冬の信越国境をゆく189系特急型電車で運転されていた乗り得普通列車「妙高」の車窓の動画…。
 北陸新幹線金沢開業を目前にした最後の冬、並行在来線として第三セクター化が決まっていたJR東日本信越本線の長野~直江津間を結んでいた列車でしたが、第三セクター化と同時に廃止が決まっていたので静かな別れを告げるために廃止直前のフィーバーを避けて少し早めに訪れました。
 長野県飯綱町の牟礼駅を発車して少し走ると下り列車の進行方向右側の車窓が少し開けた風景となるのですが、ここには江戸時代の北国街道が通っています。そして、ここが江戸と金沢の中間地点であることから参勤交代で北国街道を利用していた加賀百万石の大守・前田家により「武州・加州道中境碑」が設置されています。現在は当時の場所からわずかに移転されていますが、線路から数十メートルのところに現在も残されています。
 以下の動画からどの辺りにあるかお分かりになるでしょうか?
 たぶん地元の方でなければわからないと思いますが…。

 信越本線は北国街道(明治維新により東京に天皇が移られるまでは都が京都だったため、北国とは新潟県を含む北陸地方を指していました)に沿って敷設された路線です。
 北国街道は中山道から信濃の追分(現代の長野県軽井沢町)で分かれて善光寺(長野市)を通って日本海側に出て越後の出雲崎(新潟県)へと至る街道でした。

 武州・加州道中境がある地点を過ぎると国道18号線をアンダークロスして列車は鳥居川に沿った山あいを進み、やがて古間駅へと至ります。 
 長野市の豊野から新潟県境までの間は昔からこの地方に残る言い伝えで「一里一尺」と例えられるほどに急激に積雪が深くなる区間。
 古間駅も深い雪に覆われていました。

 こちらは今年の初夏に古間駅の近くで撮影した古間駅に到着するしなの鉄道のローカル列車を撮影したものです。
 長い冬を耐えてきた雪国に遅くやってきたの女神が去ったあとに生命の息吹きが感じられる美しい季節です。
 今年は暖かくなるのが異常に早くて画像右側の妙高山と左側の黒姫山の残雪も少なかったのは残念でしたが、田圃に張られた水鏡に映る列車の姿を捉えたくてこの季節になるとよく訪れます。


 変わって「妙高」から乗り継いだ新井~新潟間を485系特急型で結び、特急列車とほとんど停車駅が変わらない乗り得快速列車「くびき野」の車窓から眺める冬の日本海の車窓。
 日本海に一番近い駅と謳われる青海川駅を通過するシーンです。
 信越本線の直江津~新潟間で最も車窓が美しい区間と言っても過言ではありませんが、この景色を楽しむのは冬より夏のよく晴れた日でしょう。
 今年の5月に上越妙高~越後湯沢間を結ぶ観光列車「ゆざわSShu※Kura」に乗車したときの青海川駅発車風景です。
 この午前中の下り列車では青い日本海、そして夕方の上り列車では季節が合えば日本海に沈む夕日を楽しめます。とくにこの夕方の上り列車では青海川駅に約20分間も停車してくれるサービスがあるのは嬉しいものです。
 冬とは全く違う日本海…その変貌ぶりにはいつも惹かれます。

 長野駅から柏崎駅までの間に変遷する車窓の美しさのおすすめはなんといっても5月の上旬から中旬にかけてです。みなさんも訪れてみてはいかがでしょうか?