「のぞみ27号」は12時45分、定刻に名古屋駅に到着した。

私はここで下車、乗継の列車までそれほど時間がないのでそのまま在来線ホームへ向かった。
関西本線のホームには12時58分発85系気動車特急「南紀5号」紀伊勝浦行が発車時刻を待っていた。

名古屋と紀伊半島南部を結ぶ特急列車はかつて大阪の天王寺からやってくる特急「くろしお」が運転されていた。かつて上野駅から東北地方を結んでいた特急列車で使われていたキハ81が転属して走っていたが、昭和53年(1978年)10月に新宮~和歌山間の電化が完成したことにより「くろしお」は381系や一部は485系特急型電車に置き換えられて天王寺~新宮間の運転となった。名古屋~新宮間は系統分離されて「南紀」が誕生、国鉄分割民営化以後JR東海の新型気動車85系に置き換えられて現在に至る。

日本三名瀑のひとつ「那智の滝」を図案化したイラストマーク。JR東海の在来線特急型車両は外観のステンレスギラギラにオレンジ帯だけというのがあまり好きになれないところだけれどLEDどころか愛称名を表示する表示器そのものが前面から消えた車両が主流となっている昨今…国鉄以来のロール式の表示器が健在なところは嬉しい。
そういえば三名瀑のうち華厳の滝(栃木県)と袋田の滝(茨城県)には行ったことがあるが、那智の滝にはまだ行ったことがない…というより紀伊半島そのものに縁が薄い。ただ、訪れるときにはこんな乗り鉄旅なんかではなくゆっくりと時間をかけて胸に刻み込む旅をしたいもの…。





関西本線にはまた機会を見つけて訪れるとして、今回の「思いつき旅」の目的はこちら…。

中央本線~篠ノ井線の特急「(ワイドビュー)しなの13号」長野行の先頭車両クロ383の乗務員室背後、進行方向右側の通路側・1番C席で名古屋から長野までの全区間に乗車すること。

中央本線の特急「(ワイドビュー)しなの」は昭和28年(1953年)に名古屋~長野間で運転を開始した不定期準急が元祖。のちに定期列車となり、昭和34年(1959年)に急行列車に格上げ、そして大出力エンジンを搭載した181系特急型気動車が開発されると、これを当時の名古屋鉄道管理局名古屋運転所に配置して昭和43年(1968年)10月ダイヤ改正より181系特急列車化された。
昭和48年(1975年)に中央本線と篠ノ井線の全線電化が完成すると、山岳路線を走る列車の速度向上のネックである連続する急な曲線を高速で通過できる機能を備えた振子式381系が開発されて当時の国鉄長野鉄道管理局長野運転所に配置されて一部列車から電車化されて昭和50年(1975年)3月ダイヤ改正からはすべての列車が381系化された。
381系は曲線にさしかかると振子機能により車体を曲線の内側に大きく傾斜させて高速で通過できるので名古屋~松本~長野間の到達時間短縮には大きく貢献したが、高速で曲線を通過するため遠心力による揺れが大きく、乗り物酔いする乗客が続出するという欠点もあった。
のちに前述した紀勢本線の電化による特急「くろしお」や伯備線の電化による特急「やくも」の電車化にも381系が導入された。
この381系にどうしても乗ってみたくて高校生2年生のときの冬休みに東京駅から大垣夜行に乗って早朝の名古屋駅に降り立って特急「しなの1号」で長野駅まで乗車したのであった。
特急「しなの」から381系が撤退して383系にすべて置き換えられて久しいが、今回の旅は41年前のこのときのことを思い出しつつ、木曽路の前面展望を楽しもうと思いついたのだった。
本当はこの列車の1時間前の名古屋駅12時00分発の「(ワイドビュー)しなの11号」に乗車したかったが、指定席券売機で座席表から購入しようとしたら希望の1番C席は空いていたものの、隣のD席が埋まっているのでやめて東京駅からの新幹線も次の13時00分発の「(ワイドビュー)しなの13号」に合わせてきた。

JR東海383系は長野方にパノラマ型グリーン車を連結した6両基本編成と繁忙期と閑散期に増結に対応できるよう長野方グリーン車を貫通型とした4両編成と普通車のみの2両編成という3種類の固定編成があってこれらを組み合わせることによって波動的な需要に応えられるようになっている。
パノラマグリーン車は篠ノ井線区間だけ乗車したときに体験済みだけれど名古屋から全区間乗ったことがない(そもそもJRになってから「しなの」に全区間乗車したことがない)ので天気にも恵まれたから急遽思いついてやってきたのだが…。

長野方先頭グリーン車はまさかの貫通型クロ383が待っていたという…。
そういえば長野駅でこの列車(13号)を見かけるときはこの4両+2両の6両編成が多かったような気がする…。
ともあれ乗車しないわけにはいかないので新幹線からの乗継時間が15分だけだったのでそそくさと乗車した。
13時00分特急「(ワイドビュー)しなの13号」は定刻に名古屋駅を発車。
貫通型クロ383でも乗務員室直後に座席があって前面展望は出来るが、貫通扉があることや貫通路を使用するときの幌を収納する部分が柱のようになっていてパノラマグリーン車と違って前面展望そのものはそれほどよくない。
以前の記事でパノラマグリーン車では最前列の1番A・B・C・D席では進行方向左側のA・B席は運転士の背後で運転席のメーターパネルなどもあって展望が良くないこと、進行方向右側のC・D席でも窓側のD席は前面ガラスのピラーが鬱陶しいので通路側のC席がお薦めだと書いたが、この貫通型ではD席の方が眺めはいいかもしれない。
最初の停車駅である千種駅まではスマホの動画をズームにしないで撮影してみたが、多少画像が粗くなってもズームにして幌を収納する部分を写らないようにした方が良さそうだ。
東京へ向かう新幹線に抜かれつつも快調に飛ばしてゆく。
金山駅を通過して東海道本線と分かれる。EF64型電気機関車牽引のコンテナ列車とすれ違う。
中央本線のうち東京から塩尻の間の通称・中央東線はEF200型電気機関車に置き換えられたが、塩尻~名古屋間の中央西線にもいよいよEH200型が進出してきてEF64牽引の貨物列車の一部に置き換えが始まっているようだ。
千種駅に到着。
次の停車駅の多治見駅と山間部に入ってゆく様子が撮影に失敗してしまいまして…次回は多治見駅の次の停車駅の恵那駅到着シーンから続けたいと思います。
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観劇自体個人的には経験ありません。
