松本駅でJR東日本E353系特急「あずさ17号」からJR東海383系特急「しなの11号」に乗り継ぎました。
 383系はJR東海の車両ですが、松本駅がある篠ノ井線はJR東日本の路線なので、塩尻駅以北はJR東海の車両がJR東日本に乗り入れて、乗務員も交代しています。


 途中の明科(あかしな)駅~西条(にしじょう)駅の間は地滑りによる災害防止と将来の複線化を見越して建設された新しい白坂トンネルがあり、このトンネルを出ると西条駅を通過します。 


 中央本線のうち中央西線と呼ばれる名古屋~塩尻間(対して東京~塩尻間は中央東線)と篠ノ井線は山岳路線であり、急な曲線が連続するためスピードアップが難しく、所要時間の面でネックとなっていました。

 昭和48年(1973年)の電化完成に合わせて連続する急な曲線を高速で通過できる振子式を採用した特急型電車381系がデビューしてそれまで181系気動車で運転されていた特急「しなの」を置き換え、所要時間の大幅な短縮を実現しました。

 381系は紀勢本線の電化により特急「くろしお」や伯備線の電化完成により特急「やくも」にも導入されましたが、曲線通過時において車体が大きく傾斜することからパンタグラフが架線から離線するのを防ぐことを考慮された架線の張り方がされています。
 後に技術の発展により車両側の設計を工夫することにより台車の動きに連動してパンタグラフの傾きを調整したりできる車両が開発されて、既存の電化路線でも地上設備を大きく変えなくても振子式車両が導入されたりしましたが、現在ではさらに進歩して振子式ではなく、線路の形状を車両側のコンピューターに記憶させて車体の傾きなどを調整して高速で曲線を通過できるE353系へと発展しています。

 383系は381系の後継車として国鉄分割民営化後にJR東海が登場させた車両ですが、こちらは381系に合わせた地上側の設備が施されていたため振子式については381系の遺伝子を継承しています。
 長野方先頭車のパノラマ型グリーン車クロ383に乗車して前面展望を眺めていると、曲線にさしかかったときには爽快な気分になれます。




 特急「しなの」から381系が撤退して久しいですが、その後JR西日本の特急「くろしお」からも撤退し、現在は伯備線の特急「やくも」で活躍を続けるのみとなっています。こちらも新型車両に置き換えられるのもそれほど先のことではないでしょう。

 コロナ禍が収束するのが早いか?
 伯備線から381系が撤退するなが早いか?

 引退前のフィーバーとなる前に381系に静かな別れを告げに行きたいと願う私には意外と大きな問題ではあります。

 次回に続きます。