この映画を観たいと思ったら、第二次大戦前後の東欧の歴史に、サッと目を通していくと分かりやすいでしょう。ウクライナとポーランドの制作です。

「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩」

https://carolofthebells.ayapro.ne.jp/

1973年のニューヨーク、3人の女性が再会を喜び合っている。
1939年、第二次世界大戦前のポーランド、スタニスワドフ(現ウクライナ)。

ウクライナ人の音楽家夫婦と娘ヤロスラワのアパートに、ポーランド人夫婦と娘テレサの一家、ユダヤ人夫婦と娘ディナとタリアの一家が引っ越して来た。ウクライナ人の母ソフィア(ヤナ・コロリョーヴァ)は、テレサとディナに歌を教えることになる。子供たちは仲良く楽しく暮らす。

1943年、ナチスのポーランド侵攻が始まり、スタニスワドフはナチスドイツの占領下となる。ポーランド人夫妻、ユダヤ人夫妻はナチスに捕まり、ソフィアは託された子供たちを必死で守る。

ポーランド人のテレサは姪だとごまかせても、ユダヤ人の2人は分かってしまう。大きな時計の裏に潜ませてナチスの手を逃れる。時計に目を付ける兵士もいてドキドキ。

部屋から一歩も出られない暮らしに、幼いタリアは我慢できずに外に出て命を失う。ソフィアの夫も反政府活動中に殺される。

そんな中にドイツ人夫婦と息子一家がアパートに住むことになり、その子もソフィアに歌を習い始める。
ヤロスラワは、新年に歌うというウクライナ民謡の「シチェドリク」(Shchedryk:「豊かな」の意、英国ではCarol of the Bells)が好きで、学校でドイツ兵を前に歌って先生を慌てさせる。

そし第二次世界大戦は終わり、町はナチスドイツからソ連の占領下となる。ソフィアはドイツ人の子どもも匿うのだが、ソ連軍の迫害が始まり…。
ソフィアもシベリヤに送られたようなシーンがある。そこで果てたのだろうか。

なんと、命の軽く扱われることか。これが戦争、そして占領か。
「みんなに良いことが起きる歌だから」と、あどけなく歌うヤロスラワのウクライナ民謡が心に沁みます。

「シチェドリク」の歌をいくつか集めてみました。

 

 

シチェドリク、シチェドリク、シチェドリボーチカ
小さなツバメがさえずり始めた。
ご主人様を呼ぶ。出ておいで、ご主人様、
ヤギがいる。羊が横たわって、子羊が生まれた。
あなたの持ち物はすべて良いもの。
杯の枡は穀物ではなく籾殻だが。
あなたには眉の黒い妻がいる。