12月のミャンマーは暖かかった。
ユニクロのウルトラダウンジャケットを脱ぎ捨てた僕は、
うれしくて早歩きで空港をでると、
手を広げて太陽の光を一身に浴びた。
長かった昆明・・・
寒かった昆明・・・
こうして南国、ミャンマーの旅が始まったのだった。
空港を出ると、
数人のタクシーの運転手が集まってきた。
「地球の歩き方」を見ると、
中心街までの値段が、
7ドル
との表記。
ちなみにミャンマーでは、
ドルが多くの場所で使える。
ミャンマーの通貨チャットへの両替もドルで行うわけだが、
なぜかピン札しか受け付けてくれない。
少しでも折り目や落書きがあったら受け付けてくれない。
さらに、なぜか日本円からのチャット両替はできない。
「地球の歩き方」には7ドル・・・
はたしてタクシー運転手の言い値は・・・
10ドル
プププププーーー！
そんなんにゃーだまされねえぜ！
こちとら
ガイドブックに書いてあるんでぃ！
吹っかけんのもいい加減にしな！
ノーノーノーノーノー
アイノウ ７ダラー
が、交渉しても一向に安くならないので、
まあ、9ドルで手を打つことに・・・
最初だからいっか！
頑張ったんだけどね！
そして向かったのは、
「東京ゲストハウス」。
まずは情報収集を。
ということで「地球の歩き方」に載っている
日本人が集まりやすそうな宿をチョイス。
この宿は日本人が経営者。
しかし、満室とのことで。
別のゲストハウスを紹介してもらい、宿泊。
それにしても高い宿だった。
大体安宿は１０ドルと書いてあるのだが（ミャンマーにドミはない。なぜだろう。）
そこは15ドル。
まあ冷房もついてるし、いいか・・・
そして、しばらくこの宿でのんびりとしていたら、日本人男性がやってきた。
大学生Ｔ氏。
彼も一人旅だった。
私は彼と少し話しをすることにした。
情報交換というやつだ。
しかし・・・
僕はこのあと、
T氏から驚きの事実を告げられる・・・
きっかけはこんな会話からだった。
T氏「空港の両替場でしました」
わたし「まじで！空港の両替所ってレートが悪いよ！」
わたしの「地球の歩き方」には・・・
公式のレートと、庶民が使うレートは１０倍ぐらい違っており、
空港の両替所はその公式レートで両替されてしまう・・・
というようなことが書かれていた。
わたし「地球の歩き方の最初のページに書いてあったよ！！！
気をつけなくちゃ！！！」
ちなみにT氏も
「地球の歩き方」持参だった。
Ｔ氏「そんなこと書いてあったかなあ・・・」
わたし「書いてあるよ！ほらほらここ！」
私はＴ氏のガイドブックを取り上げた。
その該当のページを開こうと思ったのだったが、
手にとって気がついた・・・
Ｔ氏の「地球の歩き方」と
私の「地球の歩き方」は違った。
私の「地球の歩き方」の表紙は
僧侶だった。
T氏の「地球の歩き方」の表紙は
寺院だった。
私の「地球の歩き方」は
２０１１～２０１２だった。
Ｔ氏の「地球の歩き方」は
２０１３～２０１４だった。
私は震える手で、おそるおそるページをめくった・・・
滲む汗でうまく紙をつかめない・・・
そして、
通貨のページ。
そこには
あの
レートの
注意書きが
書かれて・・・
あっ！
削除されていた・・・
わたし「あ、僕のガイドブックが古かったんだね。ごめん。」
Ｔ氏「ぜんぜんいいっすよ」
後から分かったのだが、異常な「公式レート」は廃止されていたのだった。
赤っ恥をかいた私だが、ちょっと気になることがあった。
Ｔ氏の「地球の歩き方」のページを、さらにめくる。
ドキドキがとまらない。
心臓の音が
まるでミャンマー中に鳴り響いているようだ。
こ、このページの先に・・・
私が確認したかったのは・・・
空港から市街地へのタクシーの相場。
数時間前、7ドルで行きたい！と言い張ったあの件だった。
T氏のガイドブックには、
しっかりとこう書かれていた。
相場は10ドルです。
タクシーのおっちゃんごめん！！！！！
疑って！！！！！！
しかも9ドルにまけてくれて、
ありがとう！！！！！！！
近年、経済の発展が目覚しいミャンマー。
どうやら物価の変動が激しいので、
「地球の歩き方」が一新したようだった。
ちなみに15ドルで、たっかーーーーと思った、
現在の宿。
相場どおりでした。
このあと何度もだまされることになる、
古い「地球の歩き方」。
いかに情報戦を勝ち抜くのか！
身近に存在する罠！！！！！！！
くわばらくわばら・・・
余談
なぜかT氏の「地球の歩き方」には東京ゲストハウスが載っていなかった。
謎だ・・・何があったのか・・・
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