軽井沢駅を通過して列車は関東平野をめざして一気に勾配を駆け下ります。といっても、新幹線としてはかなり急な30‰(パーミル=1kmで30mの標高差)が連続する勾配を下るわけですからかなり速度を抑制した走りとなります。
かつて信州出身の人々は東京に出るときや帰省するときにはこの碓氷峠に故郷と東京の境を感じていたそうですし、時代が新幹線になって大幅に時間が短縮されてもその感覚は変わらないのではないかと思えるような区間なのです。
東北新幹線の「はやぶさ」「こまち」が宇都宮以北で国内最高速度で疾走するのに比べて北陸新幹線や上越新幹線の列車の最高速度が抑えられているのは上信越国境に聳える山岳地帯の存在があります。
北陸新幹線が長野まで開業するまで長く東京と信越・北陸地方を結んでいた信越本線・横川~軽井沢間に介在して輸送上制限が大きかった碓氷峠の急勾配66.7‰に比べれば緩やかではあるものの、それは信越本線の碓氷峠の勾配が異常に急だったのであって、新幹線としてはこの数字はかなり厳しい勾配であることには変わりません。
長野県から群馬県に入って関東平野へ下りるまでは大小のトンネルが連続するのですが、信越本線の北側の山の中をを迂回するように敷設されているのでトンネルとトンネルの間は山ばかり…速度はもちろん段違いであるものの、車窓の風景はかつての信越本線碓氷峠時代を思い起こさせるところがあり、私としてはトンネルだらけとはいってもなんとなく好きな区間であります。
また、峠の麓の北関東の群馬県側と峠の上の長野県側の車窓を眺めていると樹木などにかなり違いがあって、下り列車で連続するトンネルを抜けて軽井沢に至ったときの車窓の変化は眺めていても楽しいものです。