或る友人の話①


「彼が私をよく殴るの」


彼女は言った。

二の腕に捲かれた白い包帯に目を落として、

「これは、彼が殴った時に、よろけてガラスに突っ込んで切っちゃったの。彼の家だったんだけど、彼の両親は見て見ぬフリ・・・」

そのあまりにも痛々しい様子に、思わず私は眉をひそめた。

「別れちゃいなよ、そんな男」

私は真剣に彼女を諭した。

「それってDVだよ?傷害事件じゃん。暴力って、治らないよ」

私の言葉に彼女は、「でも・・・・」と呟いて、それから顔を上げた。


「でも、今別れたら次が見つかるかわかんないし。

来年結婚するから、式に出てね!」


Σ(´□`;)

・・・・・・・・・私に何を祝えと?



或る友人の話②


「彼に借金があることが分かったの」


彼女は溜め息交じりに言った。

「え?それって、結婚を考えてるって言ってた彼?」

私が確認すると、彼女は、「そう」と頷いた。

「しかも、パチンコで作った借金らしいの。今はパチンコ辞めたって言ってるけど、ギャンブルって簡単に辞められるもんじゃないでしょ?」

「うん・・・」

ギャンブルは中毒性が高い。借金までするほどのめり込んだのなら、尚更だ。

「どうするの?」

私は訊いた。

「まぁ、今は真面目に返済中だから様子見ね」

彼女は苦笑した。

「そっか」

私も少し微笑んだ。

「でも、結婚は借金返し終わってからしなね」

と、私の言葉に、彼女は首を振って、


「ううん、借金返すの待ってたら、いつ結婚できるか分からないから、すぐ結婚しちゃうわ」


Σ(´□`;)

・・・・・・・・・・・・何かあっても、私はお金貸さないよ?




結婚って、何がそんなに魅力なんだろう?

『この人とこれからずっと一緒に生きていきたい』って思って結婚するのなら分かるのですよ。

でも、『適齢期になったら、とりあえず何でもいいから結婚しなきゃ!』って強迫観念みたいなものを持って生きている人の心理は謎なのですよ。

これからその人と、今まで自分の生きてきた人生以上の時間を一緒に過ごすことになる予定なのに・・・。


まぁ、人それぞれですけどね~。

結婚は何回でもできるしね。