2024年5月4日(私のみ)・5日(汗かき夫と二人)、『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024』を聴きに行く。(in 東京国際フォーラム)
去年は抽選で狙っていた公演がことごとく外れるという悲しい結果になったため↓
今年は気合いと祈りを込めて、こういう機会じゃないと聞かなさそうな公演を選びぬいて抽選に申し込んだところ、全部当たるという恐ろしくも嬉しい事態に!
(今年は休日の並びが良く遠出する人も多かったせいか、当日でも購入できる公演もあった)
運を使い果たしたとか言わず、2024年も幸先のいいスタートをきれた!と言っておこう。
もう5月だけど。
※ご参考までにあもちゃんラ・フォル・ジュルネの歴史はこちら・・・
『ラ・フォル・ジュルネ~熱狂の日音楽祭2009 その③ マタイ受難曲~』
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン~「熱狂の日」音楽祭2012』
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2014』
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2015』
『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2016』
ラ・フォル・ジュルネの歴史以上に、あもちゃんの歴史を感じる…そら年とるわけだ。
ところで毎回当たり外れの大きいラ・フォル・ジュルネであるが、結論から先に言わせていただきたい!!!!
今年は大当たりだったんですよ〜〜〜〜〜〜!!!フンガフンガ。←大興奮。
100年に1度の大当たりと言っても言い過ぎではない。
こんなこともあるもんだね、と自分の審美眼の良さとクジ運の良さに感服したね。自画自賛。
運を使い果たしたわけではない、幸先のいいスタートなのだ。
4日、5日ともに夕方から参加。
身軽な大人だからこそできるワザ。
〜2024年5月4日(私のみ)〜
◆公演番号:224「藤木大地+みなとみらいクインテットによる歌の豊穣」
公演情報:世界有数のカウンターテナーと名手たちが結束。声と詩がいざなう親密な歌曲の世界。
<出演>
藤木大地&みなとみらいクインテット (室内楽)
藤木大地 (カウンターテナー)
成田達輝 (ヴァイオリン)
山根一仁 (ヴァイオリン)
川本嘉子 (ヴィオラ)
遠藤真理 (チェロ)
松本和将 (ピアノ)
<曲目>
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 op.44から 第1楽章
ラフマニノフ:ヴォカリーズ op.34-14
シューベルト:魔王 D328
マーラー:歌曲集「リュッケルトによる5つの歌」から 私はこの世に忘れられ
ヴュータン: アメリカの思い出《ヤンキー・ドゥードゥル》 op.17
ヴォーン・ウィリアムズ: サイレント・ヌーン
加藤昌則:レモン哀歌
木下牧子:鷗
村松崇継:いのちの歌
(アンコール)
モリコーネ:ネッラ・ファンタジア
モノー:愛の讃歌
抽選に申し込んでからすでに数ヶ月経っていたため、正直何に申し込んだか覚えていなかったのだが(おばちゃん、記憶力に問題アリアリ)、
「みなとみらいクインテットって聞いたことないけど、知ってる曲もあるし、ピアノ五重奏曲は聞ける時(←メンバー揃えるのも大変だから聞く機会が少ない)に聞いておきたいから申しこもっと。」
と申し込んだのは覚えていた。
そして会場に入って渡されたプログラムをちゃんと見た時
「声楽の人はわかんないけど、クインテットのメンバーの名前は全員知ってる!超絶有名人じゃん><」
と自分で買った公演の内容の濃さに驚いた笑
抽選なので席も勝手にあてがわれるわけだが、どういうわけかこの公演だけじゃなく、全ての公演でほぼ最前列の席に座ることに!!!!!前すぎる〜。
と思っていたが、この公演に関しては、前側で良かったかも。
大当たりのラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024であったが、その中でも今回一番の大当たりはこの公演であった。
まず最初のシューマン。
第一音目から
「あっっ。これは全然違う。もう一流の音がする。ウットリ」
とあもちゃん、ウットリ。そして会場全体も5人の奏でる音にウットリ。
大袈裟だと思うじゃん?全然大袈裟じゃないの。本当に会場全体がほぉ〜って聞き入っている空気感が伝わってくる。
ピアノの松本さんですが、名前だけは存じ上げていたものの演奏については聞いたことがなく、正直ナメてた笑
後で調べましたら、我が故郷岡山出身の人であった。
いや、嘘やん。岡山からそんな一流の芸術家が出るわけない、と思ったら倉敷のお方だそう。
なるほど都会の人だ。どおりで山奥の猿と共存していたあもちゃんとは違うわけだ笑
素晴らしい1楽章であった。
と思っていたら、声楽の藤木大地さん登場。
松本さんのピアノによるラフマニノフのヴォカリーズの前奏が始まった。
そして藤木さんが歌いだす。
えっっ。あ、カウンターテナーなのか。
藤木さんの体格の良さに勝手にテノールの声が出ると思って待ち構えていたので、想像より4オクターブほど高い音が耳に届いたことにまずはびっくり笑
そこから本当に甘くて切なくて切なくて切なくて、時に胸に迫るような迫力あるメロディ、と思ったら引潮のようにスッと消え入るように歌われる旋律。
歌声と交互に現れる、深い音色のクインテットの伴奏。
ツツツツツー
え!?私、泣いてる!!!!!!
ちょっと大変。涙が止まらないんですけど。
カバンからハンカチを出したいが、出してる余裕ないほど胸に迫りくる歌声。
ハンカチは諦め、ドバドバ涙が出るがままにシクシクすすり泣いておりましたら、泣いてるのは私だけではなかったのだ。会場のあちこちからメソメソする音が伝わってくる。
2022年のピアノの発表会で「ヴォカリーズ」を演奏した私だが、ラフマニノフ本人によるピアノ独奏版はなく、私はリチャードソン編曲のものを使用した。
ラフマニノフがピアノ独奏版を編曲しなかった理由がわかる気がした。
この曲、本当に美しい曲でピアノ独奏も美しかったが、こうして声楽を聴いちゃうと声楽以上のものはない気がした。
それでも時間に余裕がある時、もう一度弾いてみよっかな、と思ってみたのであった。あれから数年経った今ならもう少し深い演奏ができるかもしれん。多分。
↓2022年の大ミスこいた発表会
カウンターテナーを生で聞いたのは多分初めてで、これも正直カウンターテナーというものを舐めていた。カウンターテナーといえば米良美一さん。←もののけ姫の。
素晴らしい歌声なのだろうとは思うが、男の人が女性を真似た声を出す、的なイメージで言葉は悪いがイロモノ的に捉えていたのだが、そんな私、本当に大反省です。
ぜっっっっっっんぜん違う。本当に素晴らしい歌声なの。
女性の声の真似とかじゃなくて、意味のあるジャンルとして確立したものであることを知る。
そして音楽の教科書でお馴染みのシューベルトの魔王。
(おと〜さんおと〜さん!見え〜な〜いの〜!と子供らをいろんな意味で虜にする歌ね笑)
この曲、バスとかテノールで歌われるのが普通だと思うのだが、高いカウンターテナーで歌われると、いつもとは違う恐怖心を煽られてすごく新鮮であった。ゾッとする。
ちょっとヒステリック気味に甲高い声で、
おと〜さん!おと〜さん!見え〜な〜いの!?
と叫ばれると怖いんですけど笑
その後も素敵な歌声と演奏が続く。
どうでもいいけど日本語の歌は歌うの難しそう。
聴衆に歌詞の意味が通じるだけに言葉に合う歌声を出さないといけない。
まあ、外国語でも同じなんでしょうが。
レモン哀歌(高村光太郎の「智恵子抄」より)は私の好きな詩で、どんな旋律がつけられたのかな、と期待したのだが、まあまあでした笑
でも暗くなりすぎず、少し強がった風で明るく、という詩に対する理解は伝わってきたし、作曲者の加藤さんの作曲の意図が十分伝わってきてよかった。
うう〜本当にあっという間の45分であった。これでたったの3000円。
これがあるから毎年の参戦がやめられないのよな〜
さて次の公演に移動じゃ〜
と立ち上がると、隣の席のおばあちゃん(こちらもお一人)が
「素晴らしい内容でしたね。」
と私に声をかけてきた。
もう本当に素晴らしかったですね!!!!!!!
と答えるあもちゃんであった。
それからノロノロと出口に向かう間、あちこちから
「素晴らしかった」
と言い合うみなさんの声が聞こえてきましたとさ。
会場全体が感動に包まれるってこういうことなんだろうなあ。
感動している間も腹は減る。
ひっさびさのシェイクを飲んだら、そのおいしさに感動してしまった。
シェイクってこんなに美味しかったっけ笑?
日が沈んできたよ〜。
私一人なので、公演と公演の合間にフリーの催し物を心置きなく楽しむ。
満足満足。
◆公演番号:236
公演情報:N. ルビンシテインを偲ぶ追悼曲。ロシアの作曲家たちが室内楽曲を故人に捧ぐ慣例が、ここから始まる。
<出演>
トリオ・オウオン (室内楽)
<曲目>
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 op.50
「偉大な芸術家の思い出に」
こちらも何に申し込んだのか覚えていなかったが(笑)、やはりメンバーが揃うのが難しそうな演目に申し込んだ模様。って自分のことだけど。
内容はそこそこでした。
といっても演奏は素晴らしかった。ただ他が素晴らしすぎてこんな感想になってしまった。
あ、そういえばこちらのピアノの譜めくりの青年、みなとみらいクインテットで松本さんの譜めくりもしていた青年であった。
大忙しですな。
しかし大変わかりやすいタイミングで、いい譜めくりをしておりました。
うん、いいタイミング!
と思うシーンが何度もあったもんね〜。←くだらないとこばっか見ている笑
あとどちらのピアニストも譜めくりのタイミングでわかりやすく目配せをしていたので、譜めくりもしやすかったのかもしれん。
ちなみに乾燥肌のあもちゃんは絶対に譜めくりはできない。
めくろうとしたら2〜3ページ一度にめくれちゃって、慌てる未来が見える。
そんなわけで夜も更けて、帰宅したのでありました。
帰宅後、大興奮で公演内容を話しまくるあもちゃんに、
「明日も期待できそうだね!」
と答える汗かき夫であった。
〜2024年5月5日(私と汗かき夫)〜
前日よりもさらに遅い時間からの参戦のため、まずは腹ごしらえと参りましょう。
年に一度のお楽しみ、カレーの名店「グルガオン」でお食事を。
いつ食べても美味しい。
上京して最初に働いた会社のランチタイムに時々食べに来ていた。
そして今では考えられないことだが、カレーをアテにビールなんぞ飲んでました笑
あ、でも一杯だけだよ!…とかそういうことではない。
今の時代、就業中に飲むとか秒でクビになるわ。ゆるいテキトーな時代であった。
ってことはもう30年近くも前からこの店はあるのだなあ。
老舗やん!そして30年近くも経つのに味は変わらず美味しいなんて奇跡。
私&汗「今年も美味しかったね!!!!!!」
さ〜て、腹一杯になったところでステキな音楽を聴きにGO!
◆公演番号:346「鍵盤楽器のプロフェッショナル、そのルーツトッカータの世界=「バロック誕生」」
公演情報:華麗なるトッカータの世界…立役者フレスコバルディを始点に、バロック音楽の“誕生”を物語る公演!
<出演>
中野振一郎 (チェンバロ)
<曲目>
フレスコバルディ:ガリアルダ イ調、トッカータ へ調
ヴェックマン:トッカータ ホ調
フローベルガー:トッカータ ト調、トッカータ ハ調、組曲 ハ調
クープラン:プレリュード「フローベルガー氏を模倣して」イ調、組曲 イ調
(※フローベルガー:トッカータト調はプログラムの印刷ミスだそうで演奏されず笑)
これまた、普段なかなか聞けないものを、と思って申し込んだ私の意図がよくわかる演目。
チェンバロって普段聞かないもんな〜。
汗かき夫に聞かせてあげたい、と思って選んだ記憶あり。
そしてこれまた素晴らしい演奏で、あもちゃん感動しちゃった。
しかもしかも演奏者の中野さん、お話がすごく上手でバッハ以前のバロック音楽って混沌としていてど素人あもちゃんには理解不能な部分が多いのだが、それを上手に説明してくれたので、私もクラシックに詳しくない汗かき夫も、なるほどなるほどと聞き入った。
汗「あんなに喋れる芸術家って見たことにない笑」
と演奏以上に中野さんの話術に感動していた汗かき夫であった。
※ちなみに演目のクープランだが、あの有名なフランソワ・クープランではなく、このフランソワ・クープランのオジのルイ・クープランだそうです。
バッハ一族レベルにややこしいぞ笑
こちらの中野さん、ヴェルサイユ古楽フェスティバルで「世界の9人のチェンバリスト」に選出された実力の持ち主だった模様。
そりゃ舌を巻くほどうまいわけだ。
どの曲も素晴らしかったが、最後の
クープラン:組曲 イ調
が特に素晴らしかった。
この公演も大当たりだったね〜
と次の最後の公演場所にGO!
◆公演番号:315「ミチヨシ&山根VS伊福部の伝説、再び!」
公演情報:引退表明の井上道義、最後のLFJ公演!日本クラシック音楽史が生んだ鬼才へのオマージュ。
<出演>
山根一仁 (ヴァイオリン)
新日本フィルハーモニー交響楽団 (オーケストラ)
井上道義 (指揮者)
<曲目>
伊福部昭:ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
日本に数名いるとかいないとかいう(どっちだ)コアなあもるファンならご存知、あもちゃんが敬愛してやまない日本が世界に誇る作曲家、伊福部昭の作品が演奏されるとあらば行かずにおれようか。
公演情報に「再び!」とあるように、2018年のラフォルジュルネにて井上道義氏と山根さんがタッグを組んで伊福部昭を演奏したのだが、もちろん昔から伊福部昭ファンのあもちゃん、当然2018年も申し込み、一人で聴きに行った。そしてすんごく感動しちゃってさ!!!!
この感動を是非とも汗かき夫にも味わってもらいたい!と申し込んで見事当選したってわけ。
しかもしかも井上さん、指揮活動は今年が最後だそうで、それはもうきっと気合い入れてやってくれるはず。私も最後までこの目で見届け、この耳で聞き届けたい、といざ参戦!
前も書いたが、座席が前すぎて場所がよくなかったのが残念。
前なのはともかく、左寄りすぎてて音がまっすぐ飛んでくれない〜。
国際フォーラムのホールA(超絶大ホール)は場所の格差がありすぎる気がする。
そんな場所のハンディキャップを軽々と乗り越えてくれるのが、山根一仁 (ヴァイオリン)さん。
すごい演奏でした。
2018年もすごかったが、変わらず2024年の演奏も素晴らしく、6年経つとこんなに大人になるのね…と母親のような気持ちで見守りつつ、彼の音楽性にひたすら圧倒されるあもちゃんであった。(前日のみなとみらいクインテットでも見たけど笑)
音の一つ一つに魂がこもっていて、1粒1粒が光っている。
いや、ヴァイオリンってこんな豊かな音が出るんでしたっけ?
ジャコジャコなんて耳障りな音が全く聞こえないんですけど笑
音の良さも去ることながら、大きくうねったり小さく囁いたり、彼の世界観が伊福部昭の世界観と共鳴しあっていてそれはもう素晴らしかった。
そんな素晴らしい音色で奏でられたら、伊福部昭も天国で大満足でありましょう。
汗かき夫も「ヴァイオリンの山根さんってすごくない!?音もすごいけど、リズム感がすごくて圧倒された」
と言っておりました。
そう、伊福部さんの曲って拍子感が難しいんだよね〜。5拍子と4拍子が入り組んでたりさ。
そして前半が終了し、息つく間もなく2曲目へ。
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
本当に申し込んでよかった!
北海道の厳しく荒々しい冬景色が見えるようであった。冬に行ったことにないけど。
特に2楽章のadagioが最高。今後あんなに磨き抜かれた演奏を聞けないかもと思うほど。
汗かき夫も
「2楽章がすごかった。感動した。これ、3000円なの?3000円であんな演奏聴けるんだ。すごい〜。」
とひたすら感動しておりましたとさ。
↓ちょうど井上さん指揮のものが見つかったので貼っときます(N響だけど)
N響の演奏って上品だわ〜笑
新日本フィルの演奏はもっと荒くて伊福部らしいゴツい演奏で素晴らしかった。
3楽章はみんなドタバタ大忙し笑
特にパーカッションの皆様、バチを持ち替えてはドンドンバリバリ叩きまくりの大忙しでありました。
時間も時間だったので(22時をすぎていた)アンコールはなかったのだが、最後に井上さんはラ・フォル・ジュルネのディレクターのマルタンさんと思われる方の手を引いて舞台に登場し、拍手に応えて袖に帰っていきました。
わざわざ日本に来られて、祭り最後の公演を見届けたのね。
素晴らしい公演内容にマルタンさんも大満足だったはず。
井上さんにとっては今年がラストのラ・フォル・ジュルネだしね。
100年に一度の大当たりだった今年のラ・フォル・ジュルネTOKYO。
来年も参加できるといいね、と言い合いながら、そして井上さんのオモシロ指揮を真似しながら帰るあもちゃんであった。
(目の前であんな指揮されたら吹き出さない自信がない〜笑)