ようやくその姿を見せてくれたとき、

乳幼児に無知なわたしにも「あれ、小さい?」って驚いた。

 

2570gの小さな身体でタビオくん(ニックネーム)は誕生した。

妊婦検診のときは、いつも先生から「順調」と言われ続けていたので、

まさか小さな身体で産まれてくるなんて想像してなかった。

 

2500g未満ではないから正式な低体重児ではないけど、

念のためということで保育器の中に2日間入ることに。

 

他のお母さんたちは、出産後すぐに同室でお世話しているのに、

わが子がぎゃんぎゃん泣いているのをガラス越しでしか見られないのは、

本当に辛かった。

 

10か月もお腹の中にいて、辛い陣痛・出産を終えてようやく誕生したわが子を、

この手で抱いて安心させることもできない。

お腹から急に外の世界に出されて、不安で不安で仕方がないだろうに…。

 

ガラス越しで見守っていても、わたしのお腹にいた赤ちゃんという実感もはっきりと持てなくて、言葉にできない虚しさに包まれた。


コロナ禍で家族のお見舞いもないので、ただ一人、ベットの上で横になっていた。

 

出産してから3日後、同室で過ごす許可が下り、タビオをようやく抱くことができた。

 

小さな身体を振るわせて、目をやっとこさ開けながら、

うつろな目で周りを見渡している。

 

「タビオ、お母さんだよ」って声をかけると、

不安げな目、じっとこちらを見ていた。

 

2日間も知らない世界で泣き続けてきたんだな。

 

喉元が苦しくなって、涙があふれ出てきた。

 

あの日から、もう3か月が経った。

旦那とともに慣れない育児に追われる毎日。


同じ月齢の赤ちゃんと比べて小さいもけど、

元気にスクスク成長してくれている。

 

健康であることに本当に感謝しかない。

 

もちろん、毎日のお世話は本当に大変。

思い通りに自分のことや家事もできなくてイライラする。

コロナで外出もできず息抜きもできていない。

旦那とも喧嘩が増えて、出産前と比べて家庭の雰囲気はすっかり変わってしまった。

 

守るものがあるってこんなに大変なことなんだ。

33年も自由に生きてきたから、気づかなかった。

 

ただ、毎朝見せてくれるタビオの笑顔が愛おしい。

時折聞かせてくれるタビオの声が愛おしい。

手足の動き、泣き顔、ミルクを必死に飲む姿……

その瞬間瞬間に、今までにない幸せを感じる。


まだまだ大変なことばっかりだけど、

母親として、妻として、家族を支えていけるよう一歩ずつ進んでいきたい。