私は二十歳過ぎるまで天皇にお名前があるのを知りませんでした。いえ考えたこともありませんでした。いつも話題になる時は天皇陛下、あるいは陛下だったからです。

初めて聞いたのは英語学校のイギリス人教師からです。誰のことを言っているのかわからず、きょとんとしてしまいました。それ以降、天皇陛下にもお名前があるんだ、という当たり前のことを認識するようになったのですが。そのお名前を言うことはやはりはばかられたのでした。

古来より日本では名前は大切にされてきました。だから、私たちは公の場でも通常の社会生活でも名字を名乗っても、下の名前は使いません。下の名前は親しいものの間で使っています。

それは名前には呪が込められるからです。それはいいものもあれば悪いものもあります。名まえがあるとその悪いものからの呪の呪いを受けやすいから、名前は公にしないものでした。だから、歴史上の人物の本当の名前を私たちは知らないことが多く知っているのは通称であることが多いのです。

そんな名前の習慣が変わったのは明治維新後でした。西郷隆盛は本来違う名前だったのに、届け出をした人が本名がわからず違う名前を届け出してしまったのは、西郷ファンの間では有名な話の一つです。

しかし、時代が変わろうとも陛下の名前を口にしないのは日本の不文律として残ったのです。ですから、今でも私達は天皇陛下、今上陛下、あるいは陛下というように言うのです。


それほど大切なお方、天皇陛下とは唯一無二の御存在です。


天皇陛下は日本のため、日本の民のため、平和と安寧を祈り、その日本と日本の民のためにも世界の平和と安寧を祈られているお方です。


そんなお方が日本にいらっしゃる、日本と日本人の幸せ。


しかし、そのような祈る存在であられることの厳しさを想像できますか?


私が恐れ多くも天皇について知るようになってから、知れば知るほど天皇という存在は深く素晴らしいのです。


神道は祓いに始まり祓いに終わるといいます。お祭りがある時の神職の方のお清めは私のようなへたれのような者からは厳しいものです。ところがその神職の方々が驚くほど、宮中の祓いはさらに厳しいものだといいます。


そこまで清くならなければ崇高な祈りはできないということなんです。


私達もなんの努力もせずに神社等であれをかなえてほしいこれをかなえてほしいなんて祈れませんよね?


天皇はそんな俗世の願いではなく、収穫の成功を願ったり、あるいはその成功を感謝したり、災害が起きないように戦が起きないように、または起きてしまった場合のその早期終息を祈ったりしてきました。日照りが続けば雨を願い、長雨が続けば晴天を祈る。


代々天皇は祈られてきたのです。


今年は皇紀2675年です。皇紀とは神武天皇御即位の年から数えた紀年法。そのことに意義を唱える説もありますが、どんなに文句をつけようとも最低でも2000年の時を天皇が祈られてきたことは否定できません。


その長い年月の間、天皇は歴史の流れの中で大変な目にあわれてきました。歴代の天皇を知ると、その天皇という地位のために歴代の天皇がご苦労されてきたことがよくわかるようになります。歴史はそれを記録している人達の思惑で大なり小なり歪められてしまいます。しかし、そういうフィルターを通しても長い線で見て行けば見えてくるものがあります。歴史は点ではなく線なのです。長い間の連なりが日本という国の歴史となっているのです。


もしあなたしかできないことがあるのに、そのあなたしかできないことができなかったら、あなたはそれを続けることができますか?


そういう困難にも立ち向かわれてきたのが歴代の天皇です。


もしあなたがトップの地位にいたら、トップの地位が孤独なことであることはご存知でしょう。しかし、そのトップの地位も似たようなトップの方々と知り合えば、わかりあうことも可能です。


ところが天皇は唯一無二の御存在であらせられますから、その孤独を分け合う相手がいないのです。愚痴をこぼすこともできませんし、ちょっとした感想をもらすこともできません。そこからどんな悪影響が起こるかしれないからです。そんな風にずっと気を遣い心配りをされていらっしゃる。そして祈りのために日々清らかな毎日を送られていらっしゃる方だからこそ、お目にかかった方がみな感激してしまうような存在となられているのだと思います。


私は初めて一般参賀に参列した時、涙が止まらず驚きました。その頃はただちょっと行ってみようと軽い気持ちで皇居に行ったのです。それ以来毎回参列しています。


天皇の国日本に生まれた有難さを、多くの日本人は意識していません。昔はそれで良かったと思います。日本の神とはそういう存在でしたから、その神々に祈られる天皇もそういう存在となっていたのです。しかし、現在、天皇、また皇室について誤った認識を流す人達が多くいます。正面から悪くいう人達もいれば、仮面をかぶって天皇や皇室の方々を賛美しつつ、チクリチクリと少しずつヒビを入れるように励んでいる人々もいます。


どうか、そういう人達に惑わされぬよう、ご自分の心で考えるようにして下さい。そしておかしいと思ったらご自分で歴史を探究してください。その場合には、歴史本も色んなものが紛れ込んでいることにご注意いただきたいのですが、全体で見るように、またその時代に置き換えて考えるようにしていけば色々とわかることも多いかと思います。


もうすぐ新嘗祭、宮中祭祀で一番重要とされるお祭りですから、天皇陛下もご準備されているかと思います。


重要な宮中祭祀は、天皇しかお祭りをすることができませんが、歴史をみれば年齢の確認がはっきりできるようになってからの天皇で、このようなご高齢でお祭りをされていらっしゃるというのは、昭和天皇と今上天皇陛下だけです。ほんとうにありがたいことです。


日本人に生まれてほんとうに幸せです。


色々と考えてしまう方はこちらをご覧ください。うさんぽさんは私よりも懐疑的だったのですが違和感に気づいてからは180度変わりました。↓
うっかり東宮批判を信じてしまっても、両陛下の批判・中傷で目が覚めるのが日本人



天皇を知る上で避けて通れない字




神代在今の国
年間102日あります

宮中祭祀 新嘗祭①
宮中祭祀 新嘗祭②
宮中祭祀 新嘗祭③
豊明節会、新米解禁!





新嘗祭の時期なので確認↓
新米を食べるのはいつですか?
日本人の一番大切なお祭りとは






日本製を選べば自分が儲かる
トップが変われば下も変わる