前回のブログで紹介した学習者の課題について少し掘り下げようと思います。

「学力を構成する要素の話」
⇒ https://ameblo.jp/ameyarisuke/entry-12654419176.html



今回は「基礎能力」と「基本の習得」のお話です。


▽基礎能力の話
「基本を習得する」ために必要な素養です。
「ここが苦手だとさまざまな分野の習得に影響が出るな」という能力をピックアップしました。
「才能を伸ばす」というのは「基礎能力を伸ばす」と言い換えても良いかもしれませんね。
どの能力も、ある程度できるようになるまでは指導者がそばにいる環境が望ましいです。

①計算力
数字の扱いに慣れ、計算を工夫したり比例計算(大小関係の把握)ができるようになると、理系分野においては問題を解くスピードや正確さが全く変わってきます。
これが苦手な場合、計算そのものが出来ないデメリットも勿論大きいですが、例えば「ある分野の理屈はかなり理解できてきているのに計算が苦手でなかなか正解に辿り着けずいつまでも苦手意識がある」と言うようなことがあったりします。
練習方法は「計算問題を時間を計って解く」ことに尽きます。

②読解力
文章の把握ができず、国語以外の教科でも基本の理解が捗らなかったり、文章読解を伴う問題になると「まず問題文が把握できていなくて解けない」というケースが多いです。
まずは「短文の読解などで文章の前後の繋がりを把握する」練習をしてみるのが良いのではないでしょうか。

③論理力
物事の因果関係を整理し、筋道を立てる能力です。
「なぜ?」を放置せずに、調べたり質問してみたりを繰り返して身についていく能力になります。
矛盾や飛躍に気付いたり、抽象的な思考を具体的な思考に変換することができるようになっていきます。

④暗記力
「暗記できる程度の分量に小分けして覚える」「忘れることを計算に入れて何度も繰り返す」といった地道な作業が必要になります。
できる人にとっては当たり前の作業ですが、意外と全体を漠然と眺めて、「覚えられないなぁ」とそのまま放置されるケースが多いです。

⑤空間認識力
距離感や位置関係、立体像の把握に必要な能力。
この能力が育っていないと、同じ図を眺めていても全くピンとこないということがあり得ます。
自分で図を書いてみたり、図形問題を解くことで育てていく能力になります。

⑥人の話を聞く能力
話を聞いていても「言葉として聞き流している」状態だと得るものは少なくなります。
「今何の話をしているか?」がわからないまま断片的な情報だけ吸収している生徒はとても多いです。
なるべく一字一句聞き逃さないように集中することや、文脈を考えたり頭の中で常に自分のわかる言葉に置き換えようとすることで深い理解を得やすくなります。これは習得できる技術だと思います。
普段の読書や会話の中で、理解度を確かめたり理解できるまで繰り返し説明してもらって「よく理解できた」という実感を掴むことが大切で、その状態に持っていこうと自分で努力するきっかけになります。


▽基本の習得の話
基本をいかに正確に習得しているかが応用力を発揮する場面で大きく影響します。
ベースは理解→実践→検証の3段階です。

①授業を聞く、テキストをよく読む(インプット)
授業を聞いたり、教科書やノートなどをよく読んで、「何を習得するべきなのか?」を理解していきます。
「暗記すべきところ」と「理解すべきところ」を整理し、自分のわかりやすい形で頭に収めていく作業です。

②問題を解く(アウトプット)
「わかる」と「できる」は違う、とよく言われますが、実際に自分の手で解いてみることで、自分の中で習得できていない部分を洗い直していく作業になります。人に説明してみるのも良い練習になるでしょう。

③検証する
問題を解いた際に、「自分はどこを間違えていたか?」を検証することです。
解説や模範回答などで正解を理解することはもちろん大切ですが、間違えていたのは「ミスだったのか?」「基本の習得に欠けている部分があったのか?」「何かを読み落としていたのか?」などを分析することの方が、ある意味正解を聞いて理解することよりも重要になります。
同じ間違いをなるべく繰り返さないためにも大切なことです。


やる気のコントロールとワーキングメモリの話は次回!