける目的をどう設定するか悩ましいのではないでしょうか。理想を言えば、入門講座で習った事項に対応する論証を完璧に覚えておけば最高なのですが、そこまでできる人は殆ど皆無で、入門講座を終えた段階で短答合格まで漕ぎ着ければ十分立派です。

 それでも、お金を払ってしまった以上、模試を受けないと勿体ないわけです。その場合、答練を上記のような受け方で受けつつ、日頃から、答練で書けなかった論証を少しでも書けるようにした上で、模試を受けてあがくしかないというわけです。

 

 以上、長々書きましたが、予備校の予備試験向けの基幹答練が始まる時期ですので、参考にどうぞ。