このアルバムは暗すぎて、私としてはあまり好きなアルバムではないんですが……
やっぱり聞き始めると引き込まれてしまう強力なパワーを持ったアルバムで、「名盤」と言えるアルバムだと思います。
「筋肉少女帯の最高傑作」として挙げる人も多いみたいですね。
今回、このアルバムを聴き直したのは、
10月の「筋少の大ブログ」の記事で、
今回の「大槻ケンヂと絶望少女達」のアルバムは、
"筋肉少女帯の「レティクル座妄想」と対の関係となる一枚にしようとしたアルバム"
と、大槻ケンヂが書いていたからです。
こういうのを確かめずにはいられない自分の性格が厄介だ……(^-^;)
「レティクル座妄想」は、筋肉少女帯の9枚目のオリジナルアルバム。
1994年4月21日発売。このアルバムから、レコード会社がトイズファクトリーからMCAビクターに変わっています。
ジャケットデザインは、大槻ケンヂの
小学校の同級生でもある、占部勝也(うらべ かつや)さんです。
トータルタイムは、
51分54秒。
全12曲。
#1.レティクル座行超特急[4分38秒]
#2. 蜘蛛の糸[4分25秒]
#3.ハッピーアイスクリーム[4分07秒]
#4. 香菜、頭を良くしてあげよう[3分30秒]
#5. さらば桃子[4分54秒]
#6.ノゾミ・カナエ・タマエ[5分51秒]
#7. 愛のためいき[2分56秒]
#8.ワダチ[6分28秒]
#9.ノゾミのなくならない世界[3分55秒]
#10.パリ・恋の都[3分47秒]
#11.レティクル座の花園[3分22秒]
#12. 飼い犬が手を噛むので[3分56秒]
プロデューサーは、「筋肉少女帯」名義ですが、ほぼ橘高文彦がプロデュースしたようです。
私は、#1,#5,#8,#12の4曲が好きですが、
暗いアルバムの多い筋肉少女帯のアルバムの中で、やっぱり一番暗いアルバムだと思います。
だって、「自殺」がイメージされる曲が3曲もある!(^-^;)
(#1,#5,#10)
さらに、
「ノゾミ・カナエ・タマエ」は少女のお葬式の場面の歌だし、
「ワダチ」は戦争で死ぬ者の歌、
「レティクル座の花園」はあの世の歌だ!(^-^;)
ポジティブな曲が一曲もない……
一応、「香菜、頭を良くしてあげよう」はラブソングだけど、「別れ」を前提にしたようなラブソングだしね……。
前作「UFOと恋人」、前々作「エリーゼのために」にはポジティブな曲が入っていただけに、このアルバムは、「病的」な暗さが印象的です……。
最終曲「飼い犬が手を噛むので」の最後は、
「ダメなヤツはダメだようー」っていう結論で終わってしまうし……。
救いようがない!(^-^;)
絶望した!
(…笑)
……あ、ここが「大槻ケンヂと絶望少女達」との共通点か?(笑)
でも、よく考えると、
「ダメなヤツはダメだ」という結論は、
「じゃあ、「ダメなヤツ」にならないように、少しは頑張りなよ」っていう大槻ケンヂのメッセージなのでは……
大槻ケンヂなりの、逆説的な応援メッセージ……
って思うのは、いい方に深読みしすぎかな?
このアルバムのテーマは、「病んだ心」、つまりは「キ○ガイ」だそうです……。
こんなに暗いアルバムになった理由の一つに、先行シングルの「蜘蛛の糸」で、
世間から「大槻はいじめ問題に取り組んだ」と勘違いされて、
大槻に「いい人キャラ」がつきそうになって、
それを嫌った大槻が、わざと「暗いアルバムにしよう」と決めたという……。(「オーケンののほほん日記」に書かれています)
どんだけヒネクレ者なんだ、大槻!!(笑)
結局現在では、大槻ケンヂにはけっこう「いい人キャラ」がついちゃってますけどね(笑)
こんなに暗いアルバムなのに、聞き出すとぐるぐると何回も聞いてしまいます……!
その理由は、最終曲と一曲目がイイ曲だから。
最終曲、「飼い犬が手を噛むので」の疾走感、突っ走ったままバシッと終わって、
一曲目、「レティクル座行超特急」のイントロが始まり、「蒸気機関車の疾走」を思わせるギターリフが重なってくると、やっぱりそのまま聞き込んでしまいます。
この2曲は、筋肉少女帯のベストアルバム「大公式」、「大公式2」には入っていないので、隠れた名曲になってしまいましたね。ライヴでも聞きたい曲です。
この何度も聞きたくなるような曲順は、実は橘高の狙い通りで、
橘高の話では、
「最後の曲を静かな、落ち着いた曲にすればまとまりのいいアルバムにはなるが、
最終曲を速い、激しい曲にすると何回も思わず聞いてしまうようなアルバムになる」
という考えから、最終曲を作ったそうです。
このあたりの橘高のプロデュース能力はさすがです!
そしてさらに、このアルバムでは橘高のギターが全曲冴えまくってます……!
ギターリフも、ギターソロも……
イングウェイ=マルムスティーンのようなリフを一曲弾きまくっている「ノゾミのなくならない世界」の音数とスピード感はすごいです……。
この曲は太田のドラムもすごい。
橘高作曲の曲が4曲
(#5,#9,#11,#12)も入っていて、筋肉少女帯のアルバムの中でも一番橘高曲が多いアルバムです。
(「新人」も橘高曲が4曲ありますが、1曲はリメイクの「イワンのバカ」なので完全新曲ではない)
ただ、全体的に大槻に対する歌の要求が高過ぎて、大槻の歌唱力を超えたキーになっちゃってる曲があって、(#5,#8,#11)
大槻がかわいそう……(^-^;)
かなり苦しそうに歌ってます……(笑)
この12曲の中でも、一番狂気な曲が、3曲目の「ハッピーアイスクリーム」!
この曲は曲調は全然違いますが、「空想ルンバ」の原型とも言える曲で、大槻ケンヂと女の子の声の掛け合いでどんどん進んで行く曲。
今聞いても、新しいです。
っていうか、こんなに狂った歌詞を書いて、実際に歌っちゃう人って大槻ケンヂ以外になかなかいないと思う……
たぶん、今度の1月18日の「大槻ケンヂと絶望少女達」で「ハッピーアイスクリーム」やるんじゃないかな?
面白い曲なんだけど、歌詞がやっぱり暗いんだよね~(^-^;)
<死ぬか?「死ぬわ」>
というやりとりがあるし……(^-^;)
やっぱり、狂ってる(笑)
それで、このアルバムと大槻ケンヂと絶望少女達のアルバム「かくれんぼか、鬼ごっこよ」のどこが対になっているかというコトですが……
……え~、結局、良くわかりません(^-^;)
一応、「かくれんぼか、鬼ごっこよ」の8曲目、「人形たち」の歌詞に、
<ダメなやつはダメ>
<ムダなやつはムダ>
という歌詞が出てくるのが、すぐにわかる共通点かな?
あと、両アルバムとも、「大槻ケンヂの声と女性の声の絡み合い」に挑戦しているアルバムだというコトは言えます。
まぁ、大槻ケンヂのことだから、過去のアルバムのプロモーションのために、そういうコトを書いたっていう可能性も大なんだけど……(笑)
もう少し、「かくれんぼか、鬼ごっこよ」の歌詞を深読みしてみないとね……
あと、この「レティクル座妄想」っていうアルバムを本当に理解するためには、三本の映画を見なければならない……
一本目、「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」。
石井輝男監督のカルト映画。これは大槻の意見で、レコーディング前にメンバー全員が見て、アルバムのコンセプトの元となった映画です。
コレって、レンタルビデオ屋さんにあるのかな?(笑)
二本目、「時をかける少女」
コレは最近作られたアニメ版のほうではなく、大林宣彦監督・原田知世主演の実写版。
この映画の中で、「愛のためいき」が使われているらしい。
三本目は、「きけ、わだつみのこえ」
どうも「ワダチ」の元ネタになっているらしい……
というわけで、この三本の映画を見れば、またこのアルバムの評価が変わってくるのではないかと。
……私は、まだ三本とも見てません(^-^;)
さすがに、映画マニアでもある大槻の試聴ペースにはついていけない……
と、いうわけで、またこの三本の映画を見たら、もう一度このアルバムを評価してみたいと思います……。
とにかく、この「レティクル座妄想」、筋肉少女帯にしか作れないアルバムだし、今聞いても「新しい」と感じる部分がある。
「筋肉少女帯の最高傑作」としてこのアルバムを挙げる人がいるというのも理解できます。
ただ、やっぱり私はこのアルバムはあんまり好きじゃない……(^-^;)
暗すぎるんですよね。
私が一番好きなアルバム、
「サーカス団パノラマ島に帰る」も暗いけど、ちょっと異質な救いようの無い「暗さ」というか……
まあ、その三本の映画を見たらまた印象が変わるかもしれませんが……。
深いですね。
「筋肉少女帯」道(笑)
へそ天です。
黒水川でした。
やっぱり聞き始めると引き込まれてしまう強力なパワーを持ったアルバムで、「名盤」と言えるアルバムだと思います。
「筋肉少女帯の最高傑作」として挙げる人も多いみたいですね。
今回、このアルバムを聴き直したのは、
10月の「筋少の大ブログ」の記事で、
今回の「大槻ケンヂと絶望少女達」のアルバムは、
"筋肉少女帯の「レティクル座妄想」と対の関係となる一枚にしようとしたアルバム"
と、大槻ケンヂが書いていたからです。
こういうのを確かめずにはいられない自分の性格が厄介だ……(^-^;)
「レティクル座妄想」は、筋肉少女帯の9枚目のオリジナルアルバム。
1994年4月21日発売。このアルバムから、レコード会社がトイズファクトリーからMCAビクターに変わっています。
ジャケットデザインは、大槻ケンヂの
小学校の同級生でもある、占部勝也(うらべ かつや)さんです。
トータルタイムは、
51分54秒。
全12曲。
#1.レティクル座行超特急[4分38秒]
#2. 蜘蛛の糸[4分25秒]
#3.ハッピーアイスクリーム[4分07秒]
#4. 香菜、頭を良くしてあげよう[3分30秒]
#5. さらば桃子[4分54秒]
#6.ノゾミ・カナエ・タマエ[5分51秒]
#7. 愛のためいき[2分56秒]
#8.ワダチ[6分28秒]
#9.ノゾミのなくならない世界[3分55秒]
#10.パリ・恋の都[3分47秒]
#11.レティクル座の花園[3分22秒]
#12. 飼い犬が手を噛むので[3分56秒]
プロデューサーは、「筋肉少女帯」名義ですが、ほぼ橘高文彦がプロデュースしたようです。
私は、#1,#5,#8,#12の4曲が好きですが、
暗いアルバムの多い筋肉少女帯のアルバムの中で、やっぱり一番暗いアルバムだと思います。
だって、「自殺」がイメージされる曲が3曲もある!(^-^;)
(#1,#5,#10)
さらに、
「ノゾミ・カナエ・タマエ」は少女のお葬式の場面の歌だし、
「ワダチ」は戦争で死ぬ者の歌、
「レティクル座の花園」はあの世の歌だ!(^-^;)
ポジティブな曲が一曲もない……
一応、「香菜、頭を良くしてあげよう」はラブソングだけど、「別れ」を前提にしたようなラブソングだしね……。
前作「UFOと恋人」、前々作「エリーゼのために」にはポジティブな曲が入っていただけに、このアルバムは、「病的」な暗さが印象的です……。
最終曲「飼い犬が手を噛むので」の最後は、
「ダメなヤツはダメだようー」っていう結論で終わってしまうし……。
救いようがない!(^-^;)
絶望した!
(…笑)
……あ、ここが「大槻ケンヂと絶望少女達」との共通点か?(笑)
でも、よく考えると、
「ダメなヤツはダメだ」という結論は、
「じゃあ、「ダメなヤツ」にならないように、少しは頑張りなよ」っていう大槻ケンヂのメッセージなのでは……
大槻ケンヂなりの、逆説的な応援メッセージ……
って思うのは、いい方に深読みしすぎかな?
このアルバムのテーマは、「病んだ心」、つまりは「キ○ガイ」だそうです……。
こんなに暗いアルバムになった理由の一つに、先行シングルの「蜘蛛の糸」で、
世間から「大槻はいじめ問題に取り組んだ」と勘違いされて、
大槻に「いい人キャラ」がつきそうになって、
それを嫌った大槻が、わざと「暗いアルバムにしよう」と決めたという……。(「オーケンののほほん日記」に書かれています)
どんだけヒネクレ者なんだ、大槻!!(笑)
結局現在では、大槻ケンヂにはけっこう「いい人キャラ」がついちゃってますけどね(笑)
こんなに暗いアルバムなのに、聞き出すとぐるぐると何回も聞いてしまいます……!
その理由は、最終曲と一曲目がイイ曲だから。
最終曲、「飼い犬が手を噛むので」の疾走感、突っ走ったままバシッと終わって、
一曲目、「レティクル座行超特急」のイントロが始まり、「蒸気機関車の疾走」を思わせるギターリフが重なってくると、やっぱりそのまま聞き込んでしまいます。
この2曲は、筋肉少女帯のベストアルバム「大公式」、「大公式2」には入っていないので、隠れた名曲になってしまいましたね。ライヴでも聞きたい曲です。
この何度も聞きたくなるような曲順は、実は橘高の狙い通りで、
橘高の話では、
「最後の曲を静かな、落ち着いた曲にすればまとまりのいいアルバムにはなるが、
最終曲を速い、激しい曲にすると何回も思わず聞いてしまうようなアルバムになる」
という考えから、最終曲を作ったそうです。
このあたりの橘高のプロデュース能力はさすがです!
そしてさらに、このアルバムでは橘高のギターが全曲冴えまくってます……!
ギターリフも、ギターソロも……
イングウェイ=マルムスティーンのようなリフを一曲弾きまくっている「ノゾミのなくならない世界」の音数とスピード感はすごいです……。
この曲は太田のドラムもすごい。
橘高作曲の曲が4曲
(#5,#9,#11,#12)も入っていて、筋肉少女帯のアルバムの中でも一番橘高曲が多いアルバムです。
(「新人」も橘高曲が4曲ありますが、1曲はリメイクの「イワンのバカ」なので完全新曲ではない)
ただ、全体的に大槻に対する歌の要求が高過ぎて、大槻の歌唱力を超えたキーになっちゃってる曲があって、(#5,#8,#11)
大槻がかわいそう……(^-^;)
かなり苦しそうに歌ってます……(笑)
この12曲の中でも、一番狂気な曲が、3曲目の「ハッピーアイスクリーム」!
この曲は曲調は全然違いますが、「空想ルンバ」の原型とも言える曲で、大槻ケンヂと女の子の声の掛け合いでどんどん進んで行く曲。
今聞いても、新しいです。
っていうか、こんなに狂った歌詞を書いて、実際に歌っちゃう人って大槻ケンヂ以外になかなかいないと思う……
たぶん、今度の1月18日の「大槻ケンヂと絶望少女達」で「ハッピーアイスクリーム」やるんじゃないかな?
面白い曲なんだけど、歌詞がやっぱり暗いんだよね~(^-^;)
<死ぬか?「死ぬわ」>
というやりとりがあるし……(^-^;)
やっぱり、狂ってる(笑)
それで、このアルバムと大槻ケンヂと絶望少女達のアルバム「かくれんぼか、鬼ごっこよ」のどこが対になっているかというコトですが……
……え~、結局、良くわかりません(^-^;)
一応、「かくれんぼか、鬼ごっこよ」の8曲目、「人形たち」の歌詞に、
<ダメなやつはダメ>
<ムダなやつはムダ>
という歌詞が出てくるのが、すぐにわかる共通点かな?
あと、両アルバムとも、「大槻ケンヂの声と女性の声の絡み合い」に挑戦しているアルバムだというコトは言えます。
まぁ、大槻ケンヂのことだから、過去のアルバムのプロモーションのために、そういうコトを書いたっていう可能性も大なんだけど……(笑)
もう少し、「かくれんぼか、鬼ごっこよ」の歌詞を深読みしてみないとね……
あと、この「レティクル座妄想」っていうアルバムを本当に理解するためには、三本の映画を見なければならない……
一本目、「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」。
石井輝男監督のカルト映画。これは大槻の意見で、レコーディング前にメンバー全員が見て、アルバムのコンセプトの元となった映画です。
コレって、レンタルビデオ屋さんにあるのかな?(笑)
二本目、「時をかける少女」
コレは最近作られたアニメ版のほうではなく、大林宣彦監督・原田知世主演の実写版。
この映画の中で、「愛のためいき」が使われているらしい。
三本目は、「きけ、わだつみのこえ」
どうも「ワダチ」の元ネタになっているらしい……
というわけで、この三本の映画を見れば、またこのアルバムの評価が変わってくるのではないかと。
……私は、まだ三本とも見てません(^-^;)
さすがに、映画マニアでもある大槻の試聴ペースにはついていけない……
と、いうわけで、またこの三本の映画を見たら、もう一度このアルバムを評価してみたいと思います……。
とにかく、この「レティクル座妄想」、筋肉少女帯にしか作れないアルバムだし、今聞いても「新しい」と感じる部分がある。
「筋肉少女帯の最高傑作」としてこのアルバムを挙げる人がいるというのも理解できます。
ただ、やっぱり私はこのアルバムはあんまり好きじゃない……(^-^;)
暗すぎるんですよね。
私が一番好きなアルバム、
「サーカス団パノラマ島に帰る」も暗いけど、ちょっと異質な救いようの無い「暗さ」というか……
まあ、その三本の映画を見たらまた印象が変わるかもしれませんが……。
深いですね。
「筋肉少女帯」道(笑)
へそ天です。
黒水川でした。
