列車には列車番号というのがあって、それは旅客列車であろうと貨物列車であろうと付けられているものであり、時刻表にも明記されています。
たとえばJR線であれば国鉄時代からの伝統で下り列車は奇数、上り列車は偶数が原則として付けられています。
普通に考えればその路線を走る、あるいは起点の駅を一番最初に出発する列車から順に下り列車なら1・3・5・7…、上り列車なら2・4・6・8…と付けるのが自然なのでしょうが、路線網が拡充し列車の本数が増えると種別や路線によって区別したりして桁をさ3桁や4桁にして区別したりして複雑なものとなっていきました。
まだ特急列車が「特別急行列車」として文字通り庶民には高嶺の花だった特別な列車だった時代（国鉄の中でも東京駅から東海道・山陽本線を下る列車にしか特急が無かった時代）には列車番号「1」は下り特急列車、列車番号「2」は上り特急列車に付けられていたいわば鉄道の「エースナンバー」といってもよいものでした。
そこで最新の時刻表を買ってきて現在のJR旅客各社において栄光の列車番号１・２を付ける特急列車はどれだけあるのか調べてみました。なお、２列車については上り列車として下り１列車の対となるので割愛しました。
新幹線では東海道新幹線の「のぞみ１号」が列車番号「1A」を付けられています。
なお、JR線の在来線の列車番号は国鉄時代から電車は番号の後ろにM、気動車はDといった動力にまつわるアルファベットの頭文字が基本的に付けられていて、機関車が牽引する客車自体に動力が無い列車は数字のみとなっていますが、新幹線については東海道・山陽・九州新幹線はA、東北・北海道新幹線はB、上越新幹線はC、北陸新幹線はEが付けられています。
その中で現在のところ「１」が付けられているのはこの「のぞみ１号」のみ。しかも始発駅である東京駅を6:00発というジャスト発です。
東海道新幹線の毎時ジャスト発は以降新大阪止まりの列車に割り当てられており、博多まで向かう列車には列車番号は１から順に若い番号が振られていますが、毎時ジャスト発とはなっていません。
なお、東北新幹線の看板列車「はやぶさ」は列車によって１桁の番号が付けられていますが、１号は１Bとはならず、４桁となっています。
新幹線は列車名の後ろに付く号数と列車番号が同じである列車が多いのですが、北陸新幹線では速達タイプの「かがやき」ではなぜか列車番号は４桁となっていて千の位に３が付けられています。
在来線の特急列車に目を向けると、１から始まる１桁~2桁の列車番号が付けられた列車はそれほど多くはありません。
JR九州の特急列車には存在せず、JR四国の特急「しおかぜ１号」に「1M」が付けられています。
JR西日本では播但線の「はまかぜ１号」に列車番号「1D」が付けられています。
関東では馴染みの薄い列車ですが、「はまかぜ」の歴史は長い…。
北陸特急では名古屋と金沢を結ぶ「しらさぎ」に「１M」が付けられています。
近江塩津で湖西線と合流し、大阪からやってくる「サンダーバード」と競演しますが、「サンダーバード」のルーツは「雷鳥」。「しらさぎ」とともにわが国で初めて交直両用特急型形式481系が充当された列車で、681系および683系に置き換えられて列車名が「サンダーバード」に統一されました。
「しらさぎ」の方は683系に置き換えられても列車名が変わることなく現在でも活躍が続きますが、北陸新幹線が敦賀まで開業するとどうなるのか気になるところです。
JR東海では意外な列車が「1m」を付けられています。
小田急電鉄から御殿場線に乗り入れる「ふじさん１号」。「あさぎり」という列車名で長い間走っていましたが、近年この列車名に変わりました。
それにしてもJR東海の列車ではなく、小田急の列車がこの番号を付けられているとは…。
ちなみに前述の「しらさぎ」はJR西日本からの乗り入れ列車、そして「ふじさん」が小田急からの乗り入れ列車であることを考えると考えるとJR東海には「1」を付けた特急列車は無いことになります。
かつて東京駅から山陽・山陰・九州方面に寝台特急列車が走っていた頃は伝統の列車番号はこの寝台特急に付けられていました。
私が東京に引っ越してきた頃は長崎・佐世保へ向かう「さくら」が最も早い出発で１列車を名乗っていました。
記憶が曖昧ですが、続いて「はやぶさ」「みずほ」「富士」…という順に発車して列車番号も3・5・7…と続いていました。余談ながら「富士」は当時最長距離列車で、東京~西鹿児島間を東海道~山陽~日豊本線経由で結んでいました。東京駅を18:00に出発する時点で前日出発した「富士」がまだ西鹿児島に到着していないというダイヤでした。
JR東日本では３つの「１列車」が存在。
中央本線の特急「あずさ１号」が「1M」を付けられています。「あずさ」がこの列車番号を付けている期間は長く、中央本線初の特急列車としての伝統を感じます。
常磐線の特急「ひたち１号」も１列車を名乗ります。常磐線といえばもももと上野駅を始発駅とする列車でしたが、上野東京ライン開業により一部列車が品川駅まで運転されるようになり、特急列車もほとんどの列車が品川始発となりました。しかし、上野駅を毎時ジャスト（「ときわ」は30分発）という伝統のダイヤは守られています。
なお、上野駅始発となる一部の特急列車は列車番号が４桁となっています。
そしてこっそりとというか、ちゃっかりとでもいうか羽越本線の特急「いなほ１号」が「1M」を先月から名乗っています。
この列車も歴史は古く、国鉄時代は上野~秋田・青森間を高崎線~上越線~信越本線~羽越本線~奥羽本線経由で結んでいた列車です。
上越新幹線開業により新潟~酒田・秋田・青森間を結ぶ都市間特急列車となりましたが、のちに秋田~青森間は特急「つがる」に系統分離され、酒田や秋田止まりの列車として現在に至ります。
誕生以来、お蔵入りすることなく活躍を続けている特急「いなほ」ですが、１列車を名乗るのはこれが初めてではないでしょうか…。
ちなみに国鉄時代の上野駅で列車番号「１」を付けていたのは東北初の特急列車「はつかり」で、のちに上野駅をジャストタイム発で日本一の運転本数を誇った仙台までの特急「ひばり」や上信越線の列車に付けられることはありませんでした。
JR北海道の列車では函館~札幌間を結ぶ特急列車「北斗」が「1D」を名乗っています。
まだ東北新幹線も無く、青函連絡船で北海道へ渡っていた時代からの伝統で函館から札幌へ向かう特急列車に付けられた栄光の列車番号は現在も継承され続けています。
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