新公会計による自治体の決算について
自治体の決算手続き
① 会計管理者は、出納閉鎖後3カ月以内に自治体の長に決算書を提出しなければならない
② 長は決算書を監査委員の審査に付さなければならない
③ 長は決算委員の決算審査意見書を受領後、その意見を付して、次の通常予算を審議する会議までに議会に提出して認定を受けなければならない
④ 長は決算書を認定に関する議決及び監査委員の意見書を合わせて、総務大臣または知事に報告し、かつ、決算要領を住民に公表しなければならない。
官庁会計(単式簿記・現金主義)の限界
自治体における会計は、一般会計及び地方公営企業法が適応されない特別会計においては、いわゆる収支会計が採用され、単式簿記により現金収入・支出された時に会計上。収入(歳入)・支出(歳出)を認識する。
これに対し、地方公営企業法を適用している地方公営企業の特別会計においては、その経営成績を明らかにするため、全ての費用及び収益を、その発生の事実に基づいて計上し、かつ、その発生した年度に正しく割り当てなければならないとされ、経済取引が生じたときに取引が認識され、(発生主義)、たとえ現金収入や現金支出が伴わなくとも、会計上、それらは売掛金等の債権や買掛金等の債務として処理される。
現金主義と発生主義とを比較した場合、発生主義においては、資産・負債といったストック情報が貸借対照表に一覧で示されるほか、減価償却費や引当金といった概念が採用され、各会計期間が負担する正しいコストを算出するための会計手法が行われるという特徴がある。
自治体を取り巻く環境の中、自治体の資産及び負債の圧縮を図る上では、資産と負債を一覧で見ることができる貸借対照表は、有意義であり、また、行政サービスのコストを正しく算出することができる手法である。
公会計の変遷
・昭和62年 地方自治協会
「地方公共団体のストック分析、評価手法に関する検討委員会」の報告に基づき、熊本県で試算。決算統計に基づく方法の提案
・平成9年 社会経済生産本部
「決算統計に基づいた企業会計的分析手法研究報告。
・平成11年 全国の先進的な自治体
主に決算統計を利用した手法を活用し、全国の先進市の自治体がそれぞれの工夫を凝らして、バランスシ-トを作成し、公表が進む。
・平成12年 自治省
「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」
決算統計をベースにしたバランスシートの作成方法を提示。これにより電国でばらばらであった作成基準のとういつが大幅に図られる。ただし、この時点ですでに固定資産の積み上げ方式を導入している自治体は、制度を保持するために、独自のルールを継続することが多かった。
・平成13年 総務省
「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」
前年にバランスシートの作成基準を提示していたことから、表裏の関係にある「行政コスト計算書」の作成基準を提示。合わせて「各地方公共団体全体のバランスシート」作成基準を提示。「全体」はいわゆる連結ではなく、普通会計に公営事業会計等を含めたものであり、地方3公社や第3セクターは含まれていなかった。
先進的な自治体では、自発的に地方3公社や第3セクターを含んだ連結バランスシートを公表するところが増えてきた。
・平成13年 東京都
「機能するバランスシート」の公表
固定資産について、総務省方式の決算統計の積み上げでなく、公有財産台帳に記載されている取得価格を活用して作成され、バランスシ-トの精度が向上した。同時に、決算統計に基づく総務省方式による精度上の課題が批判。
・平成17年 総務省
「地方公共団体に連結するバランスシート(試案)について」
地方3公社や、第3セクター等を取り込んだ連結バランスシ-トの試案を提示。
・平成17年 東京都
「東京都会計基準」を公表
複式簿記・発生主義を前提とした基準が公表された。
・平成18年 総務省
「新地方公会計制度研究会報告書」
いわゆる「基準モデル」、「総務省方式改訂モデル」の2つを提示
財務諸表(貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書)ならびに連結財務諸表の作成基準を提示。2つのモデルが提示されたことにより、先進的な自治体は基準モデルに取り掛かり、それが困難な自治体は、一時的に改訂モデルへ流れるという傾向が表れた。
・平成19年 総務省
「新地方公会計制度実務研究報告書」
前年の報告書の内容により具体的に提示したもの。このあと新地方公会計の財務4表を導入する自治体が増え始める。
・平成19年 東京都
新しい公会計制度による初の財務諸表を公表し、決算参考書として議会へ提出
・平成22年度 総務省
新地方公会計をさらに推進していくため、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を発足。総務省は、基準モデルおよび総務省方式改訂モデルを地方公共団体に示し、新地方公会計の整備を要請し、今後、新地方公会計をさらに推進していくため、作成依頼から3年が経過した財務諸表の作成についての検証や国際会計基準および国の公会計等の動向を踏まえた新地方公会計の推進方策等を検討することにしている。
本市の経緯
本市では、すでに平成19年度、公有財産である固定資産について、資産認識を進め、「基準モデル」に準じ、「PPP」による仕訳、分類作業を行い、
平成21年9月、平成19年度の決算を財務諸表により公開を図り、財務諸表の分析評価を22年3月「アニュアルレポート」として発表しております。
平成22年9月には、平成20年度の財務諸表、翌3月にはアニュアルレポートを発表している。
そして、23年9月には平成21年度分の財務諸表を公開。?
財務書類四表とは
貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書をいいます。
・習志野市財務報告書2009
PDF : 2,939KB
・わかりやすい習志野市の財務2009
PDF : 2,746KB
・習志野市財務報告書2008
PDF : 2,038KB
※「習志野市財務報告書2008」・「習志野市財務報告書2009」・「平成21年度習志野市公会計白書(資料編)」・「わかりやすい習志野市の財務2009」は、市内図書館及び市役所情報公開コーナーで閲覧ができます。
(市HPより)