予備試験経由で司法試験を受ける人のために、予備試験対策のうち、まずは短答対策について論じておこうと思います。

 

1.短答式試験の難易度と注力の度合い

 旧司法試験を知っている人からすると、新司法試験(以下、司法試験)乃至司法試験予備試験(以下、予備試験)の短答は非常に簡単であり、国家公務員(総合職)試験に似ています。「キャリア官僚登用試験と同じくらい簡単?意味分からん」と思うかもしれませんが、公務員試験は言うなれば上っ面の理解だけで解けるのであり、司法試験乃至予備試験の短答はそれだけ捻りも無い単純な正誤を問うており、しかも旧司法試験に比べるとマニアックな知識を問うものでもありません。

 旧司法試験の短答の難しさを知っていた身としては、予備試験の短答はさぞ難しいのだろうと思っていたのですが、第1回を受験すると簡単でしたし、合格ラインはせいぜい6割強と低いものでした。私は短答対策に力を入れすぎて論文が散々だったので、以後、短答対策は片手間ですることにしました。

 

2.短答式試験対策で注意すべきこと

 論文対策の記事でも書きますが、司法試験を見据えて予備試験の勉強をするに当たり、法律7科目については司法試験も予備試験もマスターしておくべき知識・技法は変わらないので、予備試験の論文対策をする中で法律7科目の勉強をすることになります。では、そういう勉強をする中で、予備試験の短答で勉強するときに気を付けるべきは何なのか。

 

(1)短答プロパー知識事項

 憲法の統治事項、実体法の単純だが細かい条文知識や、訴訟法の手続条文等は、覚えるしかありません。条文を読んで、条文中のキーワードに蛍光マーカーでマークして覚えるなどすれば足りるでしょう。

 また、予備校の短答式問題演習講座を受講し、間違えた肢の知識内容を条文・体系順にワード文書等に整理して択一メモとして短答式試験直前に何度も読み返すようにしましょう。

 なお、短答プロパーとはいうものの、時々、このような知識も論文式試験を解く上での前提となることがあります。当該事項がどの条文に基づいているのかを指摘させられる出題もあるので、短答プロパー知識を疎かにはできません。

 

(2)論文式試験と共通する知識事項・分野について

 論文式試験対策をする中で身に付ける法律知識も出題されるが、これは正しく勉強していれば短答では、当該事例の結論さえ知っていれば間違うことはありません。寧ろ、間違えては絶対にいけない問題でもあります。

 こういう問題を短答式試験対策で解くときは、常に、「この論点を論文式試験で問われたら、どういう論証をして、どういう規範を立てるか」を具体的に思い浮かべるべきです。こういうことを瞬時に思い浮かべることができれば、短答式試験合格後に論文式試験にスムーズに対応できることになるでしょう。

 短答式試験終了後、2か月足らずで論文式試験に臨むことになりますので、短答のためだけの短答対策をしていては、短答直後にスムーズに論文式試験対策に移行することができなくなり、その時点で合格が遠のきます。予備校の論文答練は大体、3月末には終わり、4月から5月半ばまでは短答一色になりますが、この時期に短答試験のみに最適化した頭になってしまうと、短答直後に論文式試験に対応した頭に戻すのがしんどくなってしまうので、このことを意識しておくようにしましょう。

 

(3)短答の実績

 そんな私の短答の順位は、以下のようになっています。本記事に書いたやり方であれば、予備試験の短答で落ちることはまずないです。

・第1回:160位(202点)

・第2回:785位(183点)

・第3回:90位(207点)

・第4回:163位(204点)

・第5回:26位(221点)