今まで何も考えずにいたことで、大きな問題を孕んでいることが沢山あることにここ数年で気づくようになりました。


現在の日本の一番の問題点は、歴史観にあると最初は考えていたのですが、実はそれ以上に問題があるのが國語です。


というのも、國語はその言葉での思考に影響が強いものだからです。分かりやすい例でいえば、バイリンガルの人がよくいう言葉で性格が変わるというものです。つまり言葉にはその国に根差した思考回路があって、それが考え方、性格にも影響してくるのです。



言葉は長い間にその国の気候風土にあわせて育まれたもので、それがその国独自の哲学に密接に結び付き、思考にも影響を与えているのです。つまり独自の発想をするには、その国の言葉が不可欠です。


インドやフィリピンなど公用語に外来語がある国では、色んな問題があると言われています。インドの大学では授業が英語であることが多いようですが、これではインド独自の発想が生まれない、とインドの言葉での授業にしようという議論が今高まっているそうです。創造性の発揮に母語は欠かせないからです。


日本では古くから大和言葉があり、大陸から漢字が伝わってから実際に漢字が日本の文字として定着するまでに時間がかかったのも、大和言葉に合わせる方法がその間見つからなかったからだといいます。日本人は古来から新しいもの好きのようですが、その新しいものを取り入れるにも自分たちに合わせて取り入れてきていたのです。


その漢字も訓読みと音読みでは、印象が違います。これ日本人が普段意識せずに日常的に使っているバイリンガルといえるかもしれません。


明治期に起きた言文一致運動が起きるまで、文字になるものは文語体で書かれるものでした。さらに、当時は歴史的仮名遣いを使用していました。これは簡単にいえば江戸時代からの仮名遣いを修正・発展させたもので、遡れば平安時代初期の発音にまで繋がったようです。


さらに漢字も旧字体でした。現在は漢字略字でできた当用漢字を使用していますので、昔使用していた字が読めなくなっています。字によっては國→国のようにすぐわかるものもありますが、まったく読めない字のほうが多いです。


つまり、極端にいえば今も旧字体の歴史的仮名遣いを使用していれば、江戸時代以降の古文であれば、現代語訳など必要なしに読めるのではないか、ということになります。そして、江戸時代のものが読めれば、その前に遡っていくのも今よりは楽なんじゃないかと思うのです。(いや、筆記体や漢字のあて方等、あるいは意味の解釈とか相当難しいはずですが…)


二回も源氏物語の現代語訳(口語訳)を書いた明治生まれの与謝野晶子は、言文一致運動があり口語が定着しているから、口語訳にして自分の解釈を織り込んだのだとも思います。


晶子は源氏物語を12、3歳頃から繰り返し読んでいたそうです。その頃読んでいたのは江戸時代初期の絵本草紙だったそうですから、200年以上前にできた版を愛読していたことになります。


今そのぐらいの年齢の子で、100年以上前にできた版の本を愛読している中学生なんて日本にいるでしょうか?


現代仮名遣いで漢字も簡略された現在、そんな子供はいないのではないかと思います。


明治の時代になってから、仮名遣いや漢字の簡略化案は何度も出たそうです。が、その度に当時の識者が反対しました。森鴎外や芥川龍之介のような文学者や国文学者、また民間からの抵抗も強かったのです。


それなのに、なぜ今のように変わったのか?といえばGHQ です。国語について日本人の間で考え考え議論して決着していたことを変えたのがGHQ というのは異常ですよね。日本の文化をいまだに理解できないアメリカ人が決めたことを今も守っている必要はないと思いませんか?


GHQ が行い実現したのは文化と歴史の分断です。また漢字の簡略による思考の幼稚化もあるといいます。


これを極端に進めている国が身近にあります。一つは漢字を極端に簡略化した中国、もう一つは漢字そのものを使用しなくなった韓国です。この両国は日本以上に、漢字表記の古典が読めなくなっています。その国で起きていることといえば、歴史のプロパガンダ化、ファンタジー化です。(まあこれは言語と関係ないのかもしれませんが…)


ゆとり教育の弊害はすっかり定着し、ゆとり教育はなくなりました。



仮名遣いと漢字についても戻した方がいいと思います。ただ、60年以上前に戻すのは、私もそうですが慣れ親しんでない人ばかりで大変だと思います。


でも、やるならまだ旧仮名遣いや旧字体に慣れ親しんでいた方々がまだまだたくさんいらっしゃる今!ですよね。


それに新しいものをどんどん取り入れていくのが早い日本人だから、始めさえすれば大丈夫なんでは?とも思います。


しかし、国を國に変えるぐらいしかできないあらみたまでした(^_^;)