スティーリー・ダンからジャズへ

ドナルドフェイゲンに魅せられた僕は、彼がいたスティーリー・ダンを聞きかじった。

特にAjaは神のような曲だった。



この曲でのスティーブガッドのドラムと、ウェインショーターのサックスソロの絡みに魅せられた。すっかりスティーリー・ダンに魅了された僕はジャズに入った。

マイルスのKind of blue 

当時はまだインターネットがないので、ジャズの雑誌を購入し事前スタディをした。
そしてマイルスデイビスの伝記を読んだ。

最初に聴いたのはKind of blue だった。




Kind of blue からの入りは、今から考えると正しい入門だった。

「シンプルさの中に本質あり」を体現するアルバムで、今聴いても何回聴いても新鮮で新しい発見を見出せる傑作中の傑作だった。

静謐さの中に松尾芭蕉などの俳句の世界にも感じるような傑作だと感じた。

マイルスデイビスは才能のあるミュージシャンを発掘して、バンドのメンバーに入れる、ということを繰り返していた。
彼は自分の音楽の興味とスタイルが変わるたびにミュージシャンを変えていく。

辞めた人、辞めさせられた人はどうなの?と思いきや、そうした人々は、たいていソロとして超一流ミュージシャンとして育っていった。


僕はマイルスデイビス伝記を軸にミュージシャンの名前をチェックしていき、様々なミュージシャンを知り聴いていった。

チックコリア、ウェインショーター、ハービーハンコック、ジョンマクラフリン、キースジャレットなどはマイルスの伝記から知ったのだ。

そしてキースジャレット

そして僕はキースジャレットに出会った。
キースジャレットはジャズでは一番魅せられたピアニストだ。
数多くのアルバムは聴いていない。いくつかのアルバムを「精読」するが如く、何回も何回も聴いて、心を震わせた。

これも偶然だが、名盤「ケルンコンサート」からの入りではなく、「スタンダーズVO1」というアルバムから入った。このアルバムはキースジャレットのピアノ、ドラム、ベースの三人編成でスタンダードナンバーを演奏するものである。

聴きやすいスタンダードナンバーの中で、キースジャレットの魅力をシンプルに理解できた意味で、このアルバムからの入りは結果的にはよかった。




特に一曲目の「Meaning of blues」という曲にさまった。


何回も何回も聴いた。

キースジャレットは歌いながらピアノを弾く。
アルバムの中にキースジャレットの奇声がしっかり録音されている。最初は違和感を感じた。

しかし彼の奏でるピアノは文句なしに美しく力強いもので、ピアノに魅せられているうち、奇声も気にならなくなった。

キースジャレットのピアノは一音一音の意味、力強さが凄い。

無論テクニックも凄いのだが、キースジャレットのピアノを聴いていると至福の「天上の世界」を感じた。


無論、他のアーティストも自分なりには沢山聴いた。でも「天上の世界」を感じさせてくれたのは、やはりキースジャレットだった。