東チベット旅概要② 君の名は…? | 世界一周行ってきます!と果たして言う事ができるのだろうか
☆2日目


今日から大移動が始まる。




朝10時。

成都からガンズー行きの大型バスに乗り込む。



と言いつつ、今日はカンディェンという町までしか行かず、そこでまず一泊しろという謎のバスだ。




このカンディェンは典型的な中国の中規模都市。

中国はどの大都市に行っても大体同じ感じなのだが、中規模都市も中規模都市で同じ。
ゴールデンウィークに行った武陵源にそっくりだった。


観光客相手の飲食店に、きれいに舗装された一本のメインストリート。そして程よい憩いの場(たいてい運動器具が備わっている)。川。あと、やけに眩しい街灯。
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(そして、ヘンテコな像)

つまり、これといった特徴のない、つまらない街ということ。


しかし、ある若者との出会いが、この場所を思い出深いものにしたのだった。



(1つ言いたいのは、“出会い”なんてハズカシイ言葉を使ってしまったが、ぼくは、出会いを求めて旅してるんです的な意識高い系旅行者では決してないのだ。)




そんなカンディェンの街。
着いた時には、すでに日が暮れようとしていた。


なんと、成都から10時間ものバス移動。




目当てにしていた宿へ行くと、案外混んでいて、案内されたのは、まさかのテント。
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中はドミトリーになっていて、そこに彼はいたのだった。


白い民族衣装のようなものを着た色白の若者が、カタコトの英語で話しかけてきた。




“ご飯一緒に食べに行きましょう”



かくして、実はバスもぼくらと一緒だったという彼と、そのお友達(?)の女性4人組とで、夕食を食べに街へと繰り出すこととなった。



地元密着型の食堂に入り、キノコと臓物たっぷり鍋やら、キノコとピーマンの炒めものやら(ここらはとにかくキノコが名物らしい)を食べながら、お互いカタコトの英語で会話を楽しむ。
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(バケツを電磁調理器で加熱するという、斬新な鍋)


聞くと彼らは、深センからチベット仏教の勉強に来ているらしく、このあと一ヶ月程修行するとのこと。




そう言われてみれば、中国人に珍しく、微笑み方に品がある。

喋り方も、静かで落ち着いており、


さすが、仏に仕える身だなあ、と肩書きにより人を見る目が変わる、いかにも日本人的なぼくらはただただ感心するばかり。



そんなとこから、僕らは彼を密かに『ブッダ』と呼ぶことにしたのだった。



食事が済んだとき、ブッダが、ブッダたる、ご慈悲を使い給うたのだ(日本語合ってる?)。




お会計をしようとした。
すると、ブッダは、



“もう払ったよ”



と、言うのだ。



いつの間に!


それ、雑誌の特集“モテ男の条件”で見たやつじゃん!
トイレに行くふりをして、やるやつじゃん!



仏の教えと、メンズナックルの教えが符合したところで、さらに店を出るとブッダは隣の薬局へスタスタと入っていった。


そして…


“これ、高山病の薬。これから行くとこは標高高いからね。”


と、謎の漢方的なドリンクをくれた。
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ブッダ〜〜〜!その優しさが眩しいぞ!
(すでに高山病の薬、持ってたけど。西洋医学の。)



その後も、事あるごとに、お菓子をくれたり、なんか縁起が良さそうなお札みたいなのくれたり、とにかく優しいブッダ。



なんか、ブッダって呼ぶと逆に失礼な気がしてきた…

そういえば本当の名前、知らないな。

ということで、聞いてみた。



“名前、なんて言うの?”
 



すると、ブッダはモジモジしながら、蚊の鳴くような声で、こういったのだった。







“ワタシの名前は、キン◯マです”
  




え?



ごそごそと身分証をだすキ◯タマ氏


確かにそこには“姫玉”と書かれている。





でも、ブッダ。


モジモジするって事は、日本語での意味を知っている、ということだぞ…



ということで、改めて呼び方はブッダに大決定である。



そして、このあと、ブッダは僕らの旅に大きな影響をあたえることとなるのであった…




続く