新しい公益法人制度




<改訂版>
Q&Aでわかる 新公益法人会計の実務 久保直生 中村倫子 共著 税務研究会出版局 


新しい公益法人制度に基づいた、制度・会計・税務の内容を有機的に結合させ、読者にご理解いただくことを主眼に、Q&A形式にまとめられたもの。22年度改訂版。
各公益法人の経営担当者及び公認会計士、税理士等の経理指導者、さらには非営利法人の会計の研究者に!!

公益法人制度が平成20年に大きな転換期を迎えた。
 主務官庁の許可主義のもと、法人格の取得と公益性の判断や税制上の優遇措置が一体となっていた従来の民法上の公益法人制度が抜本的に見直され、新たな公益法人制度においては、法人格の取得と公益性の判断が分離し、2つの法人形態が設けられた。
 社員等に対する剰余金の分配を目的としていない社団又は財団であって、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得できることを特徴とする一般社団法人・一般財団法人
 一般社団法人・一般財団法人のうち、民間有識者からなる委員会の答申に基づき、行政庁による公益性の認定をうけた公益社団法人・公益財団法人

 従来の社団法人・財団法人は、平成20年1日から5年間に、
一般社団・財団法人に移行するか、公益社団・財団法人に移行するか
又は、
営利法人に転換するか等、自らの進路を決めなければならない

公益社団・財団法人に移行すれば、税制上の恩典は受けられ、公益法人としてのステータスも得られる、公益認定の基準を外れれば、重いペナルティが課せられる
また、一般社団・財団法人に移行すると、今まで蓄積されてきた公益目的財産を公益目的事業等に使用していく計画書を提出しなければならない。その計画が完了するまで、行政庁の監督を受け続けることになる。

第1章 新しい公益法人制度と財務関係の主な認定基準等
大改正のあった新しい公益法人制度について、その制度の概要、公益認定を受けるための基準、特に遊休財産額、公益目的財産残高、公益目的事業比率算定、公益認定を受けるための基準のうち財務に関する基準(①公益目的事業の収支が相償であること、②公益目的事業比率が50%以上であること、及び③遊休財産額が公益目的事業費1年分を超えないこと)、及び一般社団・財団法人に移行した場合の公益目的支出計画の概要について加筆。

第2章  公益法人会計基準改正の概要
平成20年4月に内閣府公益認定委員会が公表した「平成20年会計基準」に基づいて書き直し。  
第3章 貸借対照表・財産目録
   「平成20年会計基準」に基づき改訂
第4章 正味財産増減計算書
   「平成20年会計基準」に基づき改訂
第5章 キャッシュ・フロー計算書
 「平成20年会計基準」に基づき改訂
第6章 有価証券の評価
有価証券評価損等の正味財産増減計算書における表示方法の変更
7章 固定資産の評価
固定資産の減損会計について加筆
8章 退職給付会計
新たに財務諸表の勘定科目に加えられた役員退職慰労引当金について加筆
9章 リース会計
日本公認会計士協会非営利法人委員会報告実務指針(その2)改正により、リース会計について企業会計と同様に、すべてのファイナンス・リース資産を貸借対照表にオンバランスすることになった、全面改定
10章 税効果会計
  所用の改正
11章 補助金等の会計処理
所用の改正
12章 基金の会計処理
今回の一般社団法人に対して導入された基金制度について、その制度の概要と会計処理について新たな章を設けた
13章 財務諸表に対する注記
新たに明文規定された継続事業の前提に関する注記、また、平成21年10月に改正された関連当事者の範囲の見直しについても織り込み
14章 公益法人の税務
新しい公益法人制度のスタートに合わせ大幅に改正された公益法人税制について全面的に改訂。今回の公益法人の制度改正に基づいて法人税法についても大幅な改正がなされた。新しい公益社団・財団法人、一般社団・財団法人、移行前の特例民放法人の法人税又は地方税の取扱いについて図表を交え解説
15章 財務諸表作成総合演習
平成20年改正会計基準に合わせて回答を見直し
資 料


著者情報
公認会計士。1996年慶應義塾大学経済学部卒業。同年中央監査法人(みすず監査法人)入所。2007年同退所。現在、大手監査法人マネージャー。現在多くの公益法人の会計監査、会計指導に従事

以上のように新しい公益法人制度に基づいた、制度・会計・税務の内容を有機的に結合させ,理解していくことが重要になります。

8外郭団体の、独立自営を樹立する重要なキーワードです。

雑誌「広報会議」

  特集 : 広報視点で考える 自治体のソーシャルメディア活用

    • ソーシャルメディアで地域情報が変わる
    • 自治体ソーシャルメディアの最新活用と課題
    • 企業と自治体 理想的な関係をどうつくるか
    • 全員がウィン・ウィンになる理由を明確にする
    • 地域の新しいインフラは“笑いの力”
    • 外の視点と中の視点で進める地域活性化
    • ソーシャルメディアと向き合い始めた自治体の取り組み
    • ソーシャルメディアの知見を庁内外で共有する
    • 市民との対話で求められるコミュニケーション・ポリシー
    • 市民と行政の距離をどう近づけていくか

 東日本大震災後、自治体のツイッターは急増。同時に生活者もそれをフォローし、これまであまり注 目していなかった自治体の情報に目を配るようになった。これまで広報と同時に“広聴”を謳ってきた自治体にとっては、生 活者の声を直接聞く機会が生まれている。同時にさまざまな企業が自治体と組み、そこで新たなニーズが見え始め、さらなる発信を始めようとしている。従来とは違う形での情報発信、そして広聴、傾聴。まさにいまは自治体のコミュニケーションが大きく変わる段階に入ってきている。

公会計改革の動向と今後の課題
~財務書類の早期提出と活用への取組~
決算委員会調査室 薄井繭実


http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2011pdf/20110801110.pdf



公会計整備の充実に向けた取り組みがすすめられる中、当初から課題とされていた財務書類の公表の早期化や政策別コストの開示について、一定の成果が見られる。政策別コスト情報の活用により、事業コストの経年分析や他事業との比較を通じた効率化への取り組みの進捗が期待される。


 活用については、平成17年9月に初めて「国の財務書類(15年度)」が作成・公開されて約6年を経過、そのデータもある程度蓄積されてきている。しかし、公表内容の充実に向けた取り組みは大きく進展していない。

さらなるマクロ・ミクロ両面からの活用方策を検討し、そこから得られた分析結果について情報開示を図る必要がある。

 政策別コスト情報が各事業別に開示されれば、業績評価ツールとして活用の幅は広がる。


 財務諸表はあくまで財政状況を示すツールの一つであり、重要なことはそれをいかに行政運営に生かしていくかということである。

 行政運営の効率化に資するよう、公会計改革におけるとりくみが今後さらに進展することを期待したいものです。

「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chikousuiken/index.html


今後の新地方公会計の推進に関する研究会(第8回)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000123784.pdf


「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」委員発言項目別一覧

http://www.soumu.go.jp/main_content/000120323.pdf



習志野市の公会計改革推進がかなり進捗しています。

最近の公会計改革を取り上げた書籍や、TV放映においても

都市経営の先進事例として取り上げられるなどしています。


上記研究会委員発言にもあるように

・ 公会計の整備の目的は、財務諸表が財務マネジメントツールとして機能する。
・ 自治体経営を実践するために必要なものが財務諸表である。

・ できるだけ多くの方に公会計改革を理解していただく必要がある。
・ 精緻なモデルを作り上げる際に重要なのは、できあがった精緻なモデルを使いこなせる職員を育成していくこと。

・ 首長は財務諸表そのものの評価だけでなく、それらを生かしてどうマネジメントしたかを説明する必要がある。


この試みには大変なリスクを要するが、

トップマネジャーの采配が今後の都市経営の展望を左右する。

公会計改革の推進は、今後の都市経営には、大変重要なツールになる。



財務諸表を活用したPREPublic Real Estate)マネジメント



            (新地方会計の実務と活用 あずさ監査法人 同文館出版)




自治体の資産における有形固定資産の比重が大きく、固定資産のマネジメントが非常に重要である。習志野市では、基準モデルを活用し、将来の資産更新必要額を算定している。平成20年度の連結貸借対照表における公共資産額が5571億円に対し、2008から2058年度における更新に必要な額は3785億円というものである。
 自治体が保有する不動産の課題としては、

①施設の老朽化への対応

②既存施設の維持管理費用の増加

③資産・債務改革への対応

④公債費による財政圧迫
⑤低未利用地等の荒廃
⑥余剰施設の発生等、を分析。

外部監査の指摘からも、大規模修繕計画が策定されていない。施設別の収支が把握できていない。管理委託事業者の選定が随意契約等により、落札率が高止まりしている。といった指摘がある。




指定管理者制度の導入
  自治体が公の施設をより効率的かつ効果的に管理する「地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律81号)」により指定管理者制度が導入されたこれにより、民間事業者にも公の施設の包括的な管理運営についても門戸が開かれた。
 しかし、従前の管理受託者を公募、競争原理の方法によることなく選定している施設が多く、現状において、民間活力を積極的に導入し、品質向上とコスト削減に資する制度趣旨が活かされている状態には程遠い。




これから求められるPREマネジメントの手法
民間のCREの考え方により、企業が保有する不動産を有効活用してキャッシュ・フローおよび資産価値を向上させる手法。CREの有効活用を通じたバランスシートの効率性改善、売上増加やコスト削減および効果的なCRE管理体制の構築を実現する取り組み。行政活動に同様な取り組みを行おうとするもの。



主な手法として
①PREマネジメントを担う組織体制の整備
②PREの整備・たな卸し
③PREのポジショニング(方向性)・評価の実施
④PRE利活用の高度化・民間活用の推進
⑤PRE維持管理の効率化
⑥モニタリングとフィードバック




PREマネジメントへの財務諸表の活用
財務諸表を活用する必要性
バランスシートの活用
コスト情報の活用
(施設別行政コスト計算の例 習志野市)参照
習志野市公共施設マネジメント白書
施設の現状と運営状況の分析)2009年3月



まとめ
・一般的にPREが多ければ行政コストも増大する、財政の安定化の観点からは財務諸表や公会計の考え方も活用して妥当なPREと行政コストの水準を探っていくことが有効
・PREの効果的・効率的な利活用を図っていくためには、自治体全体出マネジメントサイクルを継続して実行していくことが重要
①PREマネジメントを担う組織体制の整備
②PREの整備・たな卸し
③PREのポジショニング(方向性)・評価の実施
④PRE利活用の高度化・民間活用の推進
⑤PRE維持管理の効率化
⑥モニタリングとフィードバック
・PREの利活用の高度化にはPPPと呼ばれる手法を含めて様々な手法があり、(PFI、指定管理者制度、定期借地権、公設民営等)PREのポジショニングを適切に行ったうえで、施設・用地ごとの特性を踏まえた手法を比較選択すること。



財務諸表を活用したPRE.pdf









[本の内容]


公共性志向の会計学 石崎忠司 黒川保美 編著 中央経済社



 企業が社会的存在として承認されるには、利益の創造だけでは不十分である。

 概念的にいえば、株主価値=企業価値-(従業員価値+顧客価値+地域住民価値)の最大化ではなく、企業価値=株主価値+従業員価値+顧客価値+地域住民価値の最大化を図ること。比喩的にいえば、前者は「株主資本主義」後者は、「ステイクホルダー資本主義」。

 重要なことは、企業価値をステイクホルダーの価値の最大公約数を考え、その最大化を図ることである。

 付加価値概念は、ステイクホルダーへの分配の原資であり、一国の全企業の付加価値合計が国民所得であることから、ステイクホルダー共通の豊かさを示す指標になる。

 しかし、付加価値は従来ほど重視されていない。それは、株主価値志向の経営に傾斜し、企業目的としてROE、EVA等の指標が重視されるためであり、分配の公正性を確保するためには付加価値に変わる新しい理念を見出す必要があり、それが公共性である

 公共性は、国、自治体、民間非営利組織における重要な概念である。この意味で公共性は、非営利組織と営利企業の両方から検討すべき課題である。

 御図書は、社会・経済の潮流に即し、社会関連会計がどのように変化し、これからどのような方向に発展していくべきかを解説している。



公益法人制度改革の概要

 公益法人制度改革の経緯

 公益法人制度改革の内容






パブリック・セクター

プライベート・セクター

非営利団体

国・県・市町村自治体

公益法人

NPO

一般法人

営利団体

公益企業

一般企業





公益法人会計基準の改正

 公益法人会計基準の改正の経緯

 公益法人会計基準の内容

  新基準の性格

  新基準の目的

  新基準における財務諸表

  新基準の特徴

  新基準の適用範囲



非営利会計の理念と領域

  非営利会計における公益法人会計の位置づけ

  非営利会計の理念・領域

非営利組織の会計

 非営利組織の位置づけ

 公益法人改革と公益会計基準

  改革の枠組み

  会計の重要性

 非営利組織の会計

  情報ニーズ

  測定の困難性

 今後の展望

   営利組織であろうと非営利組織であろうと、有限な地球資源の消費、つまり環境負荷の上に活動が成り立っている。こうした組織の活動を監視し、情報提供する一つの方法として会計は機能している。

  非営利組織の会計に求める機能を提供された資源を組織目標遂行のために活用し、組織自体を維持存続していることについて財務的な情報を提供するとすれば、事業計画に基づいた収支予算書は極めて重要である。予算準拠主義の考え方に則って作成されてきた収支計算書ならびに収支予算書を原点としつつ、企業会計的な測定手法を導入していくといった、運営ベースの情報提供システムを構築する必要がある。

  しかしながら、組織の使命に着目し、組織活動の効率性を、何らかの財務情報として提供することを、非営利組織の会計に求めるとなると、2つの点で難しさがある。



  第1点は、コストの把握。提供する財やサービスのコストを、実際の金額で測定するのか、無償提供された物資や労働力をも金額に換算して測定するのかという点である。支出ベースなのか消費ベースなのか。

  第2点は、活動成果を財務的に評価しがたい点。営業組織においては、付加価値に対する利益分も含めた対価、受益者に支払う金額、すなわち販売価格を活動成果に対する財務的評価ととらえることができるが、非営利組織の活動成果は、受益者負担の財やサービス提供においてさえも正当な財務的対価の測定は難しく、さらに支援型の活動はそもそも対価があり得ないし、活動成果は質的なもの、たとえば災害からの復興度合、難民の安全確保、まちづくりの活動といった財務的測定にはそぐわない。



  営業組織においては、その営利性、つまり資源提供者に分配しうる利益を測定すという点において、最終的には金銭の裏付けを確保できる財務情報が重視される。そして利益額が活動の効率性を示す指標の一つととらえられてきた。しかし、現在の財務諸表の測定体系において、企業の恣意的判断が介入する余地が少なからずあるので、利益額が効率性指標として必ずしも適切とは言えない状況である。



  一方、非営利組織においては、金銭的分配を必要とせず、むしろ組織的な存続を担保しうるだけの正味資産を維持しているかどうかの財務情報が一義的に必要とされている。

  営利組織の会計、つまり企業会計も、非営利組織の会計も、どちらも組織活動の効率性を測定するという機能は果たし得ないといえよう。

  

さらに、財務諸表の一つとして位置付けられるようになったキャッシュ・フロー計算書が金額ベースの資源管理を果たしている現在、これを活動そのものの監視・評価システムへと発展させることができないだろうか。公益を達成しているかどうかの判断に財務情報が利用できるかどうかの視点も、今後の課題となろう。



  将来的には、営利性の有無、公益性の有無にかかわらず、パブリック・セクターであってもプライベート・セクターであっても、組織の運営と活動の両面を、その効率性の観点から情報提供できるようなシステムへむけて、会計が機能できる可能性があるのではないか。



 

 NPOの隆盛とNPO会計

 非営利セクターの中のNPO法人

 NPO法人の現況

 NPO法人と行政・企業との協働

  行政からみたNPO法人

  企業から見たNPO法人

 NPO法人会計の現状

  ファンド・レイジングとアカウンタビリティ

  内閣府モデルの功罪

    NPO法人の会計は、自主的で自律的な対応に委ねられるという理念に基づく。

     しか           しかし、このことが結果として多様な会計処理方法が採用され、さまざまな形式の財           財務諸表が作成されるという実態を招いている。他の非営利セクターにおいては会計           基準が設定され、財務諸表の作成に関して一定程度の統一化が図られている。これに           比べ、NPO法人の場合は、法によってディスクロジャーの推進が企図されている反           面、会計基準が設定されていないことで、形式的にも実質的にも多様な取扱いがなさ           れ、現時点では、NPO法人会計、とりわけ財務諸表の作成に関しては、整備が進ん           でいない。

  有効性と信頼性の確保に迫られるNPO法人会計





公共性志向の会計学の確立に向けて



 公共性の概念

 公共性の変遷

  高度成長と公共性の志向

公共資本関係指標

生活関係指標

労働の質関係指標

環境関係指標

  バブル経済崩壊と公共性の希薄化

  公共希薄化の背景

 公共性向上への企業責務

  市民社会と企業の責務

  共生社会と企業の責務

  サスティナビリティ社会と企業の責務

 市民社会、共生社会、サスティナビリティ社会への価値転換

  単一の経済価値から多元的価値の追求へ

  ステイクホルダーとの信頼関係の構築

 公共性重視の会計情報

  市場の失敗と会計情報

   経済活動に伴う負の社会的副作用の最小化

   財、サービスの価値及び料の安定的供給

   特定の産業や企業の育成、維持

 ステイクホルダーへの責任と社会関連会計情報の拡大

 公共性の会計学としての社会関連会計学 






























これならわかる 新地方公会計―簿記・会計から実践まで
本の内容
行政をモデルに新地方公会計を簿記、会計の第一歩からやさしく説明!現金主義といわれている予算計算会計は、実は現金主義・発生主義のダブルスタンダードです!予算決算に適合した現実的な複式簿記化モデル、財政インフラを補完、強化する公会計経営を提言。
目次
序章
第1章 「作る」—簿記の常識(簿記とは
3つのことがわかれば簿記はわかる
取引の記録
簿記一巡の手続き—しんわ村の取引
合算・連結の処理
帳簿システム)
第2章 「読む」—会計の常識(会計とは
会計の前提
会計の基本的ルール
発生主義会計と現金主義会計
貸借対照表
損益計算書
株主資本等変動計算書
キャッシュ・フロー計算書)
第3章 「活かす」—新地方公会計(行政には二つの顔がある—公会計の特性
新地方公会計の特徴
財務4表の捉え方—ポイント
新地方公会計への実践的対応
財政運営のインフラとしての新地方公会計)

本書には、次のようなねらい、特徴があります。
(1 誰でもわかる)会計は簿記の知識を前提にしていますが、簿記は技術を重視しているため、普通の人は、なかなか馴染めません。しかも、ほとんどが企業の取引について説明しているため、それに馴染みが薄い一般の方や役所の方には、いよいよわかりにくいということになります。
  そこで、本書は、身近な行政の説明モデルを使って説明しています。誰でも理解できるはずです。本書は、「作る-簿記の常識」「読む-会計の常識」「活かす-新地方公会計の常識」の3部構成になっています。「読む」で公会計の下敷きになっている企業会計を、「作る」で企業会計の前提となっている複式簿記が理解できるようになっています。コンピュータ時代の今日、簿記技法よりも、その考え方、基本を身につけ、応用力をつけることを重視しています。
(2 発生主義公会計を予算決算との関連づけで説明した唯一の書)発生主義公会計の導入を考える場合に、現行の予算決算との関係を無視できません。それは、事務の効率化、財務情報の活用とも深いかかわりがあります。また、役所の方にとっては、予算決算から理解した方がわかりやすいはずです。本書は、これを重視し、予算決算との関連づけで発生主義公会計が理解できる唯一の書です。
(3 これからの行政の経営にどう活かすか)本書は、資産・負債の状態等を単に開示するだけではなく、これからの行政にそれをどう活かすかを問題としています。それを経営の視点から捉え、その中心に財政民主主義と予算をおいた「公会計経営」を提言しています。それはまだ始まったばかりですが、地域的、全庁的理解の促進により地域の財政力が改善できるはずです。その意味で本書が「公会計経営時代の新常識」となることを願っています。
行政をモデルに新地方公会計を簿記、会計の第一歩からやさしく説明!現金主義といわれている予算計算会計は、実は現金主義・発生主義のダブルスタンダードです!予算決算に適合した現実的な複式簿記化モデル、財政インフラを補完、強化する公会計経営を提言。
藤井 邦明
昭和28年5月15日生。公認会計士・税理士(税理士法人新和会計)。神戸大学経営学部卒業、福井県立大学大学院経済経営学研究科修了。得意領域(ベンチャービジネスの育成、株式上場、学校法人会計)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

新公会計による自治体の決算について


自治体の決算手続き

 会計管理者は、出納閉鎖後3カ月以内に自治体の長に決算書を提出しなければならない

 長は決算書を監査委員の審査に付さなければならない

 長は決算委員の決算審査意見書を受領後、その意見を付して、次の通常予算を審議する会議までに議会に提出して認定を受けなければならない

 長は決算書を認定に関する議決及び監査委員の意見書を合わせて、総務大臣または知事に報告し、かつ、決算要領を住民に公表しなければならない。




官庁会計(単式簿記・現金主義)の限界

 自治体における会計は、一般会計及び地方公営企業法が適応されない特別会計においては、いわゆる収支会計が採用され、単式簿記により現金収入・支出された時に会計上。収入(歳入)・支出(歳出)を認識する。

 これに対し、地方公営企業法を適用している地方公営企業の特別会計においては、その経営成績を明らかにするため、全ての費用及び収益を、その発生の事実に基づいて計上し、かつ、その発生した年度に正しく割り当てなければならないとされ、経済取引が生じたときに取引が認識され、(発生主義)、たとえ現金収入や現金支出が伴わなくとも、会計上、それらは売掛金等の債権や買掛金等の債務として処理される。

 現金主義と発生主義とを比較した場合、発生主義においては、資産・負債といったストック情報が貸借対照表に一覧で示されるほか、減価償却費や引当金といった概念が採用され、各会計期間が負担する正しいコストを算出するための会計手法が行われるという特徴がある。

 自治体を取り巻く環境の中、自治体の資産及び負債の圧縮を図る上では、資産と負債を一覧で見ることができる貸借対照表は、有意義であり、また、行政サービスのコストを正しく算出することができる手法である。




公会計の変遷

・昭和62年 地方自治協会

 「地方公共団体のストック分析、評価手法に関する検討委員会」の報告に基づき、熊本県で試算。決算統計に基づく方法の提案



・平成9年 社会経済生産本部

 「決算統計に基づいた企業会計的分析手法研究報告。



・平成11年 全国の先進的な自治体

 主に決算統計を利用した手法を活用し、全国の先進市の自治体がそれぞれの工夫を凝らして、バランスシ-トを作成し、公表が進む。



・平成12年 自治省

 「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」

 決算統計をベースにしたバランスシートの作成方法を提示。これにより電国でばらばらであった作成基準のとういつが大幅に図られる。ただし、この時点ですでに固定資産の積み上げ方式を導入している自治体は、制度を保持するために、独自のルールを継続することが多かった。



・平成13年 総務省

 「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」

 前年にバランスシートの作成基準を提示していたことから、表裏の関係にある「行政コスト計算書」の作成基準を提示。合わせて「各地方公共団体全体のバランスシート」作成基準を提示。「全体」はいわゆる連結ではなく、普通会計に公営事業会計等を含めたものであり、地方3公社や第3セクターは含まれていなかった。

 先進的な自治体では、自発的に地方3公社や第3セクターを含んだ連結バランスシートを公表するところが増えてきた。



・平成13年 東京都

 「機能するバランスシート」の公表

 固定資産について、総務省方式の決算統計の積み上げでなく、公有財産台帳に記載されている取得価格を活用して作成され、バランスシ-トの精度が向上した。同時に、決算統計に基づく総務省方式による精度上の課題が批判。



・平成17年 総務省

 「地方公共団体に連結するバランスシート(試案)について」

 地方3公社や、第3セクター等を取り込んだ連結バランスシ-トの試案を提示。



・平成17年 東京都

 「東京都会計基準」を公表

 複式簿記・発生主義を前提とした基準が公表された。



・平成18年 総務省

 「新地方公会計制度研究会報告書」

 いわゆる「基準モデル」、「総務省方式改訂モデル」の2つを提示

財務諸表(貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書)ならびに連結財務諸表の作成基準を提示。2つのモデルが提示されたことにより、先進的な自治体は基準モデルに取り掛かり、それが困難な自治体は、一時的に改訂モデルへ流れるという傾向が表れた。



・平成19年 総務省

「新地方公会計制度実務研究報告書」

前年の報告書の内容により具体的に提示したもの。このあと新地方公会計の財務4表を導入する自治体が増え始める。



・平成19年 東京都

 新しい公会計制度による初の財務諸表を公表し、決算参考書として議会へ提出



・平成22年度 総務省

 新地方公会計をさらに推進していくため、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を発足。総務省は、基準モデルおよび総務省方式改訂モデルを地方公共団体に示し、新地方公会計の整備を要請し、今後、新地方公会計をさらに推進していくため、作成依頼から3年が経過した財務諸表の作成についての検証や国際会計基準および国の公会計等の動向を踏まえた新地方公会計の推進方策等を検討することにしている。





本市の経緯

 本市では、すでに平成19年度、公有財産である固定資産について、資産認識を進め、「基準モデル」に準じ、「PPP」による仕訳、分類作業を行い、

平成21年9月、平成19年度の決算を財務諸表により公開を図り、財務諸表の分析評価を22年3月「アニュアルレポート」として発表しております。

平成22年9月には、平成20年度の財務諸表、翌3月にはアニュアルレポートを発表している。

 そして、23年9月には平成21年度分の財務諸表を公開。?


 財務書類四表とは

 貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書をいいます。

・習志野市財務報告書2009 PDF 2,939KB

・わかりやすい習志野市の財務2009 PDF 2,746KB

・習志野市財務報告書2008 PDF 2,038KB

※「習志野市財務報告書2008」・「習志野市財務報告書2009」・「平成21年度習志野市公会計白書(資料編)」・「わかりやすい習志野市の財務2009」は、市内図書館及び市役所情報公開コーナーで閲覧ができます。


(市HPより)




















公民館活動40周年を契機に

習志野の社会教育の変遷 

 公民館活動、その課題と方法



戦後混乱期の「次官通牒」から昭和24年、社会教育法の設定、

そして昭和35年法改正、公共施設補助 まで

習志野市の公民館活動は、昭和46年、菊田公民館を設置してからである。40年が経過しました。

公民館施設の設置は、昭和21年、戦後の荒廃した郷土の復興や、祖国再建を明日への希望と住民の豊かなコミュニケーション、様様な活動、そして新たな地域連帯等、それらを教育の原理によって果たそうとした寺中作雄文部次官が、「公民館の設置運営について」において提案し、「公民館活動をはぐくむ施設運営が新たな文化創造、福祉増進に発展する」と述べている。

その後、昭和24年、「社会教育法」が制定され、公民館は、地方公共団体の設置責任と運営が法的に制定されました。公民館は、先の法20条の目的、22条の事業設定・展開に基づき、地域の教育・福祉の増進に寄与する運営がなされる「教育機関」とされました。



昭和46年答申 急激な社会変化に対応する社会教育の在り方

習志野市は、昭和46年、国の高度経済成長下、首都圏人口のスプロール化の中で、教育行政の樹立政策として、「習志野の教育」の原点とされる菊田校(菊田小の前身?)、菊田集会所の地に文教住宅都市を標榜する本格的な社会教育施設として、菊田公民館をはじめて設置しました。

新しい住民が増え、住民関係が希薄化する中、住民の学習活動を大切にし、生き甲斐や教養向上を目指した公民館活動が展開される一方、住民の文化活動を中心に様々なサークル活動が一気に芽を吹きました。

翌々年の昭和48年には、本市東地域の文化拠点の形成を図るため、従来の市民会館を大久保公民館として用途変更がされました。

その後、「習志野の社会教育」は、中学校区ごとの公民館設置計画(市長期計画)を企て、昭和52年、屋敷公民館(清掃工場設置・移転、浸水対策、集会所設置)、54年、実花公民館(学校施設の地域開放)を設置しました。



昭和56年答申 生涯教育について
このころから新たな教育政策として「生涯教育」がいわれだし、習志野市は急増する児童生徒への対応策として、義務教育施設不足解消を第一義に、市総予算の3割以上を投入し、教育環境整備に全力を果たしました。この間、「生涯教育」は、「家庭教育、学校教育、社会教育を統合する」教育行政推進の基本的な考え方になっていきました。

昭和45年の「文教住宅都市憲章」制定以来、行政の「まちづくり化」により推進された「地域会議」や「地域担当制」に裏打ちされた「コミュニティプラン」が徐々に具現化し、その結果、"まち"には新たな課題が生れてまいりました。 特に、都市基盤整備において、ほぼ100パーセントの達成率を誇る袖ヶ浦地区では、住民の新しい価値の指向(子どもの健全育成、地区コミュニケーション、文化性、まちづくりなど)の要求が高まり、その住民の活動拠点として公民館の設置が強く要望されました。具体的な設置場所がない事情にもかかわらず昭和56年、地域住民との協議のなかで袖西近隣公園内に袖ヶ浦公民館(地域図書活動、地域活動の拠点)を設置することができました。

また翌年には、谷津ソフトタウンの中に谷津公民館(谷津遊園閉園に伴う高層住宅化、商店街活性化、干潟の保存)を設置しました。

公民館の「事業」も従来の学級・講座に加えて、地区活動を振興するイベントや集会活動、町会・団体活動が俄然活発化し、公民館は、様々なコミュニティ活動の拠点へと様相を変えていきました。

一方、地区活動が活発になってきた東部の東習志野地区においては、その活動の拠点として東習志野コミュニティセンターが設置されました。コミュニティセンターは、施設提供サービス等を主目的とし、しばらくの間、公民館専任職員を置き、運営体制の樹立が図られました。その後、教育サービス部門を除き、施設管理・提供を主に地域団体(CC運営委員会)の管理としました。





平成4年答申 生涯学習振興法

時代は平成に変わり、「教育」は受験競争等の過熱化等で形骸化が余儀なくされ、社会発展の疎外要因になる恐れが目立ち始めたことから「教育の改革」(臨時教育審議会 1987 年)が言われるようになり、新しい教育の改革コンセプトとして「生涯学習」が文部省によって推進されるようになりました。

本市も早速ながら、教育行政の「生涯学習化」への移行をはかるべく、平成元年、千葉工業大学教授 石川 隆三郎氏等を中心に提案された「生涯学習のまちづくり」の建議を受け、「生涯学習推進市民会議」の設置、「生涯学習推進本部」を行政の執行部長の参加を得て設置し、生涯学習推進計画(生涯学習のまちづくり)の推進態勢を確立いたしました。

平成4年、こうしたなか、第2次埋め立て地に新習志野公民館(埋立地公共施設整備策)を設置し、秋津地区が生涯学習推進のモデル地区に指定されたのを契機に、地域と学校が一体となった"生涯学習のつどい"を開催し、「学社融合」を主とする生涯学習社会における教育の方向性を示すことができました。

 現代的な課題となってきた「地区生涯学習の推進」については、大久保公民館で推進されるネットワーキング活動を契機に、各公民館を拠点に「生涯学習地区会議」(学習圏会議)を設置し、地区独自の生涯学習の推進(まちづくり)を図るようになりました。これからの図書館運営、老人大学から市民大学へ(後の市民カレッジ)地域給食、保健・介護センター等の設置提案は、大きな市民学習の成果でした。

平成8年度、袖ヶ浦公民館では、まちづくりを模索する中、入居30年を記念した記録集の編集活動が展開され、住民の明日への希望を育みました。

大久保公民館は、商店街やハミングロード(マラソン道路)についての学習をとおし、大久保のまちづくりの中に"さくらまつり"を計画し、多くの市民がふれあいました。

菊田公民館は、津田沼、鷺沼、藤崎の歴史マップづくりを通しまちづくりを学習。

実花公民館は、先陣の開拓の知恵を学び、学習を通しての地域開拓を。後に露西亜捕虜収容所、ドイツ捕虜収容所の調査、歴史的な解題に発展。

屋敷公民館は、新旧住民のふれあいをスポーツ行事の開催によって。

谷津公民館、新習志野公民館は、まちのアイデンティティを模索する学習、会議、イベントを実施しています。

一方、平成11年、習志野の公民館活動の25年を記念し菊田公民館で開館25周年の集会が催され、地域社会の生涯学習化への移行と逼迫する財政状況を打開する行政改革推進策の中で、住民と共に4半世紀の歴史を築き、公民館の活動の成果を確認し合い、今後の新たな発展と、そしてまちづくりへの展開・発展に期待をつなぎました。


日本国憲法が制定され、平和な地域社会の実現をめざした地方自治法、教育基本法が制定・施行されてから65年が過ぎました。

習志野市は、昭和45年「文教住宅都市憲章」を制定し、まちづくりの理念と原理を宣言し、以来、着実に「住民参加のまちづくり」の具現化を図ってまいりました。

まちづくりへの主体的な市民の活動の支援を使命とした公民館は、21世紀を迎え、地方自治体事体が、疲弊している状況化、これからの新しい時代に対応する公民館の役割とは何か、そしてこの新しい公民館像をどう描くか、大変な時代の岐路におかれております。いま将来展望について語る重要な時期におります。