宙組公演 追憶のバルセロナ | 続アメマのおとしもの

続アメマのおとしもの

鉄道・吉本・宝塚のことなど・・・。

2019年8月31日~9月23日 宙組全国ツアー公演

 

真風涼帆がトップになって初の全国ツアー公演は、お芝居・ショー共に再演物。しかも「何故にこの作品が?」っていうモノ。

 

宝塚バウホールの観劇を終えた後、伊丹から飛行機で宮崎へ。その翌日に延岡へ。

延岡総合文化センター

9月11日14時公演、2列目で観劇。※ネタバレ注意。

●ミュージカル・ロマン「追憶のバルセロナ」 作・演出/正塚晴彦

 

2002年に絵麻緒ゆうと紺野まひるを中心とした雪組によって上演された作品の再演で、祖国の誇りを取り戻すため立ち上がる青年の、愛と戦いの物語。

もちろん2002年のは見てますが、絵麻緒の一作トップお披露目&サヨナラという、当時話題になった公演。作品自体は正塚晴彦にしては、宝塚らしい仕上がりでしたが、サヨナラ公演にしてはあっさりした感じ。ラスト近くでの「黒い風」が、フランス軍からアントニオを救うのも、大きな盛り上がりはないし。どちらかというと、主役のフランシスコとロマとの関わり、かつての婚約者との関わり、イサベルと恋愛の進展が焦点ですかね。今回もそれを踏襲していますが、お披露目でもサヨナラでもないから、逆にこの方がトップコンビや、それに絡む周りの人たちが自然な感じがしました。

でも今さら何故この作品が全ツに選ばれたのかが謎ですね。そう高評価な作品でもなかったのに。

 

トップの真風涼帆演じるフランシスコは、フランスと戦い記憶喪失になるスペインの貴族。

お坊ちゃま的なところから、ロマとの生活を経て成長していく過程が良く出ていて、イサベルに対する想いや、ロマを差別せずに暮らすところからはピュアさも感じました。歌も安定していて聞きやすかったですし、かなり芝居に熱が入ってましたね。

 

相手役の星風まどかはロマのイサベラ。

鼻っ柱の強い等身大の女の子を熱演し、前回のテスや、その前のカテリーナみたいな大人っぽい役より、こっちの方がずっと魅力が感じられました。なかなか自分に正直になれないもどかしさ、だけどフランシスコは気になるし・・・という部分が可愛くてね。歌も上ずった感じでなく、自然に歌えていました。

 

二番手の芹香斗亜はフランシスコの友人のアントニオ。

友情と愛情の板挟みになったけど、ちゃんと敵軍から親父たちを救う手立てをしているという、なかなかの男。ですが見せ場が基本的に少なくて、物足りないですね。ていうか初演時は専科の成瀬こうきがやってて、彼女もまたサヨナラ公演でして、この役が二番手格だったことに今さら気付きました。

芹香は「た行」「だ行」「ら行」の滑舌がちょっと気になります。

 

ロマのリーダー的存在のロベルトを桜木みなと

初演の朝海ひかるを彷彿させるぐらいの、小顔のちょっと生意気な兄ちゃん。浅黒い化粧や、なかなか見せない笑顔も魅力的で、アントニオよりも出番的に美味しい。

 

フランシスコの家の使用人フェイホオを和希そら

私個人的にはそう好きでないんですが、この役に関してはピッタリだったと思います。フットワークの軽さや、主人思いのところなどね。

フランシスコの婚約者のセシリアを華妃まいあ

とてもいい娘役だったのに、この全ツで退団とは惜しいです。なので遥羽や天彩も出てるのに、餞別で娘二番手格をやってます。その期待に応えるかのように、しっとりと可憐なお嬢さんを演じており、歌も芝居も出来る人なのに残念です。

その遥羽らら天彩峰里はロマの女で、多少は目立つところはありますが、基本的に物語にはあまり絡んでおらず、非常に勿体ない使い方。バウでは夢白あやが起用され、若干危うい路線になってきたか?!

 

主だった役では結構その生徒とハマっており、再演の違和感もあまり感じませんでしたね。見終わって、「あ、意外と面白かったな」と思いました。ただタイトルが「追憶」より、「情熱」の方が合う気がして、柴田侑宏の方が「情熱」より「追憶」かな・・・。