イタリアからの風―ライオンとシマウマ― | Il Vento dall'Italia (イタリアからの風)

Il Vento dall'Italia (イタリアからの風)

このブログでは、イタリアとその周辺に関する話題を主に書いていきます。
1999年春からのイタリア滞在記、その後のスピンオフ的なイタリア旅行などについてです。

パレルモで一緒に住んでいたシチリアの女子学生の一人、セレナは目を見張るような美人だった。ストレートの黒髪、白い肌、黒目がちの大きな瞳、ふさふさの長いまつ毛。くっきりした二重まぶたに豊かなバスト…。ラテン女性の女らしさと知的さを併せ持つセレナは、私好みの美人だった。

 

20歳前後のお年頃女子大生たちの話題は、当然恋バナ。3人が話している内容を、ただ聞いている(イタリア語が下手なので、そうそう会話に入ることができない)だけだが、聞いているだけでも、なんとなくいろいろなことが分かってくる。

 

当時、セレナがこれまた美形のボーイフレンドと付き合い始めたばかりで、4人が顔を合わす食卓での話題は、その彼氏のことで持ち切りだった時期がある。

いつ頃、どのタイミングで、どちらから連絡をすればいいのかしら? 

ガールズトーク花盛りで、その華やぎをお裾分けのようにもらっていたときのこと。

ルイサとマリエッラが、「電話しちゃえば?」とはやし立てるようにセレナに話をしていたけれど、当のセレナは「連絡はしたいけれど、ううん…連絡を待つ」と、非常に冷静かつ的確な判断をしたのが印象に残った。

セレナは只者ではない。彼女は、恋の達人だ。しかも、20歳そこそこで。

 

そんな彼女にある日、いろいろ聞いてみることにした。

「ねえ、セレナって、恋の達人じゃない? うまく行かせるコツって何かあるの?」

「そんなのないわよ~」

今回のボーイフレンドと付き合うまでのやり取りをそばで見ていた私からすれば、そんなことがないわけがない。

さらに、聞いてみる。

「今回、遠距離恋愛だったでしょう? だからすごく難しかったと思うのよね…。どうやったらセレナのように、恋をうまく行かせることができるのかしら?」

すると、セレナが少し考えてから、こう言ったのだ。

「…男性はライオン、女性はシマウマ」。

 

一般的に男性はライオンだから、シマウマを狩りの対象としている。

ライオンは草原でぼうっとしている。そのライオンの視線にシマウマが入ることが重要。

(つまり、男性の目に留まるところに女性がいないと、恋は始まらない)

でも、シマウマを見たからと言って、そのライオンはシマウマを追いかける訳ではない。

シマウマが、ライオンの視線に入る範囲で何度か行き来をする、あるいは少し近くに寄ってきて離れる。つまり、シマウマはライオンには気が付いているんだけれども、気がついていないふりをして、ライオンの視界に入るように動く。(これが重要、とセレナは言った)

すると、視界にちらちら入るシマウマが気になるライオンは、シマウマを追っかけ始める。追いかけ始めても、最初は全力で追いかけないかもしれない。だから、捕まりそうで捕まらない距離を保ちながら、間合いを測る…。

 

これが20歳前後の女性の言葉とは…!当時の(今もほとんど進歩はしていないが)私からすれば、目が飛び出るほど驚いた超上級恋愛指南だった。

しかもセレナは続けて「ライオンの目の前で、はいどうぞと寝そべっちゃうようなシマウマは、ライオンは興味を示さない」とも言っていた。すごすぎる。

 

当時の雑誌「ホットドッグプレス」や「ポパイ」に掲載されていた「脚を男性の側に向けて組んだら、その女性は男性に興味がある証拠」などとは雲泥のハイレベルさ!イタリア人すごーい!

 

恋愛はノウハウではなく、人それぞれ全く価値観が違うので一概にセレナの恋愛論が全てに通じるわけではないと思うが、それにしても、だ。

 

セレナの恋愛論も、今のご時世でどこまで通じるのだろうか。時の流れは恐ろしい。