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「リンダリンダラバーソウル」読み終えました。

えーと、何というか、

そう、
今更大槻ケンヂの文章でなんか感動することはない

って思ってたんですが……

感動させられてしまいました…
大槻先生、見直しましたよ。

ただ、感動したのは、「文庫版あとがき」の部分なんですが。
こう書くと、もし大槻自身が読んだら怒るだろうな。
「あとがきで評価されたくはない」と。

でも、実際そこで感動しちゃったんだからしょうがない。

なので、まだ「リンダリンダラバーソウル」読んでない方は、単行本版ではなく、文庫版を買ったほうがいいとおもいます。

それで、ちゃんと本文を読み終えてから、あとがきを読みましょう。



本文の内容ですが、
小説というよりは、
連作思い出しエッセイという感じ。
元々雑誌に連載されたものなので、一つ一つの章は短く、読みやすいと思います。
集中すれば、一、二時間で読み切れるんじゃないでしょうか。

ボンクラ大学生だった大槻が、筋肉少女帯でデビューし、
バンドブームという狂乱に巻き込まれ、
やがてブームが去って取り残される…。
最後は、特撮のライヴの中でバンドブームを語る。

書かれているのは、とにかくバンドブームの事。
Xや、ジュンスカに対する対抗心とか、
「う~ん、マンダ~ム事件」とか(笑)

笑える話も、少し悲しい話もあります。
池田貴族さんの話は、とても悲しい話ですね。

一応、コマコというヒロインが出てくるのですが、
私はコマコよりもジーナの方に感情移入してしまいました。

文中に出てくるバンド名には、すべて解説がついてます。
バンドのカタログ的にも使えます(笑)
でも、全部読むのは結構めんどうなので、バンド解説の部分は読み飛ばしても大丈夫だと思います。


そして、あとがきの部分ですが、
はっきり言って、
並の本一冊分より、濃い。
ロックの本質というものが、凝縮されている文章だと思いました。
中原中也の芸術論にも比肩するくらい……

「ロックの旅には、いいことしかない!」

名言です。
いいことしかない理由も、書かれています。

確かに、ロックは何でもアリ。
アーティスティックなプログレッシブロックも、
下品なパンクも、
イングウェイみたいな速弾きギターも、
ニール=ヤングのようなローテクギターも、

何でも、アリ。

なぜなら、ロックだから。

便利で、幸せな言葉です。

表現したいことがあるなら、
演奏すればいい。

だから、
「バラード禅問答」も、アリ。
「お散歩モコちゃん」も、アリ。
「散文詩の朗読」も、……まぁ、アリ。
「子供じゃないんだ赤ちゃんなんだ」の悪夢のような掛け合いも、……アリ。

ロックだからね!


あぁ、ロック好きで良かった。
筋肉少女帯を追っかけて来て良かったんだなぁ。

大槻の、アンダーグラウンドサーチライ以降の活動については、私はちょっと疑問に感じることも多かったんですが、
このあとがきを読んでその疑問が解消されました。

こうなったら、特撮も電車も、全て聞くしかないなあ。
あ~「世界中のロックバンドが今夜も」を聞いてみたい。まだ聞いたことがないんです。


もうこれから、いいことしかない予感をくれる文章を書けるなんて、
大槻、大したペテン師だよ!

やられたよ!

ありがとう!

へそ天!

黒水川でした!