蓮舫氏の問題を二重国籍容認の突破口に | あもくのガンバラヤ ルイジアナだより

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ならねえよなあ。これってむちゃくちゃややこい話なんです。こちとら当事者なのでいろいろ研究しましたが、おそらく日本人のほとんどは何が何だかわからないと思う。以下、僕の解釈ですが、間違っていたらご指摘よろしくお願いします。「出生による二重国籍者が22歳で選択云々」に興味のある方は、途中の「さて、ここからが本題です」から読んでいただいても構いません。

 

まず、蓮舫さんはお父さんが台湾人、お母さんが日本人で東京生まれ。出生時は台湾国籍(この時代は日本人男性の子どもでないと日本国籍が付与されませんでした。男女差別です)、高校時代に前述の男女差別が撤廃され、日本人女性の子どもにも自動的に日本国籍が与えられるように法律が改正されたのと同時に、日本国籍を取得。現在の法律によれば、22歳になった時に国籍を選択しなければならないことになっています(詳しくは後述)。問題はその時に台湾国籍を離脱したかどうかです。成人してからも「台湾籍を放棄したくない」と言っているので、自分から積極的に台湾国籍を放棄したのではなさそうです。日本は二重国籍を認めていないので、日本政府としては日本国籍を取得した22歳になって「国籍離脱届け」を出さなかった時点で台湾籍は自動的に放棄したとみなします(詳しくは後述)逆に、台湾は二重国籍を認めているので、日本国籍を選択したとしても、台湾国籍を離脱する必要がない。ね、ややこいでしょ?台湾に対しては台湾国籍を離脱する必要がないのに、日本に対してはある。ということは台湾でどちらのパスポートを使っても「合法」です。台湾で「総統選」に投票しても台湾政府が関知する限り、なんの問題もない。それでは、台湾選挙権を行使した場合、日本の法律から見て「違法」になるのでしょうか?僕は専門家ではないのではっきりとはわかりませんが、ちょっと考えた限り、思いつく罪名がないです。ね、ややこいでしょ?

 

今現在、台湾国籍を離脱したことを証明する戸籍を公開するって言ってますが、これは簡単にコメントできることではないです。国会議員の資格は「日本国籍」であり、日本の国益を第一に考えるべき、という論理からは保守(てか、右翼)の言い分にも一理あります。バリバリのリベラル、日本で選挙がある時は大概共産党に投票する僕としても、リベラル陣営の、「戸籍を公開する必要なんてない」っていう主張には「その通り!」とは単純に同意できません。ただし、台湾側からみて二重国籍であろうがなかろうが、「日本国籍」を有する以上、法的な問題は全くない訳で、そうであればやはり公開する必要がないかなと思ってきました。あくまで代議士は日本国民でなければならないっていう法律の話で、「ここで公開したらのちのち多重国籍者に対する差別につながる」ってのも短絡的かなと思いますし。

 

ここでは、蓮舫さんの話が「日本政府が二重国籍を容認」する、つまり、「災い転じて福となす」という展開にならないかなという希望的観測をもとに、以下、書いてみます。

 

僕はアメリカ在住34年ですが、未だに日本国籍、アメリカ永住権保持者です。アメリカ国籍の取得資格はあるし、申込書も取り寄せてあります。これに記入して、725ドル(約8万円)の手数料を払えば、5〜6ヶ月で取れます。アメリカでは相続に関してアメリカ国民と永住権保持者に差があり、僕か奥さんに万が一のことがあった場合、子どもとの間に「相続」で揉める可能性があります(まあ、そんな財産もないので、揉めないけどw)。選挙権もないので、いくらトランプが阿呆だと思っても、投票できません。つまり、アメリカ国籍を取得することには大きな利点があります。

 

その決断ができない理由は簡単です。日本政府が二重国籍を認めていないので、22歳より年上である僕はアメリカ国籍を取った瞬間に、日本国籍が喪失するから。とは言っても届出を出さなければ日本政府は気がつかないので、とりあえずはこの時点では、国籍は自動的に喪失してはいるものの、法律違反ではないです。ただし、日本のパスポートを使った瞬間に「旅券法違反」になるし、日本の「選挙権」を行使した瞬間になんらかの法律違反になります。人生の半分以上をアメリカで過ごしたとはいえ、僕のアイデンティティは日本です。なので、日本国籍を喪失することは避けたい、つまり、日本政府が二重国籍を認めていないことは僕にとって「不利益」になります。なので、日本政府も二重国籍を認めてほしいと切に思います。

 

「2つの国の国籍を両方欲しい」ってのは「わがまま」だからこの論理には説得力がない、って思う人もいるかもしれません。しかしながら、海外で生活をするにはその国の国籍がないと困る場合が多々あり、それではこういうケースはどうでしょう。日本人の女性がサウジアラビア、イラン、エチオピアなどの男性と結婚して、男性の国で生活しようとすると自動的にその国の国籍が付与されます。国籍を取得しない限りその国には住めません。日本政府は二重国籍を認めていないので、その日本人女性は夫(とその国に住むこと)か日本国籍か、どちらを選ばなければなりません。これは理不尽ですよね。なので、二重国籍を認めないのは「基本的人権の侵害だ」ということができます。とある弁護士に話しましたが、十分成り立つ論理だとのことでした。繰り返し起こされている裁判のポイントもそこです。海外移住が盛んになっている現在では、二重国籍を認める国が増えてもいます。

 

はっきり違法である二重国籍者(そうじゃない場合は後述します)が成田の入国係官に2通のパスポートを見せると、係官は日本のパスポートを見なかったことにして無言で突き返すそうです。上に書いたように、「旅券法違反」ですからね。もし新人がこんな人を捕まえたら恐らく上司から大目玉を喰らいます。法律に沿った扱いをしないとまずいので、とんでもなく面倒なことになる。さらには、こんな事件が公になって「二重国籍容認」の風潮に火がついたら大変なことになります。二重国籍の禁止は、政治家以外に関しては全く論理的に成り立たないので。なので、僕はアメリカ国籍を取ってから日米両方のパスポートを成田の入管で見せて、わざと捕まって横浜の外国人収容所に入って、マスコミでキャンペーンを張ろうかと結構真面目に考えたこともあります。これって面白いと思うんだけどなあ。

 

さて、ここからが本題です(長い前置きで申し訳ない)。 

 

実は、世界中には日本ともう一つ(あるいはそれ以上)の国籍を「合法的に」所持している人たちが何万人といます。わが家の二人の子どもたちもそうです。二人ともアメリカで生まれているので、「出生地国籍主義」を取る政府のもと、アメリカ国籍を自動的に付与されています。と同時に日本政府に出生届を出し、日本国籍も取得しています。14日以内に届を出さない場合、日本国籍はもらえません。アメリカ生まれの日本人で親が出生届を忘れて日本国籍を持っていない子どもも身近に知ってます。まあ日本のお役所ってのは厳しいんだわ。

 

さて、アメリカ生まれ(まあ、カナダでもどこでも出生地国籍主義を取っている国ならどこでもいいんですけどね)の日本人は二重国籍者となります。巷に喧伝されているのは18歳(20歳?)で選択しないとうんぬんって奴ですが、だいたい嘘ですw。実際のところは、22歳の誕生日より前に選択をすることになっています。ただし、そんなこと海外に住んでる日本人はほとんど誰も知らないし、面倒でもあるので、大多数(たぶん9割以上)は選択しません。僕は事情を知っていたので、領事館員に「うちの子どもは選択させませんから、よろしく」って言っておきました。領事館員は、「賀茂さん、そんなこと言わないでくださいよ〜〜〜」って笑ってました。日本政府も真面目に選択させようとは思ってない。だって、もともと誰も選択しないんですから。

 

さて、選択しないとどうなるんでしょうか?何万人の犯罪者を作り出すのは日本政府としてもまずいし、その何人かから「二重国籍を認めないのは基本的人権の侵害だ」などの理由で裁判を起こされたらたまりません。なので、日本政府はうちの二人の子どもを「合法」にするために、どんでもない解釈をします。いわく、国籍離脱届を出さなかったので、日本政府としては日本国籍を選択したとみなします。アメリカ国籍も所持していると「違法」になるので、日本政府はむりくりに「アメリカ国籍を離脱する努力をしているw」と見なすんです。だから合法。むりくりでしょ、これw。「努力」をしていないと見なされるとどうなるかって?どうにもなりません。こういったケースで唯一権限を持つ外務省法務大臣から「催告」が出されたケースはゼロです。こういった「出生による二重国籍保持者」の代表が歌手の宇多田ヒカルです。お母さんが藤圭子、アメリカ生まれです。宇多田ヒカルが逮捕されない限り、とっくに22歳を過ぎているわが家の息子たちも安泰です。

 

理屈として、僕のように自分の意思で他国に帰化した日本人からは国籍を剥奪するが、自分の意思ではない「出生による二重国籍者」には寛容、ということです。わかったようなわからないような。

 

で、ここから僕の理解はあいまいになります。日本に住む在日コリアンの場合、22歳までに国籍を選択するという義務がどうやら厳密に課されているらしいです。もしそうであれば、出生地国籍主義を取る外国で生まれた子どもたちは、一生にわたって二重国籍を保持できる特権を与えられているのに、在日コリアンには与えられていない。僕には、これって差別のように思えるんですが。ということは、海外で生まれた日本人子弟(うちの子どもたちと宇多田ヒカルを含む)に与えられている特権を、蓮舫さんは気がつかないうちに行使してしまった、ってことかとも思います。

 

これも推測なのですが、日本の政府がかたくなに二重国籍を認めようとしないのは、それを認めると日韓の二重国籍者が増えるのが理由だと思います。国籍にかかわらず、日本生まれの在日コリアンは通常日本で生活すると思うので、二重国籍を認めると何が困るんだとは思いますけど。何より、国籍のいかんに関わらず、合法的に日本に滞在していれば、日本国民と同じ権利と義務が与えられて当然だと思うし。アメリカでは国籍を持とうと持つまいと、選挙権、陪審員資格、相続制度以外は平等です。逆に徴兵制度や徴税などはアメリカ国民と同様の義務が課されますから。

 

蓮舫さんの二重国籍問題は、本来であれば、グローバル時代の現在、二重国籍を認めないというのがいかに古臭い考えであるか、ということを国民の間で議論するきっかけとするべきでした。二重国籍問題はある程度「超党派」の部分があり、2008年には自民党の河野太郎衆院議員が二重国籍を認める国籍法改正の私案を提示したこともあります。あるいは、そこまでいかなくても、在日コリアンには22歳で「究極の選択」を迫り、海外で生まれた日本人には特権を与えるっていうダブルスタンダードには言及してもいいかとは思います。

 

そんなことを主張して、わが家の2人の子どもから特権を奪うことにならないかって?心配ご無用です。何万人という規模で海外に散らばってる「出生による二重国籍取得者」を全部チェックできるはずがないし、上にも書いたように二重国籍容認論に火をつけるようなことを政府はしません。上の河野私案もすぐに潰されました。

 

ややこい話を読んでいただき、ありがとうございました。海外に住む日本人には身近な話題なので、困っている方、悩んでいる方などいらっしゃいましたら、このブログを紹介してください。

 

さて、蓮舫さん、どうやって始末をつけるのかな。たぶん台湾国籍を離脱したのは最近なので、火に油を注ぐ結果になるんじゃないかと個人的には思ってますが…。

 

追記:後から読んだ朝日新聞の解説などを元に、一部編集しました(赤字になってます)。