ウルトラセブン  盗まれたウルトラ・アイ | 俺の命はウルトラ・アイ

ウルトラセブン  盗まれたウルトラ・アイ

『ウルトラセブン』「盗まれたウルトラ・アイ」

テレビ トーキー 30分 カラー

放映日1968年6月16日

 

製作国 日本

製作言語 日本語

放送局 TBS系

 

監修 円谷英二

 

プロデューサー 末安昌美

脚本 市川森一 

 

撮影  永井仙吉

美術  岩崎致躬

照明  新井盛

音楽  冬木透

録音  松本好正

効果  知久長五郎

編集  柳川義博

助監督 山本正孝

製作主任 高山篤

 

特殊技術

撮影 鈴木清

美術 池谷仙克

操演 平鍋功

照明 小林哲也

光学撮影 中野稔

助監督 円谷粲

製作主任 熊谷健

 

東京現像所 

キヌタラボラトリー

TBS映画社

   

 

音楽 冬木透

 

 

出演
中山昭二(キリヤマ隊長)

 

森次浩司(モロボシ・ダン)
菱見百合子(友里アンヌ)

 

石井伊吉(フルハシ・シゲル)
阿知波信介(ソガ)
古谷敏(アマギ)  

 

 

 

星野寿彦

大川義幸

佐々倉英雄

 

吉田ゆり(マヤ)


上西弘次(ウルトラセブンスーツアクター)
浦野光(ナレーター)

 

特殊技術 高野宏一

 

監督 鈴木俊継

 

制作 円谷プロダクション

    TBS

森次浩司→森次晃嗣

菱見百合子→ひし美ゆり子

石井伊吉→毒蝮三太夫

吉田ゆり→香野百合子

 台詞の引用・シークエンスへの考察は、

研究・学習の為です。

 円谷プロダクション様・TBS様におかれ

ましては、ご寛恕を賜りますようお願い申

し上げます

 ☆


 光る円盤が夜空を飛ぶ。

 

 

 ポインター1号で、フルハシと共にパトロール

中のアマギは、作戦室において未確認飛行物

体の落下地点が確認出来ないソガ隊員行動に

苛立ち、罵声を浴びせかける。



 フルハシはアマギをなだめ、警察からの
連絡を頼りに捜索を再開する。二人はダン
プカーとすれ違うが、運転していたのは、
可愛らしい美少女だった。

 


  フルハシ「おい、今の女に見えなかっ
       たか?」

 

 


  アマギ「ああ、いかす女の子だった。」

 

 


  フルハシ「畜生、ダンプなんか 
        運転しやがって。」

 

 

 

 

 円盤が発光しつつ飛行する。


 

 フルハシ・アマギは血を流して倒れている
男性を発見。男は「光の・・・女が・・・」
と語って息絶える。フルハシは噴射のあとを
発見。

 


  アマギ「こら、ただごとじゃない。さっき
      の発光体と何か?」

 

 


  フルハシ「すると、あの女が・・・」

 

 

 

 


 アマギはポインター2号でパトロール中のダン
に通信で連絡し、若い女性の運転するダンプカ

ーを見つけたら、検問するように頼む。


 ダンはダンプカーを発見。なんとダンプカーは
ダンを跳ねようとする。ダンが咄嗟に逃げて、ダ
ンプを追う。

 

 円盤が発光して、ダンを飛ばし、ダンは倒れる。

 


 ダンプから少女が出てきて、ダンのウルトラア
イを盗む。ダンは気絶する。

 


 K地区のプラネタリウムセンター。

 

 解説の男性が、観客の少年少女に宇宙の神秘を
語っている。

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   「皆さんが小さい頃、お父さんやお母さんが
   亡くなるとお星様になると聞いたことがあ
   りますね。
   みんなが住んでいるこの地球以外にも、まだ
   まだ沢山、この地球と同じ惑星があることも
   知っています。
   そこには我々と同じような人間が住んでいる
   のかもしれません。
   もしかすると君の横に居る人と同じ人が居る
   のかもしれません。」

 

 

 

 プラネタリウムの星空を見つめる少年少女の観客
の中に、一人の少女が居た。ダンプを運転していた

少女である。彼女は通信を送る。

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 宇宙ステーションV2では、隊員二人が、
 
  「マゼラン星、第二任務完了しました。
   迎えの円盤を送って下さい」

 

 

という電波をキャッチし、地球防衛軍作戦室のキリ
ヤマ隊長に連絡する。

 

 


 作戦室


 ソガがダンに詫びる。

 


  ソガ「すまん、俺がモタモタしていたばっかり
     に怪我をさせてしまって。アマギがぽん
     ぽん言うもんだから、頭に来てしまった
     んだ。」

 

 


  ダン「いやあ、うっかりしていた僕が悪いんで
     す。みんなに心配かけて。」

 


  

  ソガ「じゃ、気をつけて。」


  ダン「(胸に手を当てて、独白)きっと見つけ
     出してやる。あの顔を忘れるもんか。」

 

 

 作戦室
  

 

 

  キリヤマ「怪電波の発信源はK地区のプラネタ
       リウムセンター。恐らくもういない
       だろう。見たとおり、娯楽場が多い。
       隠れ場には持ってこいの地域だ。」

 

 

  アンヌ「ええ、ボーリング場にジャズ喫茶、地下に潜
       ればアングラ場。」

 

 

 

 

 

  フルハシ「こいつは若い娘ですね。ダンプに乗っ
       てたのも、十七・八でした。」

 

 

 

 アマギがK地区から発信される電波を調査し、スナ
ック「ノア」から通信をキャッチする。

 

 

 

  キリヤマ「アマギ、どうだ?」

 


  アマギ「『迎えはまだか』、『迎えはまだか』」

 

 


  キリヤマ「ううん、『迎えはまだか』

 

 


「ノア」
 
 若者達が踊っている。その中にウルトラアイを盗ん
だ少女もいる。彼女の名はマヤだ。ダンは、マヤを見
つめつつ、彼女にテレパシーでメッセージを送る。

 

 


  ダン「聞こえるか?僕がわかるか?」

 


  はっとするマヤ。彼女もテレパシーで応答する。

 


  マヤ「誰?地球人なら、
     テレパシーは使えない筈よ。
     わかったわ。貴方はセブンね。」

 

 

 

  ダン「ウルトラアイを何故盗った?」

 

 

 


  マヤ「それが私の任務だもの。」

 

 

 

 

  ダン「地球を侵略するつもりなのか?」

 

 

  マヤ「こんな狂った星よ。
     見てご覧なさい。
     侵略する価値があると思って?」

 

 

 

 
  ダン「『迎えはまだか』」


  
 はっとするマヤ。踊りをやめて走り去る。


 ダンはマヤの踊るリズムに暗号を感じ、発信器がリ
ズムボックスに仕掛けられたことを察知する。


 ダンはかけつけたフルハシやソガにリズムボックス
を託す。


 作戦室


 アマギがボックスを調査し、リズムを再生しながら
研究する。

 

 

  アマギ「このリズム!」

 

 

 

 


  キリヤマ「これを繰り返し、マゼラン星に
       送るんだ!」

 

 

 

 

  ソガ「返信が入りました。」

 

 

 

 

  キリヤマ「アマギ!」

 

 

 


  アマギ「恒星間弾道弾、既に発射せり。
      迎えに及ぶ時間なく・・・」

 

 


  ソガ「恒星間弾道弾と言うと、隊長、マゼラン星が
     地球にミサイルを!?」

 

 


  フルハシ「それじゃ、あの娘は!?」

 

 


  キリヤマ「恐らく何か特殊な任務を持って地球に
       やって来たんだろう。」
   

 


  アンヌ「迎えは来ない、ってどういうこと?」

 


  ダン「裏切られたんだよ、自分の星に。」

 


  

  アマギ「計算の結果、ミサイルの到着は午前零時
      丁度。」


  時計は十七時を指している。

 

  キリヤマ「あと、五時間か。」

 

 

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 マゼラン星から発射されたミサイルは宇宙ステーシ
ョンV2を破壊し、地球に迫る。

 

 


 作戦室。


  キリヤマ「フルハシ・ソガはホーク1号で、
       ダンは俺とホーク2号で。」

 

  ダン「は」

 

 

  キリヤマ「出動。」

 


 だが、ダンはウルトラアイが気になり、踵を返す。

 
 ホーク2号ではキリヤマが、機内に到着している
筈のダンの不在に苛立ち、作戦室で待機している
アンヌに通信を送る。

 


  キリヤマ「ダンは居ないか?」

 

 


  アンヌ「はい。」

 

 


 そのダンは単身、マヤの捜索に向かっていた。

 


 
 ホーク2号。
  


 キリヤマ「出撃する。」


 アンヌが操縦席に入ってくる。

 

  キリヤマ「ダンは?」

 

 

  アンヌ「どこにも見当たりません。あたくし
      が代わりに。」

 

 


  キリヤマ「よし。」

 

 




 宇宙空間で、ホーク1・2号はミサイルを迎撃する
ため、慎重な姿勢で、警戒している。

 

 

 「ノア」

 

 ダンは店内に入ると、踊っていた男女が、皆ウル
トラアイに似た仮面を付けているのに驚き、仮面を
はがそうとして、殴られ、気絶する。


 一方宇宙空間では、ホーク1・2号がミサイルと激
闘を展開する。


 「ノア」


 ダンが覚醒すると、マヤが立っていた。

 

 

  マヤ「ダン」

 

 

 


  ダン「あ」

 


 マヤがダンを銃で撃つが、ダンはびくともしない。

 マヤは再び、ダンとテレパシーで会話する。

 

  マヤ「この星の命も、

 

     午前零時で終わりです。」

 

  ダン「君も死ぬのか?」

 

 


  マヤ「私は死なない。
    
     仲間が迎えに来てくれるわ。」

 

 

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  ダン「誰も来ない、
    
     君は初めから、
    
     見捨てられていたんだ。」

 

 

 

 ダンは、マヤとマゼラン星の人々との会話の
通信録を見せる。

 

 

 


  ダン「この星で生きよう、
     
     この星で一緒に。」

 

 


 マヤは、悲しみをこらえ、首の後ろに隠して
いたウルトラアイを髪にふれながら出して、ダ
ンに返す。

 

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 ダンはセブンに変身して、宇宙空間でミサイル
を発見、中に入って軌道を変化せしめ、ミサイル
から、脱出する。ミサイルは地球への道を外れ、
方向を変え、宇宙空間をさすらう。


 マヤの協力もあって、地球はミサイルの恐怖か
ら救われた。

 

 そのマヤは、「ノア」のボックスにおいて、ジュ
ークボックスの「J」と「7」のボタンを押す。

 


 室内に煙が立ちこめ、悲しみの少女マヤを
包んでいく。

 午前零時。


 セブンはダンに戻り、「ノア」に帰ってくる。

 


 マヤの姿は無く、彼女のブローチのみが
床に落ちていた。

 

 

 ダンは、マヤが命を断ったことを知る。

 

 

 

 

  ダン「何故、他の星でも、
     
     生きようとしなかったんだ?
     
     僕だって、同じ宇宙人じゃないか。」

 

 

 


  ナレーター

  「数年後には、我々も月旅行が可能になる

   かもしれません。しかし、月にも土星にも、

   生物が全く居ない、という確証はないの

   です。
   我々が月に、その他の惑星に行けるとし

   たら、或いは不思議な少女と同じ運命が

   待ち受けているかもしれません。」

  


 夜の町を歩むダン。悲しみを抱きながら、噴水

近くに止めていたポインターに乗って、走り抜け

る。


 噴水も、彼の心の涙と呼応しているように、強

く水を吹き上げる。


 


   ☆悲しみの少女マヤ☆

 

 

  『ウルトラセブン』において、怪獣の出ない
ドラマが三本ある。予算が厳しかった制作現

場の切実な声に脚本が応答した。


 その第一弾「侵略する死者たち」は、上原正
三の傑作ドラマである。姿も声も出さずに、シ
ャドウマン達を操り、セブンを宇宙船に監禁す
る首魁は、圧倒的な存在感と神秘性を厳かに

示し、視聴者に大きな恐怖感を与えた。


 第二弾を担当したのは市川森一。このドラマ
は、ダンと無垢な宇宙人の少女の切ない恋を描
く。

 

 テレパシーという方法で、対立する関係性に
ある男女が対話し、心と心が通じ合っていくク
ライマックスは、視聴者の胸を熱くときめかせ、
感涙を呼んだ。

 


 

 第37話の切ないドラマは、昭和四十三年(196
8年)という時代に悲しみとも、深く照応したの
ことが窺える。

 本作の感動は、時代・世代を超えて、現代に
おいても沢山の人々の涙を呼んでいる。本第37
話を、『セブン』の中の「ベストエピソード」
として選ぶ人は多い。


 

 個人的には、『ウルトラセブン』は、全話傑
作で、それぞれがオンリーワンの輝きを示して
いるので、順位を付けるのは、極めて難しい、
と考えている。

 


 そもそも、いのちのかけがえのなさを問い、明
かしていった、『セブン』の研究に、「ベスト」
の観点が合うのかどうか、という事柄も議論すべ
きだと思うのだが・・・。

 

 だが、「盗まれたウルトラ・アイ」が、「傑作
の中の大傑作」として位置づけられることには、
勿論同感だ。

 

 

 第37話は、なぜこれほど深く、視聴者の心と
涙腺を熱くするのか?

 


 市川森一脚本と鈴木俊継・高野宏一演出は、
繊細に、宇宙人二人の悲恋のドラマを謳い上
げて行く。


 冒頭の円盤シーンの神秘性。ダンプを追って
闇の中に彷徨い倒れるダン。そこに現れるマヤ
の幻想的なムード。

 

 ミステリードラマの緊張感が燃え上がる。

 

 プラネタリウムのシーンでは、星空への敬意
に、死者を忘れず、心にしっかりと刻みつけて
生きる市川の精神がこめられている。

 

 ディスコで踊る若者達。ここにも、1960年代の
青春の風景がある。その姿には、現実生活で受
けた激しい傷を癒したいという希求が感じられ
る。

 

 マヤの名は、釈迦(世尊)の母上で、浄飯王の
妃摩耶夫人に由来する。悉達王(世尊)が生まれ
て七日目に摩耶夫人は亡くなられた。

 

 仏教に於いて、摩耶夫人は、「母性」を象徴す
る存在である。


 キリスト教徒で、仏教も深く学んでいる市川は、
この「マヤ」の存在を尊び、印象的なヒロインの
名として位置づけている。

 

 本第37話の吉田ゆりが演じたマゼラン星人マ

 

ヤ。『ウルトラマンA』「怪獣対超獣対宇宙人」にお

いて、関かおり演じたTAC職員マヤ。ここでのマヤ

は、山中隊員と幸せな結婚生活を送る夢を描いて

いたが、メトロン星人jrに殺害されてしまう。

 

 市川脚本における「マヤ」は、侵略者の犠牲に
なって、死後地球防衛の隊員達の心に、生き方

 

や無垢な心を伝える存在として残っていく。

 

 

 市川森一は、『ウルトラマン大全集』(1987
年、講談社)のインタビューで、本作の脚本に
ついて、次のように語っている。

 

 

  

   
   「盗まれたウルトラアイ」の時も初め
   て主人公ダンの宇宙人としての初恋と
   悩みを描いたんです。
  
   お互い宇宙人同士、初めてダンが心寄
   せる女を撃ち殺さなくてはいけない・
   ・・・・・。

   二人は喋らなくとも話が通じ合うんで
   す。
   ディスコで、目と目、テレパシーだけ
   でやりとりするシーンを作りました。
   ダンの青年像に興味があって書いたん
   ですね。
   
   原題は「他人の星」ですが、いまでも
   こちらの題名に愛着を感じますね。

 


 ダンが宇宙人少女に抱いてしまった淡い恋心。

 ダンのハートを射止めてしまったマヤは、地
球人のトラック運転手の命を奪ってしまった侵
略者でもある。それは彼女が故郷マゼラン星の
上司から命じられた任務の一環ではあったもの
の、地球では犯罪行為である。

 

 ダンには、アンヌという恋人がいる。マヤへ
の想いは、精神的なものでも、明確な浮気であ
る。

 


 故にこのダンのマヤへの恋心は、成就が厳し
い。

 

 厳しい状況で、成就が難しいからこそ、ダン
のマヤへの思いは一層熱くなっていく。

 

 人間は残酷だが、その人間を愛おしく思うダ
ンは、地球を「美しい星」と感じている。傷つ
いたマヤにその「美しさ」を共感して欲しい、
と願う。

 


  「こんな狂った星よ、見てご覧なさい。
   侵略する価値があると思って?」
   

 マヤの言葉は重い。

 二人の宇宙人がテレパシーで語り合うシーンは、
名場面の白眉である。対立する立場にあっても、
言葉を交わさずとも、二人は目と目で通じ合って
いる。

 

 「目は口ほどにものを言う」とも言われるが、
或る意味視線は言葉以上に意志を伝えているか
もしれない。

 

 

 ダンの熱き想いと、マヤの無垢な純真さ。

 

 

森次浩司と吉田ゆりの、演技の情熱が結実し、切
なさが画面いっぱいに溢れる。

 

 

  マヤ「私は死なない。
     仲間が迎えに来てくれるわ。」

 

 


  ダン「誰も来ない、
     君は初めから、
     見捨てられていたんだ。」

 

 


 マヤが、首から隠したウルトラアイを取り出すシ
ーンには、息を呑む美しさで、神秘的な輝きが極ま
る。ここには、清潔なエロティシズムがある。

 


  ダン「この星で生きよう、
     この星で一緒に。」
 
 人間は残酷だが、その人間を愛おしく思うダン

は、地球を「美しい星」と感じている。傷ついたマ

ヤにその「美しさ」を共感してもらい、もう一度生

きる意欲を回復して欲しい、と願う。
 
 ダンの優しさをもってしても、愛する故郷から裏
切られ、見捨てられて深く悲しむマヤに、自殺を思
いとどまってもらうことは無理であった。

 


  ダン「何故、他の星でも、

 

     生きようとしなかったんだ?
     僕だって、同じ宇宙人じゃないか。」

 

 

  無垢な少女マヤを救えず、彼女の心を癒せなかっ
たことは、ダンの心に大きな問いを与えた。

 

 

 

 「何故、生きようとしなかったか?」と。

 

 
 
 「他人の星」地球において、ダンとマヤは共に異
邦人だ。だが、同じ立場であっても、二人の心の溝
には、埋めきれないものがあった。共に孤独を抱え
る存在同士であったとしてもその心と心の間に、「
共に生きる」という連帯の精神が芽生えることが、
いかに難しい事柄であるかを痛感する。

 

 人は人生において、他人や組織の為に、身を捨

 

てて尽くしても裏切られ、捨てられることもある。そ

うした事実は悲しいし、絶望的な状態にもなるが、

それでも、苦しみをくぐって生きていく道を求めてい
くことが大事なのだと思う。


 だが、死を選んだひとを責めることも出来ない。
「自殺」も又、いのちを終える縁の一つだからだ。

 ただ、そこには悲しみがある。


 市川脚本は、犠牲になったいのちを描き、死を選
んだひとを、絶対に忘れてはいけないことを教えて
くれている。更に死を選んだひとが抱いていた悲し
みを、生き残った者が想像し、仰いでいくことが大
事であることも説いている。
 


 悲しみの少女マヤ。

 

 その無垢なこころは、宇宙人モロボシ・ダンの心
の中で生き続けている。

 


 
                       


参考資料
『ウルトラセブン』DVD.vol.9

 


参考文献
『ウルトラマン大全集』 1987年 講談社

 

 

☆2008年10月27日記事に2020年5月9日再編しました☆

 

                       文中敬称略

 

 

 

 

 

                          合掌