マノン
http://www.shochiku.co.jp/met/

東劇で上映されたメト・ライブ・ビューイング。原作はアベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』、
ジュール・マスネの作曲。ネトレプコがマノンを歌う。彼女ならではの配役。

1幕のネトレプコは、素行が悪いと、もうすぐ修道院に入れられてしまう少女。
16歳というのは少々無理があるけれど、色っぽくて健康的な田舎娘。
アミアンの宿で、ばったり出会った若者デ・グリューは一目惚れ。

2幕は、パリの小さな屋根裏部屋で、デ・グリューと仲睦まじく暮らし始めるが、
マノンはお金と華やかな人生に憧れて彼を捨てる。マノンの小悪魔的な表情が見事。


(別の演出のアラーニャとのマノン発見。うわっ、この姿、サービスし過ぎ…
http://www.youtube.com/watch?v=VQC0O3j8Ttk&feature=related  )


3幕で華やかなドレスに身を包むと、まるで蛹が蝶になるとはかくや…と思う美しさ。
http://www.youtube.com/watch?v=QFUWV8fTQ-c


4幕では白いドレスで妖艶に、神父となったデ・グリューを誘惑する。
http://www.youtube.com/watch?v=KghafF7C94Y&feature=relmfu


5幕の賭博場では、濃いフクシャ・ピンクのスリムなドレスでホントに色っぽい。
http://www.youtube.com/watch?v=1CfgPGJkDKI&feature=relmfu


この場面で、ドレスに合わせた、ピンクのイヤリングが片方、落ちてしまい、
よく落とす私は、アッ、どうするか?と思ったら、
もう片耳を外して、まるで予定された演技のように、派手に投げ捨てた。

このオペラのチラシでは、 その後の官憲に捕まるところの写真で、イヤリングをきちんとしていた。
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD20441/index.html


連れ合いは、捨てることに何か意味があるのかと思ったそうだから、
とっさに、見事に演技と思わせたわけ。


そして終幕は、波止場で官憲に痛めつけられたマノンが、デ・グリューと会うが、
彼の腕の中で息を引き取ってしまう場面。ボロボロの服をまとったマノンは、
いままでの妖艶な女性でなく、清純さも漂わす。ネトレプコの演技に引き込まれた。

アメリカに追放され、砂漠で死ぬというプッチーニのオペラ「マノン・レスコー」もいいが、
このマスネの終曲もしみじみ美しかった。まるでネトレプコのためのオペラのようだった。