さあ、四月は桜です。
福祉センターの「古墳」台地には、黒いアスファルトの坂道に沿って、百もの桜の木が植えられています。
その植え方は、ソメイヨシノと八重桜をかわるがわる。
この八重桜ときたら、わたしがこれまで見たこともないたくさんのたくさんの薄桃いろの花びらをかさね、まだ若くきゃしゃな木の上に、バラのように重そうな花ばなを、豪華に巨大に、あふれるばかりに盛りつけるのでした。
坂道の外縁には、いちだん低くて幅のせまい、縁側のような部分があります。
その「縁側」は、水平な地面をしばらく続け、とつぜん坂道に合わせるように段差をつけて、まのびした階段のようになっているのです。
この段々の縁側庭には、やわらかく黒い土が敷かれ、丸いかたちのツツジの木が
ぴょんぴょこ ぴょんぴょこ
ウサギ跳びのように並び、その隙間に、ほっそりしたもみじの木が
つんつく つんつく
と、パラソルの骨のように立っているのでした。
そしてピピは、このだんだん庭をがんがん走りました。