私が司法試験に合格してからもうすぐ1年です。

 

今では自分の所属組織において、自分に対する人事権を行使できるポジションにいる先輩方は皆、私の司法試験合格を知っているらしく、最近も、異動してきた直属の上司が知っていたし、もっともっと上の上司も知っていたわけです。

 旧司法試験に比べて競争倍率も下がり、受験人口も減ったにもかかわらず、司法試験合格というのは非常にインパクトがあるんだなぁという印象です。

 

 とはいえ、法科大学院を修了した上での司法試験受験というコースに比べて、予備試験経由での司法試験受験は世の中に全然知られていない…。

 

 

○上司

「いつ受かったんだ?在学中か?」

 

○私

「去年です。」

 

○上司

「何!?」

 

○私

「はい。仕事の片手間に…」

 

○上司

「どうやって勉強したんだ?」

 

○私

「土日に集中的に」(要は、予備校の答練とか模試ですね)

 

○上司

「君は法科大学院に通ったのか?」

 

○私

「いいえ」

 

○上司

「なら旧試験か?」

 

○私

「いえ、新試験です」

 

○上司

「じゃあ、法科大学院だろ?」

 

○私

「いえ、通ってません」

 

○上司

「なら旧試験じゃないか?」

 

○私

「いえ、新試験です」

 

○上司

「なら法科大学院だろ?」

 

○私

「今は予備試験という試験に受かれば法科大学院に通わなくても司法試験を受けられるんです。」

 

○上司

「ん?択一式試験でも受けて受かったらいいのか?」

 

○私

「5月にマークシート式、7月に論文式、10月に口述式、と旧司法試験と似たような試験を受けて、これに受かったら予備試験に合格して、翌年5月に司法試験を受けられるんです。簡単に言うと、旧司法試験を受けて、もう一回、新司法試験を受けるようなものです。」

 

 

 このように、旧司法試験が終わって、法科大学院とセットになった新司法試験が始まった、というのが、司法試験に関わりのない人々の認識なのでしょう。

正確には、旧司法試験が平成22年に終わり(平成22年に口述不合格した人は、翌年に再受験できたそうですが)、予備試験が平成23年から始まったことからすると、旧司法試験が終わって予備試験が始まった、というのが真実です(予備試験でも浦安で口述式試験をするというノウハウを予備試験で残したようにも思える)。

従来の、「仕事しながら司法試験の勉強をしている人」が受けるべきは予備試験の筈なのですが、どうにも予備試験が世間一般に浸透していないようです。

 

 半数近くの法科大学院が募集停止に追い込まれているのも、予備試験が実施されたことで、法曹志望の最優秀層が法科大学院に通わずに予備試験経由で司法試験に受かってしまうという流れが定着したからなのですが、テレビやネットのニュースで見る限り、5月に司法試験が取り上げられることがあっても、7月に予備試験論文式試験が取り上げられることはありません。予備試験を受けて司法試験に受かった人が受験時代を振り返ると、予備試験論文式試験こそが倍率や対策の労力からして最大の難所だと思えるでしょうけれど。

 

 司法試験合格という、法曹志望者にとっての当面のゴールを見据えると、法科大学院は金も時間も無駄にしつつ、新卒就職コースへの後戻りを非常に困難にするものであり、それが法曹志望者に知れ渡ってしまっていることも、法科大学院の募集停止・定員割れに寄与していることでしょう。

 法律7科目を中心とした法律の基本的知識とその運用ができる人を選抜する試験として予備試験が機能していますが、法科大学院が無用の長物なのであれば、予備試験と新司法試験を融合させたような新・新司法試験に移行してくれれば、と最近思います。